夢小説 いろいろ | ナノ




嘘睡姦(起きてる)





「ん〜……。吉影さん、遅いなぁ〜……」

すっかり日も傾いて、森には夜が訪れようとしています。「夕飯までには戻るよ」と告げたはずの旦那さまはまだ帰ってくる気配がありません。
明かりの灯った広い広いお家には、留守番を言いつけられたうさぎさんが一匹。広いリビングの一室、白い革張りのソファーの上で仰向けに寝転がって、日に焼けていない真っ白な足を暇そうにぱたぱたさせています。赤いスカートが捲れ上がって大胆にも太ももの際どい所まで露出されてしまっている姿はなんとも無防備ですが、本人はまるで気にしていない、というか心ここに在らずといった様子。長く繊細な睫毛に縁取られた、いつもは爛々と輝いている星の海のような瞳も、今はどこかぼんやりと天井を見上げるばかり。うとうとしては、ハッ、と慌てて目を見開くのを繰り返しているようです。
なまえは眠気で重くなるまぶたを何とか気力で持ち上げて、今か今かと吉良さんの帰りを待っているのでした。
どことなく不安そうにクッションを抱きしめては溜息をついています。

元よりうさぎは寂しいと死んでしまう生き物。何をしていてもふとよぎるのは、吉影さんの声、匂い、頭を撫でてくれる優しい手のひらの感触。一人でいると彼が恋しくなってたまりません。
もともと森で一人暮らしをしている時は、こんなに寂しくて心許無い気持ちになった事なんてなかったのに……。困ったものです。
お昼ご飯にと持たせたお弁当は食べてくれたでしょうか。お怪我はしていないでしょうか。そんな心配事が延々と、なまえの頭の中を回っています。
しかし吉影さんは賢い猫さんだから大丈夫だと、なまえはぷるぷると頭を振って暗い考えを振り落としました。
そう、お嫁さんに必要なのは旦那さまへの過剰な心配などではありません。

「ふー……。遠くまで狩りに行くって言ってたから、時間かかってるのかもなあ。帰ってきたらたくさん労ってあげなくちゃ……。よし、寂しがってる場合じゃないや。吉影さんを元気にしてあげるんなら、私が笑顔じゃないと!」

ぴしゃりと頬を叩いて気合いを入れたなまえは、人さし指でくいっと口角を上げ、寝転がったままニコニコ笑顔を作っています。
気持ちが沈んでいても、笑顔さえ作れば明るい気持ちがやって来る。そう信じて、うさぎさんは健気にも一人で笑顔の練習に励むのでした。

働き者の旦那さまを癒すのは立派な妻の務め。
なまえは今日こそ日頃のご恩に報いられるように、と意気込んであれこれ用意していたのですが、吉良さんは一体いつ帰ってくるのでしょうか。待ち遠しい所です。
お部屋の掃除も一生懸命したし、お風呂も洗ってあるし、掛け布団はお昼に干したのでポカポカのふっかふか。これならお疲れの吉良さんだってとっても喜んでくれるはず!
なまえを抱きしめて、「いいお嫁さんを貰って良かった」「夫として鼻が高いよ」とたくさん褒めてくれるかもしれません……!
吉良さんの笑顔が見られると思うと、なまえはなんだかソワソワした気持ちになってたまらないのでした。
お気に入りのソファーの上でクッションを抱きしめながら嬉しそうな顔でゴロゴロと悶えています。この笑顔は作り物ではなく、本心から湧き上がってきた自然なものでした。落ち込みからは段々と回復しつつあるようです。

「うふふ。おかえりなさいって、お出迎えしてあげなくっちゃ……楽しみだなぁ」

マーキングをするようにクッションに顔を擦り付けるなまえは、旦那さまの帰りがどこまでも待ち遠しくてたまらない様子。クッションに微かに残るつがいの雄の匂いを愛おしそうに胸に吸い込みながら、ほぅっと息を吐いています。
二人の愛の巣である吉良邸には、どこまでも微笑ましい光景が広がっているのでした。


*******

はぁ、はぁ、はぁ。

―――至近距離に誰かがいるのでしょうか?
温かい息が頬を掠めている気配で、いつのまにか眠っていたなまえは強引に意識を覚醒させられました。
なぜだか体が重くて動きません。何か上に乗っているような……。

(ん……)

しかし寝起きの頭は上手く回らず、自分が今どんな状況に置かれているのかが瞬時に理解できないのでした。
困ったなまえは依然目を閉じたまま、ゆっくりと意識をハッキリさせてゆきます。

(……?)

