夢小説 いろいろ | ナノ




おそ松は幼馴染ちゃんを囲いたい

ソファーに座って一息ついた瞬間、隣に腰掛けていたおそ松が無言でぴたりと真横に移動してきた。私とおそ松の太ももが隙間なくくっつき、なんか気持ち悪い。何これ?キャバクラの接待?距離感おかしくない?いきなり怪しさ全開の様子に、私は引き気味に口を開いた。


「な、なんなの……。」
「何が?」
「いや何がじゃなくて。近い、怖い、離れてよ。」
「ええ!?これくらい普通じゃない?……あ〜!分かった!もしかしてなまえ、意識しちゃってんの〜???」


なぁそうだろ〜?なんて面白がって覗きこんできた、ふっざけたニヤけ面にチョップをお見舞した。アホめ。そもそもこの六つ子はそういう対象としてはカウントできない。だって、ニートだし。ね。当たり前。


「狭いってば。向こう寄ってよ」


ソファーの端とおそ松の体に挟まれ、私が退こうにもスペースがなくて不愉快だ。


「だーかーら、普通だって。普通。断固普通。俺は今日はこの位置から動きません!」
「ええ……。何その意気込み」


試しに押しても引いても石になって動かない。意地悪のつもりで軽くタックルしても反応もない。なんかもういいや。


「はぁ。まぁいいけど。……そのかわり、近いからってセクハラ禁止。変なことしないでね」


石のままじっと黙ってるのかと思ったら今度は私の剥き出しの足をじっと見つめている。なんかもう嫌な予感しかしない。


「足あったかいななまえ」
「セクハラ。イエローカード」
「厳しくない!?」
「私は普通。おそ松がエロ魔神なだけだと思うよ」
「エロ魔神は俺じゃなくてあ・い・つ。シコ松だろ。」


確かに、お互いのふとももを隔てるものはおそ松のいつものジーンズ一枚分しかないから、だいぶダイレクトに体温が伝わりあっている。……おそ松、けっこう子供体温じゃん、あったかい。変なの。
一度意識し出すとどうにも気になって足をもじもじさせてしまう。これじゃあ私の方が変態みたい。嫌だな。お、おそ松のせいなのに……。
私の変化を目ざとく見つけた悪魔みたいなこの男にまた何か言われるかと身構えたが、いくら待ってもいつもの軽口は出てこなかった。逆に恥ずかしい。なんで何も言わないの……。勝手に変なこと考えて緊張しちゃってる痛い奴みたいじゃん。こんな気持ちになるくらいならからかわれた方がよっぽどマシだよ。


「あ、そうそう。大事な話があったんだよね〜。忘れるとこだった」


忘れそうになるならそもそも大事ではないんじゃ……と思ったがつっこまない。大事なことも容易く忘却の彼方へと葬り去る頭の持ち主だということを思い出し、ため息をつく。今度はどんな馬鹿げた戯言を繰り出すのやら、もう慣れっこだけど。


「ちょっと結婚しない?」
「は?嫌よ」


ちょっとパチンコ行ってくる、みたいな響きでとんでもないことを言っているおそ松の顔を、今度は私が覗き込んだ。ついにここまで壊れてしまったとは……。
思い切り嫌な顔をしている私を気にも留めず、ヘラヘラしながら両手首を掴んできたおそ松が何を考えているのかいよいよ本当に分からない。ついにヤバイ所まで壊れちゃったのかな?あーあ……可哀想に。
渾身の絶対零度の視線にもへこまない、相変わらずのへにょへにょな表情が癪にさわる。ほんとになんなの。


「な?俺でいいじゃ〜ん!!何が嫌なの?」
「何もかもよ。いいから手、放して」
「ええ、冷たっ!人生には妥協も大事だって。そう考えて見るとさあ、なまえには俺くらいが丁度いいだろ〜って気持ちになってこない?」
「し、失礼ね……。あんたは妥協に妥協を重ねた結果がその落ちぶれようなんでしょうが。1ミリも説得力ないからね?分かってるの?」
「そうは言ってもさ〜、なまえも松野家の一員になれば俺たちみたいな毎日ダラダラ生活送れるかもよ?ほら、お得じゃね?今なら六つ子全員セットで付いてくる!どーよっ!!」
「いりません。そんな自堕落な生活する予定ないから。ていうか、もういいでしょ……。なんでそんなグイグイくるの……」


今日のおそ松しつこい!というかニートと結婚なんて、絶対にありえないんだけど……!




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