蛇とうさぎ
先輩は楽しそうに俺に笑いかけると、近づいてきて肩をガシッと捕まってしまった。
「良い所に来たじゃ〜ん、平介くん。」
嫌な予感をすごく感じながら、先輩の拘束に忠実に従う。
「…先輩たち、何してるんですか?」
「見てわからないの?」
先輩たちの足元には、畳2枚分くらいの白の紙があった。
そして、その紙を2人で押さえながら、紙を折っていく。
そういえば、こんな状況と似たことがあった気がする。デジャヴ。
「紙飛行機作ってるの!前に大失敗したから、今回はちゃーんと計画を練って作るんの。」
「こいつ、絶対飛ばすんだって聞かねぇんだよ。」
ため息と共に愚痴を溢す先輩だが、どこか楽しそうで、まあ口にはしないでいようかな。
「ほらっ、平介も手伝う。」
すると、先輩は紙の一辺がある地面をポンポンと叩いて、手伝いの催促。
すごくめんどくさいが、それよりも、拗ねた先輩を相手する方がめんどくさい。
思考を巡らせて返事をしない俺に、先輩は口元を一層深い弧を描いて、厭な笑顔を浮かべて呟く。
「平介、返事によっては、明日から幸せな学校生活と悲惨な学校生活、どっちかの生活を送ることになるよ?」
今のこの状況は、蛇に睨まれたウサギ状態だ。というか、紙飛行機を手伝う手伝わないで2択の人生を選ばされるなんて、どういうことなんだろうか。
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