何やら首筋がくすぐったいのです。ふんふんとうなじに当たる微かな息のこそばゆさに眉を顰めます。
……どうやら何者かに匂いを嗅がれているようです。
仰向けのお腹の上がどしりと重いのは、そいつに馬乗りにされているせいでしょう。
なまえが退こうと身を捩ったとしても恐らくビクともしないであろうガッシリとしたこの重さ……恐らく相手はオス。全体重をかけられているという訳ではないので潰れる事はありませんが、それでも己より大きな体に乗られて苦しいのは間違いありません。
意識の浮上に合わせて段々と己の状況を把握し始めたなまえの頭にはたくさんの「???」が浮かんでは消えます。

(……えっ……なっ、何……?どういう事??)

起き抜けに訳の分からない事態に見舞われたなまえは硬直してしまいました。
しかし何も分からなくとも、うさぎの臆病な生存本能がこれは危険な状況だという事を直感で理解します。頬には静かに冷や汗が伝いました。
目を開けてこのケモノの正体を確認すべきだとは思うものの、あまりの恐ろしさになまえは勇気が出ません。

このケモノががもし吉良さんではない、他の肉食獣だとしたら……。若い雌兎の肉を狙って、旦那さまの不在に乗じて住みかに乗り込んでくるような、腹を空かせた凶暴な敵だとしたら。
最悪の可能性が頭によぎり、すっかり恐怖に支配された脳ではこの場から助かるための冷静な判断も出来ず、ひたすら混乱するばかりで使い物になりません。体は硬直してしまっているし、無力なうさぎさんは完全に窮地に立たされてしまっています。
せめて耳と鼻で相手がどう出るか探ろうと意識を集中させようとはしたものの……。
微かに鼻をヒクつかせたなまえは逆に泣きそうになってしまいました。

(この、匂い、血……。間違いない、肉食獣だ―――)

鼻につくのは濃厚で強烈な血の匂い。色濃い死を感じさせる匂いに脳が最大で警鐘を鳴らします。
まさか相手が血塗れという訳ではないはず。となると水浴びをしても匂いが落ちないような新鮮な血を今日被って来たばかりの相手という事になります。どれだけ凶悪極まりない危険な生き物だと言うのでしょう。
なまえの頬からはいよいよサーっと血の気が引いていきました。いよいよ本格的な生命の危機を察知します。

まず距離が近すぎるのです。うなじやら髪やらに顔を近づけてはふんふんと匂いを嗅がれているこの状況でもしこの獣にこのまま牙を突き立てられれば、避けることなど到底叶うはずもなく。
そうなってしまえば弱っちいうさぎのなまえなどひとたまりもありません。抵抗する暇もなく、次の瞬間には新しい死体が一つ出来上がっている事でしょう。
自分は死ぬ訳にはいかないのに。旦那さまをお迎えしないといけないのに。どうしてこんな事に。

―――きっと自分が眠ってしまったからバチが当たったのです。
なまえの胸は強烈な後悔に襲われ、今にも押しつぶされてしまいそうでした。
極度の緊張でまともに息も出来ない哀れなうさぎの首筋には、絶えずふんふんと荒い鼻息がかかります。どうやら相手は何故か興奮し始めたようです。
動かないうさぎを相手に、なにやらモゾモゾと大きな体を擦り付け始めてきたこのケモノは、一体何が目的なのでしょうか?眠っているフリをするうさぎさんの華奢な体を抱きしめるように密着して、獲物へのマーキングでもしているつもりなのかもしれません。

(何が目的なの……。そういえばライオンさんは獲物を可愛がっているうちにウッカリ殺しちゃう怖い奴だよって吉影さんが言っていた事があるけれど、まさかそういう類いの……!?そういえば、最近ここらを変なよそ者がうろついてるって言ってたけど、まさか……)

