あなたが嫌いだ




不意に、真っ赤な顔がかわいいなんて思ってしまった。


「あの後輩くん、すごくキョドってる。どうする、平介。」


「いや、佐藤が呼んだんだから、佐藤が責任取るべきだろ。」


すると、あの後輩の顔が照れまじりの怒りの顔に変わった。
そして俺たちの元へ小走りでやってきた。



「せ、せせせ!先輩方ッ!!!」



言葉がすごく詰まっている。相当、佐藤に呼ばれたことに動揺している様子。

佐藤は「あはは!ごめんごめん!」と、何に謝るべきかわかっている様子で、やっぱり面白さと興味で呼んだんだなと悟った。
後輩は「さ、佐藤先輩!何故俺を呼んだんですかァ!!」と怒っている。


そんな2人のやりとりに、少し違和感ってのを感じた。


「あんな!生徒の前で!大声で呼ばなくたってッ…!!………あ。」


すると、後輩は俺のほうに気づいた。
さっき視線が合ったのは気のせいだったのか。
真っ赤な顔は少し白さを取り戻しつつあった。


「…な、何故…小川先輩が……」


「何故って朝ですから、学校へ。」


普通に返したら「きっ」と睨まれた。
その睨みはいつもと同様、本気の欠けた睨みだ。


「…俺は………っ」


後輩は俺のほうを向きながら、目線を合わせずに何かを言おうと口を開閉させる。
佐藤と俺は頭上にハテナマークを浮かべながら見つめる。


「俺は…」





何となくわかっている、この後輩には何回か同じようなことを言われていたから。





「あなたが……」







嫌いだ。

「嫌いだッ!!!!」





[ 5/24 ]
[*prev] [next#]
[bkm]
←back
←top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -