(!)進/撃の巨人でリヴァエレ。
シリアスです。
兵長、貴方は知っていますか?
この世界がとても残酷なことを。
世界はとても残酷です。
今だって、俺たちは壁に囲まれ巨人たちの恐怖に毎日怯えている。
数年前の俺のように、子供たちの瞳にはこの世界が美しく見え、とても醜いものに見えているのでしょう。
巨人たちが人々を食らう世界。
阿鼻叫喚。
罵詈雑言。
なんて、残酷な世界なんだ。
「エレン、何をしている。」
「兵長。」
外を眺めていたら、こいつの背中が見えた。
「そんなところで。」
木の下を一生懸命素手で掘っていた。
こぶしが埋まるほどの深さで、右横には小さな土の山が。
「さっき、死んでいたんです。」
そう言って差し出した手に小さな塊が。
「鳥の雛…?」
「はい、あの巣から落ちたみたいで。」
見上げると、枝の交差する部分に小さな鳥の巣。
耳を傾ければ、小さな雛の鳴き声が聞こえた。
「可哀想に…運が悪かったんですね。」
「…」
死んだ雛を哀れむような慈しむような目で見ていた。
そんな奴の表情は、人間味に欠けていた。
「お前は、その雛をそこに埋めるつもりだったのか?」
「はい、他の動物に食べられる前に埋めてやるんです。」
「何故、」
「?」
「何故、そんなことをする。」
「え?」
この世界は残酷だ。
いつかお前は俺に言った。
『兵長、この世界は残酷なんです。』
今と同じ目で言った。
『ミカサの言葉を借りたんですけどね。』
そう言って微笑む口も、目も、顔も。
『だけど、』
お前は、人間だろ。
なのに、何でそんな顔をするんだ。
あ、その先はなんだったか…忘れてしまった。
「…この雛は数年前の俺なんです。」
「?」
「もし今あの時の俺のままなら、俺は今この世にいない。」
こいつは突然何を。
「この力が、俺をあの鳥にしてくれた。」
再び見上げると、青い空の真ん中、一羽の鳥が飛んでいた。
「俺は、いつか壁の外へ、外の世界を見たい。」
「…」
「いや、俺はまだあの巣にいる鳥と同じなんです。あの中で、あの青い空を眺めているだけ、小さな体と瞳でいつかこの空を自由に飛びたいと鳴くだけなんです。」
ふと、巨人化したエレンの姿が浮かんだ。
あんな力を持っていても、こいつは自分をあの小さな雛と同じだという。
「兵長…あなたのように、強くなりたい。あなたのように自由に飛びたい。」
「俺は、あんな大層なもんじゃねえ。」
「いえ、兵長はあの鳥です。」
大きな羽をはばたかせて、どこか遠くへ飛んでいってしまった。
その先には壁。
「きっと、あの鳥は壁を越えていくのでしょう。」
「…かもな。」
「あの鳥は世界を見るのでしょうね。」
「…かもな。」
「あの鳥が見る世界は、どんな世界なのでしょう。」
「…」
思い出した。
『だけど、だけど…世界は、とても美しいんです。』
美しい、か。
お前はこんな世界に生きながら、世界は美しいというのか。
「…世界は、美しい…。」
「え?」
エレンの手からは雛は消えて、穴はすでに土が埋まっていた。
「俺が、見せてやる。外の世界の美しさとやらをな。」
「…!」
エレンは驚いたような瞳で泣いていた。
「俺は、いつまでもあなたの背を追います。」
そして、いつかあなたと一緒にあの空を自由に飛びたい。
世界は残酷で、とても美しい。
end
(突発的に書いたので、もう乱文^p^)
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