今日、なまえが吉良さんからお留守番を言い付けられたのは遠出だからという事もありますが、付近の森で変な噂が飛び交っているせいでもありました。
なんでも、白い毛並みに黒い稲妻のような模様が入った、大型の肉食獣がこの辺りを徘徊しているんだとか―――。

謎のケモノの頭がぐりぐりと豊かな胸元に押し付けられ、なまえの鎖骨に奴の髪の毛がふわふわと当たりました。くすぐったさと悍ましさで体がビクつきそうになるのはなんとか堪えられましたが、なまえの心はそろそろ限界です。動物の知覚のゆうに八割を占めるという視覚に全く頼れないこの状況では、不安は増すばかり。
そんな事とは知らない男はなまえの豊かなお乳に鼻先を押し付けては、その柔らかさを楽しみ始めました。

(ひぃいっ……!!う、嘘……。何なの、この人っ……!?き、気持ち悪いよぉ……)

自分は今、訳の分からない変態に襲われているのだと悟ったなまえは半泣きで耐えるしかありません。しかし耐えると言っても限度があります。このまま黙って寝たふりを続けていれば、むざむざ食われるか気持ちの悪い変態行為を働かれるかの二択しかないと分かり、途端に背筋がゾゾゾッと粟立ちます。
変態行為だけで済むのならば命が助かるだけマシと思いたいところですが、しかしなまえは人妻なのです。なまえの体も心も……その全てが吉良吉影だけのためのもの。訳の分からないヤツにむざむざ犯されてやるなんてまっぴらごめんでした。

(どっちも絶対に嫌……!!せ、せめてっ……誰だか目で見て確認しないと……!!でも、私が起きてる事に気付かれたら、殺されるかもしれないっ……。どう、すれば……。うぅうっ、吉影さん、助けてぇ……!!)

キツく閉じた目の端にじわりと涙が滲み出ます。ただ怖くて怖くて、どうにも出来なくて、恐怖でぐしゃっと押し潰されてしまいそうで。きゅっと引き結んでいた唇は震えそうになって止められなくて。
なまえの心か今にもポキリと折れそうになっていた、そんな時でした。

濃厚な死の―――血の匂いに塗り潰されていたせいで最初は気づきませんでしたが、微かに香るこの匂いは、まさか。

(んっ……。んんん???あ、あれっ……?これ、吉影さんだ……!?)

紛れもなくこの世で唯一の旦那さま―――嗅ぎ慣れた吉良さんの匂いです。
それに気づいた瞬間ふっと緊張が解け、なまえの体からは一気に力が抜けてしまいました。
睡眠中のなまえに変な事を働いている不届き者の正体は、まさかの吉良さんだったのですから。

(う、嘘……。帰ってきてたなら、なんで起こしてくれなかったの……!?)

未だ胸に顔をうずめてモゾモゾと頬擦りをしている男の方を、薄目でちらりと伺ってみれば―――見慣れた美しい金髪の毛並みに、優雅な長い尻尾。緑色のストライプのシャツに、自己主張の激しい猫ドクロネクタイ、紫色のスラックスが目に入ります。
やはりそこにいるのは紛れもなくなまえのただ一人のつがいであるその人、吉良吉影です。こんな個性的なセンスの人はこの世に二人と存在しません。
心底呆れたような、疲れたような、ちょっと安心もしたような……なんとも形容し難い複雑な思いを胸に抱え、なまえは心の中でそっと溜息をつきました。

彼がどうにも血生臭いのは、狩りによって水浴びでも落ちないほどの獲物の血を浴びて帰ってきたから。
冷静な判断力を欠いていたなまえは、本来ならば忘れるはずのない吉良さん本来の匂いを咄嗟に識別する事が出来なかったのでした。
取り敢えず命の危険が無い事はハッキリしましたが、それでもこの状況には疑問だらけが残ります。吉良さんは眠っているなまえを起こしもせずに、一体何をしているのでしょうか?

(ええと……?なんていうかもう、凄く訳が分からないけど……。と、とりあえず……声出していいよね?吉影さんなら殺される事はないし。でも、なんて言えばいいのかな……?おはようございます……?)

