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吉影さんとあそぼう!




猫じゃらしを揺らしてみる

「ほ〜ら、猫じゃらしですよ〜、吉影さ〜ん!」
「わたしは猫じゃあないんだが?」
「まあそう言わず。それなら今から猫になればいいじゃないですか。ちょっとぐらい悪ふざけに付き合ってくださ……あーっ!?」
「フン……」

吉良さんは私を呆れた目で見下ろした後、私の手から猫じゃらしを取り上げて、庭の外へと吹っ飛ばしてしまいました。なんて酷い事を……!
冗談に付き合ってくれる素振りの一つも見せてはくれません。実に寂しいです。

「そ、そこまで嫌なら別にいいですもんね……。私は別の子と遊びますから」
「野良猫でも捕まえてくるつもりかい?やめた方がいいよ。あまり衛生的とはいえないからねぇ。いいから大人しくしていなさい、なまえ」
「ふふ、野良なんかじゃありませんよ。それどころか、由緒正しくて気位の高い女王様ですから」
「……おい、まさか」
「そのまさか!!ですよっ」

私はスカートのポケットに隠し持っていた猫じゃらしを取り出して、吉影さんの背後に向けてふりふりします。きっと出てきてくれる、という期待を抱いて。
するとどうでしょう!ブワッと黒い霧のようなもやが立ち昇ったかと思えば、そこからたちまち姿を現したのは……そう、紛れもなく吉影さんのスタンドである、キラークイーンです。音もなく静かに現れた彼……、彼女?は、左右に揺れる猫じゃらしをぎょろりと見つめると、手でバシバシと叩いてきます。相変わらずの無表情ではありますが、私のお遊びに律儀にも猫の仕草で付き合ってくれています。有難いことです。

「ああ〜、吉影さんよりクイーンちゃんの方が優しい……」
「……」
「ん?……あれ?というか、スタンドって、本体の精神力の現れですよね。もしかして、吉影さんも本当はこうやって遊びたかったのでは……?」
「ハァ……何言ってるんだ、わたしが猫じゃらしなんかで喜ぶ訳ないだろう……」
「まあそうなのですけど……。じゃあ何でだろう……?」
「……。」



「あのなぁなまえ……人のスタンドで遊ぶもんじゃあない……。程々にするように。いいね?」
「そうですね。構ってくれてありがとう、クイーンちゃん」

私はお礼に、キラークイーンの逞しく分厚い胸板に顔を寄せ、頬ずりをしました。彼の肌は見た目通りなんだかつるつるとした不思議な感触がしたので、面白くて手でたくさん撫で回します。筋骨隆々な彼の体は、どこを触っても固いです。

「わぁ、すべすべしてるね」
「くっ、……ふ」
「……?」

キラークイーンの手触りにうっとりしていると、突然吉影さんが呻いて驚きました。
どうかしたのかと吉影さんを見ましたが、ふいっと目をそらされてしまいます。

「吉影さん、もしかして……。感覚がリンクしてるんですか?」
「……」




「そういえば、ずっと気になっていたんだが……何でなまえはスタンドが見えるんだい?」
「さあ……?ああでも、ひょっとしたらスタンド使いになれる素質があるのかもしれませんよ。試しに矢でちょっとだけ傷でもつけてみます?私にも何か発現するかも……」

そうしたら私だって吉影さんのために何か出来るかもしれません。非力な女として隣にいるより、いざという時闘える力はあった方がいいに決まっています。スタンド使いが否応なしに惹かれ合ってしまうという性質上、この先どんなトラブルに見舞われるか分からないのですから。
そう思っての割と真剣な提案だったのですが、吉影さんは呆れ返ったように首を振っています。

「何を言い出すかと思えば……絶対にだめだ。事故が起きないとも限らないし、なまえはそのままでいい。心配せずとも、何が起ころうとわたしが守ってやれるんだからね。余計な事は考えずにいなさい」
「うー……、んー……、まあ、そうですね……。吉影さんがそう言うなら」




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