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ぼやぼや髭切のふんわりすけべ


「ほら、主も見て?すごいよ。ほらほら」
「ひっ……!だ、駄目!駄目なんです!早くしまって……!」


ぐいぐいと私の顔面に迫り来るモノからなんとか遠ざかりながら、違和感を覚える。
焦る私とは対照的に、目の前に立つ髭切さんはあくまで平然としているのだ。……股間を堂々と露出しながら。
恥じらったり隠すような素振りが全く見受けられないが、これはもしかして……。性的な事に関する知識があまり無いのだろうか?正直、そうとしか考えられない態度だ、これは。

そっか……。じゃあ、悪気は無いんだろう。困ったことだが、きっとちゃんと言い聞かせれば分かってくれるはず。刀剣男士は皆、根はいい子たちだ。だから大丈夫……。

よし、と心を決めて髭切の方へ向き合う。……どうしても視界に入るそれに強烈な居心地の悪さを感じながらも、なんとかきちんと彼の目をまっすぐ見据える。ちゃんと教えてあげなきゃ。審神者は刀剣男士の親代わりな面もある訳だから、私にはその義務がある。……ん、だよね?きっとそう。

初めてそういった知識と触れるのであれば、出来るだけ分かりやすくレクチャーしないと、だよね。
さっきよりは冷静になったところで、こほん、と小さく咳払いをする。今の私は保健の先生だ。重要任務にあたるのだ。恥ずかしくても、やらなきゃならないこともある。


「髭切?ちょっと、待って。とても大事な事を教えないといけないの」


きょと、と金色の目がさらにまあるく見開く。……やっぱりだ、分かってない。不思議そうに私を見つめる髭切さんに勝利を確信しながら、少し得意げに話を続ける。
うんうん、いいぞ私!難を逃れた!やればできるんだ!良かったぁ……。


「……あのね髭切さん。軽々しく異性に股間を見せるのは」
「恥ずかしいし、いけないこと」
「そうです。恥ずかしくて……。えっ……?」
「うんうん、知ってる。だからさ」

「僕と恥ずかしいことしよう。ね……?」


私の手を掴んで股間に持って行き、くすくすと、おかしそうに笑う。
……力が強い。振り解けやしない、嘘だ。


「どうやったらやや子が出来るのかも知ってるよ。ぼやぼやしてるからこういうのに疎いと思った?……僕も平安刀だよ」


死刑宣告に近い言葉が、静かに鼓膜を揺らした。




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