駆け出した足は震えて




海藤side



先輩の頬を打った手がひりひりと痺れている。と言うことは、先輩も相当痛かっただろうな。なんて、今そんな冷静に考えている暇なんてない。ただ走ってさっきの場所から離れられるだけ離れたい。大丈夫、授業中ということを考慮してできるだけ静かに走っている。ああ、頭の中が混乱して。

『っいで!!』

前頭葉にずごい衝撃が走って、その場に尻餅をついた。
前を見ていなかったことに気が付いた。

『(…つ!…不覚……)』

誰も見ていないことは知っていても羞恥心が沸き起こる。

『本当に、僕は何をしているんだ…』

その場に蹲り、真っ赤になっているだろう顔を落ち着かせようとした。
すると、廊下にチャイムが響き渡った。




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