君の隣
ゆっくり静かに階段を降りていくと、海藤くんの背中が大きくなる。
カタン、と足音が響いた瞬間、海藤くんはビクリと肩を揺らして振り向いた。
「!!…せ、んぱい?」
「やぁ、海藤くん。」
普通の感じで挨拶をしただけなのに、海藤くんの表情は一瞬にして怪訝な表情に変わった。
…いつものことですけどね。
「…何で先輩が階段から…?」
「ちょっと、怖い人に捕まってね。」
まあ、あの人は怖い人と言えば怖い人だよな。
「そうですか。授業始まってしまいますよ、教室に戻られては?」
「うん…」
「………」
「………」
なんというか、海藤くんの背中が「寂しい」と言っている気がしてやまない。
俺は授業のことをふらーと頭に過らせながら、海藤くんの隣に座った。
[ 15/24 ]
[*prev] [next#]
[bkm]