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リラクゼーション・手コキ




……むにゅ。むにゅ、むにゅ。
吉良さんの大きな骨ばった手が、私のお腹のお肉を躊躇いなく揉んでくる。吉良さんといえど、女子にこのような行いは到底許されない。
大人しく膝枕されていてくれればいいものを、寝ているだけだと手持ち無沙汰なのだろうか?
私は、熱心に人のお腹をムニムニしている手をやんわりと遮り、ほんのりと抵抗の意を示してみる。

「あっ!ちょっとちょっと、お腹は触らないで下さいよ〜…!」
「なぜだい?いいじゃあないか、ホラ、とっても柔らかいぞ…。わたしの手に実によく馴染む。もうこれはわたしのためにあるようなものだな」
「なに変なこと言ってるんですか。私のお腹は私のものですよ」
「いいや、それは違う。よく考えてみてくれ。なまえはわたしの恋人だろう?恋人ってことは、ゆくゆくは結婚するってことだ。つまりきみはわたしのお嫁さんも同然。お嫁さんは心も体も旦那さまのものなんだよ。今からしっかりと妻としての自覚を持つべきだと思わないかね」
「えっ……と……?う〜ん…よく分からないです」
「困ったね。ゆくゆくはなまえにも理解して欲しいところだが……まあ、いずれ、分かるようになるんじゃあないかな?」
「そうですか……?」

出ました、吉良さんの超飛躍理論。今日も自己都合押し付けワールドは全開です。

「そういう訳で……なまえ。とにかく揉ませて貰うからね」
「え、ちょっ……あああもう!お腹は嫌なのに〜!!なんでそこなんですか!せめて足とか二の腕とかにして下さいよ〜!」
「ちょうどいい位置だったからねぇ、フフフ」

「まあしかし……そこまで嫌ならわたしも無理強いはしたくない。膝枕は素敵だが、なんだか手持ち無沙汰でね。なまえが、わたしを退屈させないような事をしてくれれば、わたしもこんなことはしないさ……」
「……???」

何が言いたいんだろう……?
何か含めたような物言いに微妙な違和感を覚えた。退屈させないような事とは例えばどんな事だろう。吉良さんは私に何をして欲しいのだろうか。

「……」
「……吉良さん?何ですか?」

自由に人の腹肉を掴んだ手はそのままに、私をじっと見上げている青の瞳。何かをじっと訴えかけるようなその眼差しに、私は言葉を詰まらせる。どうやら何かを分かって欲しいみたいだけれど、生憎と言葉にして貰わなければ理解できそうになかった。

「…わたしは疲れているんだ」
「そうですね。毎日お疲れ様です。吉影さんは偉いですねえ。よしよし」
「……」

頭を撫でたら黙ったが、依然として何か言いたげな表情だ。
何だろう。甘えたがりさんモードかな?
しかし、そういうのともまた少し違うような気がする。この違和感は一体……。

しばらく撫でていると、ついに痺れを切らしたのか、吉良さんは無言で私の右手を掴んできた。おっ、どうしたいのかな?と見守っていると、吉良さんは私の手をそのまま引いて……私の手の平が着地した先は、なぜか吉良さんの股間の上だった。
紫のスラックス越しに、吉良さんのまだ柔らかいモノの感触を感じて唾を飲んだ。

「……!?」
「驚かせてすまない。いや、少しばかり…ね。癒してほしいと思ってね。疲れてるんだよ……分かるだろ?」
「あ、ああ……そういうことですか」

さっきから回りくどく何を言おうとしているのかと思いきや、これか……。どうやら性的な奉仕をして欲しいらしい。それならそうと言ってくれればいいのに。

「さっきも言ったように、これも妻の義務だ」
「そ、そんなに言わなくったってやりますから。別に、拒否しようなんて思ってませんよ」
「そうかい」

ゆっくりにゅこにゅこする。
吉良さん、気持ちよさそうに目閉じる。

「これも一種の…ぅっ、リラクゼーション…なんだからね…。んんっ……はぁ…、あァ〜……っ」
「はいはい、そうですね、リラクゼーションですね。も〜、仕方ないんですから…」

変な言い訳なんて並べないで、普通に頼めばいいのに。……手コキしてほしい、って。まったく、リラクゼーションだの何だの、言い訳の多い人だ。



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