夢小説 いろいろ | ナノ




健全まとめ







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猫吉良さんとうさぎ夢主ちゃん けもぱろ
殺気立った吉良さんに……。


「吉影さんおかえりなさ〜……きゃッ、きゃああぁぁあ!!?」
「……」

今日もいつも通り、玄関で旦那さまをお出迎えしたなまえはびっくり仰天していました。愛しい旦那さまが尋常でないほど血まみれだったからです。朝、きちんとセットしていた筈の金髪の毛並みは乱れ、血と泥がこびり付いて、一目瞭然の酷い有様。普通ではない事が吉良さんの身に起こったのは明白です。
おまけに吉良さんはの目はどこか虚ろげ。

「おっ、お怪我してるの!?大丈夫!?大丈夫なんですか!?し、止血……、止血しなきゃ……ッ」
「ン……?ああ……なまえ、違う、違うんだ。私は怪我なんてしていないから大丈夫だよ」
「え?え……?」
「これは全部返り血さ」
「ひっ……!?」

唐突にズンズンなまえに近づいた吉良さんは、なまえの真っ白な手をとると、自分の頬に擦りよせました。

「ほぅらね、わたしはどこも怪我なんかしていないだろ……?とっても元気だよ……」
「……」

怪我をしていない、という面では確かによく見ると吉良さんは無傷だし大丈夫です。問題は別の面でした。
吉良さんの目が、異様なギラついた光を宿しており、ある意味とても大丈夫そうではないのです。興奮に浮かされた妖しい熱は未だ冷めやらず、青い瞳は普段の落ち着きをすっかり失っています。
なまえは、なまえの好きな吉良さんがどこかへ行ってしまったような気がして、とても恐ろしい気持ちがしました。全身を鳥肌立たせながら微動だに出来ません。濃厚な殺気の名残を目の前にして、草食動物の身は完全に竦んでしまっていました。

「今日の獲物は少しばかり威勢が良くてね」

すっかり固まってしまっている心神喪失みたいな状態のなまえに、気にせず吉良さんは語りかけます。

「どうも熱が冷めそうにない……お嫁さんとして、少し相手をしてくれるね?」
「あ……」


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頭の弱い夢主(若干壊れてる)


「えへへぇ……吉影さん、吉影さぁん……」
「なんだい、そんなにすり寄って……。まるで子どもみたいじゃないか。困ったものだねぇ、なまえ」
「まるで、じゃなくて本当に子どもですもの、私。少なくとも吉影さんの歳から見れば。そうでしょう?」
「それにしたって精神年齢が幼すぎるんだ、きみは」
「ふふっ。お嫌ですか?」
「ん?嫌だったら、わたしがこんな事を許すと思うかい」

わたしの膝の上。随分と無遠慮に乗せられているなまえの生足に手を伸ばし、戯れに撫でさする。
真っ白ですべすべとしており、女特有の適度な弾力と柔らかさを備えた肉。

わたしに名を呼ばれ、わたしに撫でられ、うっとりと目を細めるなまえ。この吉良吉影が己の全てであるとすら信じ込んでやまないんじゃないか、と疑う程の陶酔ぶりを目の前で晒している彼女。
私たちはふたりして部屋のソファーでくつろいでいた。わたしの膝の上には、寝そべるなまえが無防備に投げ出した足が乗っかっているという訳だ。
……ちなみにソファーのあるこの部屋もわたしの家の一部であり、当然和室だった。床は畳だ。痛むし最悪としか言えないが、それを分かっていながらわたしはこれを部屋に置くことを決めた。
理由は単純で、「なまえが欲しいと言ったから」。どうせ買うなら良いものを、と思いそれなりの金もかけたが、それらのコストや労力などまとめて吹っ飛ばすくらいになまえはこのソファーを喜んでくれていた。
だからわたしはそれで満足だった。
この部屋は、なまえの好きに使うと良い。