眠っているお嫁さんに対して強姦魔紛いの事をしている旦那さまの異様な様子に気圧されて、なまえは戸惑っています。
ここは捻りなく「何してるんですか?」と言うべきところでしょう。何にせよ、早く自分が本当は起きているのだという事をアピールしなくてはなりません。
タイミングが掴めないからと言っていつまでも寝たふりを続けていれば、この行為はどんどんエスカレートするのですから。

眠ったフリのまま、一言目をなんと切り出すべきかと悩んでいるなまえの胸元から、うっとりとした表情の吉良さんが顔を離します。
案の定、胸の柔らかさを顔面でたっぷり堪能したケモノ、というよりケダモノの―――なまえの大切な旦那さまの吉良さんは、次なる行為に移るようです。
なまえの体に覆い被さるようにピタリと抱きついていた彼は、緩慢な動作でのそりと少しだけ身を起こすと、なまえの胸を両掌でふんわりと包みこみ、じっくりゆっくりと揉みしだき始めたのです。
彼に意識のない体を弄ぶような趣味があったとは知らず、なまえは少なからず衝撃を受けてしまいました。

(やっ!!えええっ……!?今度は何してるのっ、吉影さん……!?)
「……」
(ううっ、なんか無言って怖い……!)
「……」

本格的に怪しい行為を働き始めた吉良さんの意図が全く分からなくて、可哀想ななまえは竦み上がってしまいます。
再び緊張でカチカチのなまえに対して、吉良さんはどこまでもうっとりした表情のままにこの行為を続けるのでした。
目の前の二つの柔らかな膨らみを、まるでパン生地を捏ねるかのように執拗に揉み込む、骨ばった大きな手。乳肉に指先を沈み込ませてはその柔らかさにニヤリと口角を上げ、手の平で優しい弾力を弄んではさするように撫でたり、乳肉を下からぐいっと持ち上げて寄せたりと、人の体で好き勝手に遊ぶ有様です。しかも無断で。
相変わらず酷くマイペースな猫さんです。

無言で変な事をしてくる吉良さんに微妙な気持ちになったなまえは内心呆れ顔です。
性的な刺激に先程とは違うゾクゾクで少しだけ体を痺れさせながら、なまえは後悔していました。
さっさと吉良さんに声をかけなかった事と、それからもう一つ。

(私、お風呂入った後にブラ外してたんだった……。さ、最悪だ……)

帰りの遅い旦那さまに焦れて、なまえは先にシャワーだけ済ませていたため、着替えの時にお風呂上がりの癖でブラは外してしまっていたのです。寝る時は体を締め付けられたくない派のなまえなのでした。
それがまさか吉良さんに揉みやすいお乳を提供してしまう事になるとは……。

ブラを着けていない状態のなまえの胸を守るのは薄っぺらい洋服のみ。布一枚越しの生乳の手触りというのは、それは素晴らしい感触で吉良さんを虜にさせています。
吉良さんは、ピンクの布地に浮かび上がる小さく愛らしい突起に気付くとそこへ狙いを定め、当然のように服の上からくりくりと指先で擦り始めます。
円を描くようになぞったとか思えば、すかさずくにっと軽く押しては戻してを繰り返したり。小さな刺激はなまえのメスの体に少しずつ火を灯してゆきました。
いつまでもこんなじれったい事をされていては気が狂ってしまいそうです。
変な事しないで、とチョップの一つでもお見舞いしたい所ですが当然それは不可能。「起きていたならさっさと言えばいいものを。本当はわたしにこうされて気持ち良かったから、わざと寝たフリしてたんじゃあないのか?」などと言われて苛められるに決まっています。
おっぱいへのもどかしい摩擦に翻弄されつつも、それでも今のなまえは目をぎゅっと瞑ったまま堪えるしかありません。
服越しにきゅっと乳首をつままれたって、体をビクつかせることはおろか、喘ぎ声の一つも上げることは出来ないのです。

(ひぇぇええっ!!おっ、おっぱいがぁっ……!?んぅっ、これっ、凄く、くすぐった……いッ……、無理っ!)
「……」
(ふ、ぁぁあ……!や、やだっ……今、そんな事したらっ……!これ以上はもう……吉影さんっ……やめてぇ……!!)
「……、……っふ。ククッ……」
(え、え……!?な、なんか今笑った!?何なの!?)

