授業が終わるまで20分
平介目線。
パシン…―
鈍い痛みが頬を走った。
『あ…』
海藤くんは小さく声を漏らした。目は見開いて顔を真っ赤にさせていた。
俺は我に帰り、震える海藤くんの肩を掴もうとしたが、手を素早く払われた。
『す、みませっ…』
『海藤くん!』
口元を押さえて逃げるように去っていった。俺は追うことなく、手と目が彼の小さくなった背を捕まえようと空を切る。
そのあと、俺は罪悪感に苛まれながら階段下で頭を掻いた。
自分の行動に、自分自身驚いた。あんなことするはずじゃなかった。海藤くんを目の前にしたとき、無意識に彼にキスしたくなったのだ。
しかし、海藤くんの表情は今にも泣きそうだった。最悪だ。
『これは、本当の意味で嫌われてしまったな…』
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