純真無垢で素直なのは美徳であると同時に、しかし騙されやすくもあり、必ずしも良い事であるとは言い切れなかった。事実なまえの素直さはどこかネジが外れており、度を越しており、到底綺麗な言葉だけでは表せられそうもない。―――明け透けな物言いをしてしまえば「馬鹿」「頭が足りてない」とも表現できるだろう。あまりなまえの悪口は言ってやりたくないが、しかし事実そうなのだから、まあ仕方がないだろう。
さて、なまえを批判するような言葉ばかり並べ立てたところではあるが、わたしはそんななまえを心底気に入っているのだった。

「なまえ、わたしの事は好きかい」
「すき」
「どれくらい?」
「いちばん」

彼女の無知も、無邪気さも―――それと表裏一体の愚かさ、馬鹿ささえも、今のわたしには好ましく思えているのだ。この生き物は、無知とそれゆえの清らかさの二つ合わせてなまえという形を成している。
素直なのは良い事だ。ニコニコと愛想を振りまいて、ともすれば媚びているようにすら見える過剰な振る舞いをする事もあるが、なまえの場合そこに計算は微塵も存在しなかった。わたしへの妄信的とも言える愛情を隠さず表出しているだけ。
なまえの行動理念は、「そうしたいから、そう思ったから」そのまま素直に振舞っているだけ。動物的で単純だ。その分扱いやすい点も、わたしにとっては手間がかからなくて良い。

その愛らしさと一体の愚かさもまた、それはそれで……。
頭の良くない人間というのは基本的にわたしは好かないが、彼女だけは別だ。「この娘はわたしがいないとまるで駄目だな」「ひとりでは何もできない、まったく非力な存在だ」ということを、わたしに優越感を伴い実感させてくれる。だから良い。
動物の赤ん坊を飼って育てる奴らもこんな心持ちなんだろうか?きっとそれと近いんじゃあないかな。
まあなまえはペットなどではなく人間だから、ペットならしないこと―――まぁ、色々―――してもらっている訳だけれどね。
クク、と一人自嘲しながら考える。


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下着の色をお伺いしてみる


「吉影さん、ちょっとお伺いしたいんですけど、……今日の下着は何色ですか?」
「なまえ……不躾だとは思わないのかい。人に下着の色を尋ねる前に、まずは自分の下着の色を教えなさいと習わなかったのかな?」
「え。そんなの初耳ですよ」
「なんだって……それはいけないねぇ。よく思い出してみなさい。学校で習ったろ。一般常識だよ」
「すみません……」

そんなのありえません。どんなルールですか。

それにしてもさすがというか……。斜め上の解答に、私も頭を悩ませます。これは吉影さんからの挑戦状ととっていいでしょう。

「そうですね、私としたことが失礼しました。私の下着は、今日は黒とピンクのレースです。この間買って頂いたばかりの……大人っぽいやつですよ!」


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口移しプレイで遊ぶネタ書きたかったメモ


「な、なんとか出来た〜……!んー……、味も問題ないし、これなら吉影さんも喜んでくれるかなぁ。喜んでくれるといいなぁ」

台所に並べられた焼きたてのクッキーたち。
ハートに肩抜いたシンプルなもので、味はプレーンとチョコレートの二種類。
プレーンは問題なしだ。ついでに、味見がてらチョコ味の方も口に放り込むと、甘い香りが口いっぱいに広がって幸せになる。

「ん〜……けっこう美味しいかも!やっぱり甘いものはいいなぁ。食べ過ぎると吉影さんに怒られるから、普段はあまり食べられないけどね……」

いくら健康に不必要だと釘を刺されても、私の体は甘味を求めているのだ。たまに食べないと、心の方が不健康になってしまう……と、言い訳をしておきたい。
思わず「もう一つ」と食い意地を張りそうになる手をなんとか理性で押し留め、残りのクッキーにラップをかけた。本当は欲望に任せて全部貪り食べたいくらいだけれど、これは吉影さんに喜んで貰うための物なのだから、私が食べてちゃあ意味がないのだ。

台所に広げた道具を片して、エプロンを外す。
あとは彼を待つだけ。どんな反応をしてくれるのかが楽しみで、少し浮き足立ってしまっていた。

「ふんふーん、えへへ。吉影さんまだかなーっ」

再び手持ち無沙汰に戻った私は居間で本を読む事にした。さてさて、明日はどんなお菓子を作ろうか?図書館から借りてきた大量のレシピ本をぱらぱらと捲り始める。
するとまたワクワクしてきて、退屈な気持ちなどどこかへ吹っ飛んでしまう。印刷された色とりどりのお菓子の写真を見ながら、吉影さんが喜びそうなものを探していく。