……堪えるといってもほんの少し肩が震えてしまっていますが、それでもなまえは必死にむずがゆさを感じていないフリをしています。我慢に集中するあまり、眉根を寄せて苦しそうな表情になってしまっている事には気付きそうもありません。
本当は我慢する必要なんて別に無くて、さっさと制止すればやめて貰えるというのに。
愚かなうさぎさんは、目を覚ますタイミングを完全に見失っていました。

「……なんでノーブラなんだ、なまえ」
(……!!)
「まさか……わたしが帰ってきてすぐ交尾に勤しめるようにと気遣いをしてくれたのだろうか。なまえは交尾が何よりも大好きだから、きっと待ちきれなかったんだろうな」
(それはないですよ……)

無言を貫いていた吉良さんが不意に言葉を発し、なまえは思わずビクッとしてしまいます。しかしこれはチャンスです。語りかけられたのならば、返事を返せば自分が起きているという事実を伝えられるのですから。今こそがツッコミを入れるべき時です。
敏感な部分をこすこすと指の腹でいじられる刺激に耐えながら、なまえが反論の言葉を言うためにやっとの事で口を開きかけたその時でした。
タイミング悪く吉良さんの方が先に話し始めてしまい、なまえの発言する隙は失われてしまいます。

「それにしても、眠っているのにカラダはちゃんと反応するようだねえ……」
(……吉影さん、一人で何か話し始めた。ていうか、……んぅ……!いい加減変な所触るのやめて欲しい、のにッ……!)
「なまえのココ……乳首が……フフ、こんなに固くなってるよ?『眠っている』のに、本当に敏感な子だ」
(やけに強調するなぁ……。もしかして私が本当は起きているのを知ってて意地悪言ってるの……?それとも本当に気づいてないだけ……?どっちだか分からない……!)

当然吉良さんは、乳首を可愛がった時のなまえの反応を見てとっくに狸寝入りに気づいていました。旦那さまはお嫁さんのちょっとした表情の変化だって見逃さないのです。
しかしそんな事とは知らないなまえはやはり混乱するばかり。吉良さんの思惑通り、いたずらに翻弄されるしかないのでした。
ようやく乳首を苛めるのをやめた吉良さんは、なまえの胸に再び顔をうずめて目を瞑ります。どうやらこうするのがお気に入りのようです。
吉良さんは大袈裟な溜息をつきながら言いました。

「……なまえ、先に寝てしまうなんて寂しいじゃあないか。きみの旦那さまがひと仕事終えて帰ってきたってのに……」
(あ……、そう言えばそうだった……。せっかく狩りを頑張ってきた吉影さんに酷い事しちゃったな、私……。やっぱり謝りたいよ)

吉良さんは不貞腐れてなまえにこんな意地悪をしていたようです。確かに、いつもより大変な狩りから帰ってきたというのにお嫁さんはぐーすか寝ているなんて悲しいシチュエーションです。途端に申し訳なさが出てきて、なまえは焦ります。
これはもう、例え何とからかわれても構わないから今すぐ謝ろうと、静かなる決心をした―――ところまでは良かったのですが、それより先に吉良さんが怪しい事を言いだしてしまいました。

「寂しいなぁ……なまえ。わたしはとても寂しい。旦那さまに寂しい思いをさせるなんて酷いね。これはお仕置きが妥当だと思うんだが……」
(お仕置き!?怖い事されるの!?確かにちゃんとお出迎え出来なかった私に非があるけど、そんなぁ……!)

不穏なワードに反応したのか、なまえのスカートから覗く太腿に鳥肌が立っています。
金色尻尾でそんななまえの太腿をベシベシ叩いている吉良さんは不機嫌そう。ぱちりと開かれた目は据わっています。
一体どんな恐ろしいお仕置きが始まるというのでしょうか?

