2人と1人
仏頂面を突き通しながら無表情で立つ海藤くん。
あの海藤くんでもモテるんだなぁ。と、『あの海藤くんでも』ってのは余計だったかな。
相手の女生徒は今にも緊張のせいで泣きそうな顔をしている。
早く答えてあげないと、泣いちゃうよ。
「君は本当に僕が好きで言ってるの?」
口を開いたと思えば、なんとも場の空気とは合わない冷静な言葉。
女生徒は「え…」と虫の息のような声を漏らす。
「人は恋という感情を一時の憧れのようなものと勘違いしてるんです。恋は憧れではない、熱意です。好きなんて簡単なものじゃない、愛をもった熱意だ。君の感情は憧れにも達しない唯の過ちに近いものだ。」
女生徒も、俺自身も、ポカーン状態。
海藤くんは言ってやったりとドヤ顔を決め込んでいる。
女生徒は、「そ、そか…ご、ごめんなさいっ……」と声を震わせて走り去った。
残された海藤くんは首を傾げて、彼女の行動が理解できない様子だった。
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