君の隣




ゆっくり静かに階段を降りていくと、海藤くんの背中が大きくなる。

カタン、と足音が響いた瞬間、海藤くんはビクリと肩を揺らして振り向いた。


「!!…せ、んぱい?」

「やぁ、海藤くん。」


普通の感じで挨拶をしただけなのに、海藤くんの表情は一瞬にして怪訝な表情に変わった。

…いつものことですけどね。


「…何で先輩が階段から…?」

「ちょっと、怖い人に捕まってね。」


まあ、あの人は怖い人と言えば怖い人だよな。


「そうですか。授業始まってしまいますよ、教室に戻られては?」

「うん…」

「………」

「………」


なんというか、海藤くんの背中が「寂しい」と言っている気がしてやまない。

俺は授業のことをふらーと頭に過らせながら、海藤くんの隣に座った。




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