居ても立っても居られないなまえが恐る恐る目を開くと、吉良さんの青い瞳とバッチリと目が合ってしまい、ひゅっと息を飲み込みました。
そのままどちらも微動だにせず、一秒、二秒、三秒……。
時間が止まったかのような錯覚に陥ります。気まずいなんてものではありません。なまえのうさみみがぶるぶる震え始めました。

「……よ、よしかげさぁん……」
「……」
「あ、あの。わ……私、起きて……ます。黙っていてごめんなさい……」
「……」
「吉影さんに胸を触られて、変な空気になって、その……なんだか恥ずかしくて、起きてるって言い出せなかったんです……。帰ってきた時お出迎え出来なくて本当にすみませんでした……」
「……フー……」

か細い声を絞り出して喋る、涙目のなまえの哀れさといったらありません。今にもしぼんで消えそうな勢いです。
しかしなんとか謝れました。何も悪気があった訳ではないのですから、吉良さんだって苛烈になまえを責めるつもりはきっとないはず……なのですが。

しょぼくれているうさぎさんを見つめた猫さんは少し考える素振りをした後、身を起こしてソファーから降りました。なまえはそれにホッとして、少し乱れてしまったスカートの裾をそそくさと手で直しています。このまま遅めの夕飯を用意して、旦那さまのご機嫌回復に努めたい所です。台所に行くべく、なまえもソファーから立ち上がろうとします。

「……ふぅ。それじゃあそろそろご飯に―――」
「なまえ?寝ている子が喋っちゃあダメじゃあないか」
「えっ?」

肩をトン、と押されて背後のソファーに逆戻り。よろめくなまえの体は再びふかふかのソファーに沈み込んでしまいました。先程と同じく仰向けに戻されたなまえは目をぱちぱちさせています。
対する吉良さんはソファーの前で立ったまま、唖然とするなまえを悠々と見下ろしていました。

「よ、吉影さん……!?やっぱりものすごーく怒ってますよね!?」
「怒ってないよ?」
「じゃあなんで意地悪するんです!」
「ン?ああ、別にそんなつもりじゃないんだ。ちょっとね、楽しい事を思いついただけだから。そんなに怯えないでいいよ」
「う、嘘だぁ……!」
「いいかい、なまえは今、寝てるんだからね」
「うぅ……も、もう、好きにすればいいですよ……」

どうせ吉良さんの事ですから、やると言ったらやるのです。そんな事はとっくに学習済みのなまえは早々に諦めモードに入ります。
どうせきっとえっちな事をされるに決まっています。それも察していたので、なまえは内心、ほんの少ーしだけ期待していました。今度はどんな恥ずかしい事をされてしまうのか……。


素股でぐちゅぐちゅ
鬼頭の先で、おまんこ穴の入り口をぬるぬると弄ぶ快感に、吉良さんはうっとりと目を細めては快楽の吐息を吐き出します。

「フゥゥ〜……ココ、とろとろだね……。なんだかわたしのモノを呑み込みたそうにしているように思えるが……フフフ、まだ我慢だよ、なまえ」
「きゃふ……っ、……っん!!」

クリトリスを執拗に捏ね回す動きに、なまえの体は反射的にビクつきます。

「ンンン〜〜〜?これはいけないねぇ……?寝ている子がどうしてそんなに淫らな声出して感じているんだい?」
「ッ……!!」
「こんな事されたら誰だってそうなって当然です!吉影さん……無茶言わないで……!!」

なまえは半泣きです。言われた通り、何とか口を引き結んで、歯を食いしばって耐えようとはするものの、吐息とともに小さな喘ぎが漏れ出てしまい、どうしようもありません。






「さてと、次はどうしようかな?なまえはぐっすりみたいだし、お口にチンポでも咥えさせてみようかな」
(お、おちんぽをっ……!?……って、だめだめ、興奮してる場合じゃないっていうのに!今はおちんぽなんか、別に欲しくなんて……うううぅっ……)


(んゃぁあっ!?まっ……負けるぅっこんなのだめ卑怯すぎるよぉおっ


「さあ、答えてごらん。なまえはどれがイイんだい?」
「おちんぽ以外ありえませんっ……おちんぽがいいですっ
「そうだね、チンポしかないね。おはようなまえ、お望み通り中出ししてあげるから腰を突き出しなさい」



堕ちんぽ。自分から懇願させられる事になる羽目に。




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