そもそも何故こんな事をしているのかというと、もともとは暇だったからだ。
吉影さんが私に家事をさせてくれないために、平日、私は常に暇を持て余しているといっても過言ではない。掃除は最小限、洗い物も自分が食べたお昼の分くらい。唯一の家事らしい事といえば、干してある洗濯物を決められた時間に取り込むくらい。

こんな生活では、暇すぎて頭がボケてしまうのも時間の問題だ。
だから今日はふと思い立ってクッキーを焼いてみた。




仕事から帰ってきた吉影さんが着替えて居間にやって来る。一息ついたところを見計らい、私はクッキーを乗せたお皿を吉影さんの目の前に出した。

「あっ……あの〜……、作ってみたんです。良かったら味見してくれませんか?」
「作った?なまえがかい?」
「はい、頑張りました。出来はどうか分からないですけど、食べて頂けると嬉しいです」
「や、火傷はしなかったんだろうね?ちょっと手を見せてみなさい」
「……そこまで壊滅的な不器用じゃないですよ?」

第一声が火傷の心配という事実に胸が痛くなる。確かに私は要領が悪いが、クッキーひとつ作れない程ではないというのに。女として恥ずかしい。

「さて……食べさせてくれるよな、なまえ」
「は、はい。もちろんですよ」

普通の恋人みたいなやり取りに照れくさくなってしまう。

あーんさせようとした手を掴まれた。

「なまえ。わたしはね、もう一段上の『あーん』をしてほしいんだよ。してくれるかな?もちろん、なまえならきっとやってくれると信じているがね」
「上の……?どんなのですか?」

まさか高度な変態プレイを要求されるのではないか、と身構えてしまう。吉影さんはそんな私を見て笑い、言った。

「なに、簡単なことさ。口で渡すんだよ、口で。親鳥が雛にするようにね……」
「口で……。それなら出来そうですね、やってみます。よ、よーし……」

まあ、割と……吉影さんにしては普通のお願いだ。恋人同士なら割と普通のことなのかもしれない。よく分からないけれど、想像していたよりずっと普通で拍子抜けした程だ。
クッキーの端をぱくっと咥え、吉影さんの口元へ運ぶ。


夕飯時

「なまえ、コレ」
「?なんですか?」
「ん」
「……プチトマトですね。どうしたんですか?」

訴えるような眼差しの吉影さんがん、ん、と自分の口元をとんとんと指し示している。
まさか……。

「そ、それを口渡ししろと……?」
「フフフ。なんだか癖になってしまってね?」
「え、ええ〜??さすがにご飯中に遊ぶのはマズいですよ!」

「仕方ないですね、もう……!コレだけですよ。他はちゃんと普通に食べてくださいね!」
「わかってるよ。ホラ、早く、なまえ。食べさせてくれ」



コロコロと互いの口内を往復させてきたのだ……!!
食べ物で遊ぶなと注意したのになんてことをするんだ、この人は。流石に呆れた。
抵抗するために口内に押し入ってきたトマトを必死に舌で押しのけるも、吉影さんも負けじと押し返してくる。これでは埒があかないけれど、だからと言ってされるがままというのも気に食わず、次第にトマトの押し付け合いみたいになった。
しかしそんなことをしていればどうなるかは目に見えている。柔らかくなったトマトに強く歯が当たり、そのままぶじゅっ、と勢いよくプチトマトが弾けて―――

「うぶぇッ!?……!!」
「……おっと……」

ひっつく吉影さんの胸元を強く押しのけ、やっとの思いで引き剥がしたものの、二人とも散々な状態だった。口元もトマトの汁でべたべたする、汚い……。どんなプレイなんだ、これは。変態的なプレイに興じている事に遅れて気付き、遅羞恥心がぶわりと燃え盛りました。
ていうか変な叫び声あげちゃったし、もう最悪すぎる……。

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誕生日ネタを書こうとしていたメモ


果たして吉良さんの誕生日を素直に祝って良いものなのでしょうか。
好きな人の生まれた日よりおめでたい日もない筈ですが、いかんせん恋した相手は殺人鬼です。手放しで喜べるかと言えば、やはり難しいというのも本音。

吉良さんは頑なに自分の人生は幸福だという主張を曲げませんが、良心の呵責やさしたる躊躇いもなく人殺しを継続的に行わないと落ち着かないような精神状態の人間を、私は幸福とはとても思えません。
どう考えても「不幸」なのでしょうが、そこはやはり吉良さん、持ち前のポジティブで「地獄の底」すら「静かで平穏な暮らし」に変えてしまっている訳で話がややこしいのです。


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「なまえ……」
「吉影さん……」

「こうか?こうがいいんだね?」
「あっ、あうぅ……!そうですぅ……!吉影さんのおてて大好きぃ……!」


なでなでされて はぅうんってなるなまえさん。



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吉影さんの男らしい骨ばった手が、私の頭に乗せられる。そのまま髪を撫でなでられる。
これこそが私の人生の至福だ。

「よしよし、なまえは頑張り屋さんだね……。」
「んはぁ〜〜〜……!吉影さぁん、気持ちいいです……」
「ンン〜?こうか?こうがいいのかい?」
「んんっ……それがいい、です……!もっとしてくださいぃ……」


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ふたりはよるのなか


「わたしをゆるして。きらいにならないでくれ。なまえ、なまえ。いやだ、いやだ、いやだ……」

「いやだ……いやだ……。恨まないでくれ。あんな風に思われるのはいやだ。なまえにあんな風に思われるのはいやだ……恨まれるのはいやだ……」

「なまえに嫌われる。どうしよう。なまえに嫌われる……」

吉影さん。
お母様のこと、心の底で、酷く恨んでいたのですね。
子ども心に感じたその強烈な恨みの気持ち。
暗く、暗く、暗い。真っ暗な気持ち。
自分がその身をもって体験した気持ちだからこそ、それがどういう感情なのか……その全てを知っていて。
それが今度は自分に向けられるかもしれないと気付いて、たまらなく恐ろしくなってしまうのですね。

可哀想なひとだ。

普通の人間関係を築けず、かといって温かな恋人関係も作れず、人を愛せない。誰も信じられない。他人を見下す。挙句に人をたくさんころす。
そもそもおかしいと思ったのだ。そんな状態の人間が普段あんなに落ち着いて、ささやかな幸せを喜んで生きるなんてことできるはずもない。
しかし吉影さんにはそれができていた、つまり。
根本的な嫌なもの……例えば子どもの頃の記憶……それらに耐えきれなくなった吉影さんは記憶へと無意識に強固な蓋をして、無視していたのだろう。
その蓋が開いてしまえば、彼はこうして青ざめた顔をして、いつも無視していた反動も相まって取り乱してしまうんだ。


ひどくパニックに陥っている吉影さんの背中を優しく撫で、子どもをあやすように言い聞かせる。


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この身体をいつまでも貫き続ける痛みだけが、あなたと共にあった証なのです。


吉良さんと出会ってからの私の生活は、夢のような日々でした。

本来ならばとうの昔に死んでいたはずの私に、夢を見せてくれた貴方。深く感謝しています。

いつかこの痛みも喉元を過ぎて、どうか、思い出す間も無く、冷め切ってしまいますように。


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目が覚めたら、世界が二人だけになっていた。
二人きりの世界に、なっていた。
私たちだけのための世界に、だ。

「そんなバカな……」



(……じゃあ、いままで存在していた人はどこへ行ってしまったんだろう。)

いや、吉良さん以外の誰とも話さなくて済む事も、仕事なんてつまらないもののために時間を使わなくて良い事も嬉しいのだが、そうじゃない。
そうじゃないのだ。

「そりゃあ何度も願いましたよ、吉影さんと二人きりの世界になっちゃえばいいのにって。」

「でも、何というか、いざ実際にそうなってしまうと……」
「いいじゃあないか、そんなことはどうでも。」


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