夢小説 ジョジョの奇妙な冒険 | ナノ




◯◯しないと出られない部屋





それは突然の出来事でした。

休日。杜王町の平和な昼下がり。眠たかった私は、吉良さんの膝枕をお借りして微睡んでいました。
吉良邸の縁側にはぽかぽかした日差しが降り注いでおり、絶好の昼寝スポットになっています。
太陽の暖かさと、吉良さんの体温の暖かさの両方に包まれた私は、目一杯の幸せを享受していました。
そういえば吉良さんも、ちょっとうとうとしてましたね。目を細めてちょっとぽけっとしている姿はレアな光景でした。
ゆるゆるな吉良さん、もっとちゃんと、目に焼き付けておけば良かったな。あれは本当に可愛かったです―――じゃ、なくて。

そんな幸せなお昼を過ごしていた私たちに、不意に災厄が降りかかったようです。
偶発的トラブル。吉良さんが最も嫌うことでした。
もちろん私だって嫌ですよ。せっかくのお休みを台無しにされて嬉しいわけがありません。
しかし怒るより先に、状況整理をしなくては。



ここは一体、どこなんでしょうか。







********








ぱちぱちと瞬きをして、それでも変わらないこの光景は、どうやら困ったことに現実で間違いないようです。
上を見上げると、同じく「…?」という顔をした吉良さんがいます。
とりあえず、一緒でよかったです。こんな所で心細い思いはしたくありません。
硬い膝枕からサッと頭を起こして、一面真っ白な壁を見渡します。
部屋、と呼ぶにはあまりに殺風景な光景。
ここは一体何に使う場所なのか見当もつかないような無機質さ。異様でした。

何もないんです。家具も、窓も―――ドアでさえ。
じゃあ私たちはどこから来たんだって話ですよね。
最悪でも入り口だけはあるはずなんですけど…。不安ばかりがつのります。
意味不明かつ理不尽極まりない、まさに怪現象です。杜王町怖すぎでしょう。
怪しい小道があったり、喋る岩の噂があったり、吉良さんのお父さんが浮遊霊?になっていたり…。

さっきまで、吉良さんのお家で二人ゴロゴロしてただけなのに、なぜこんなことに。


「……何ですかね、ここ…?もしかして…」
「スタンド攻撃か…!?なまえ、あまり離れるんじゃあない」
「いやいや…まさかぁ…。でも、困りましたね。こんなの初めてですよ」


そんなわけの分からないスタンドがいるんでしょうか…?
白い部屋(?)に閉じ込めるって何ですか。用途が限られすぎて、あまり役に立つとはいえません。
せいぜい気まずくさせて、人間関係を引っ掻き回すくらい。地味な効果ですね。
それとも永遠にここに閉じ込めて、餓死でもさせるつもりでしょうか。
どちらかと言うと、よくある杜王町の不思議現象のような気がします。まあ、どっちにしろ厄介なことに変わりはありません。

警戒心剥き出しの吉良さんが、傍にキラークイーンを佇ませて怖いオーラを放っているせいで、いるか分からない敵よりもむしろ私がビビらされちゃってます。
これが凄みというやつでしょうか。
殺気立った吉良さんの威圧感といったらもう、気のせいか、近くにいると肌がピリピリしてくるレベルです。
殺人鬼ゆえの貫禄かもしれませんが、落ち着かないので出来る限り抑えてほしいというのが正直なところでした。

縮こまりながらキョロキョロしていると、何か落ちているのに気がつきました。部屋の隅に、白い紙切れがひっそりと存在しています。


「あれ…何これ…?」
「なまえ、どうした?」


訂正。何もないわけじゃあないんですね。一縷の望みをかけて、その紙を拾い上げます。
ここから脱出する手掛かりになるといいんですが。

それにしても、部屋と同じ色だったので全然分からなかったです。パッと見た時ゴミかとも思いましたし。
何か書いてありますね。どれどれ。

……。


「なまえ?なんだい、それは。あまり不用意に触らない方がいい。敵の罠かもしれないからね…。わたしに貸してみなさい」
「だっ、ダメです!!」
「ん…?何故だね、何が書いてあるんだ。見せられないような事なのか?」
「……!い、いや、というか…えっと……」
「黙ってちゃあ分からないだろう?いい子だからその紙を渡すんだ。ホラ」


何も知らない吉良さんがズンズンと近づいて来ます。すごーく訝しげです…。
吉良さんに怖い顔をされると、私は足がすくんでうまく動けなくなってしまいます。
とはいえ、みすみすこの紙を見られてしまえば、その先にあるのはすなわち死です!
吉良さんに殺されるとかいうことではなくて、私の心が勝手に羞恥心で死にます。万事休すの大ピンチです。

ようやく私は自分の置かれた状況を理解して、確信を得て、そして絶望しました。
そう、ただ閉じ込められているだけならどんなに良かったことか、これはそんなに単純な話ではありません。

この小さな紙きれには、私たち二人に向けられたであろう命令が書いてありました。
仰天の内容です。ありえない命令です。…あんまり想像したくないことが書いてあります。
つまりはこれって…噂に聞いた「◯◯しないと出られない部屋」というやつじゃあないですか!!
ふざけたホラ話と思ってましたが、怪しい小道や喋る岩が実在する時点で、これもまたありえない話ではないということでしょう。
わけが分かりませんが、全ては文字どおり。
つまり私は、泣こうが喚こうが、吉良さんとここに書いてある命令をやり遂げないと出られないわけです。
ふざけるなよ、と拳を握りしめます。

こんな、酷い指令を誰がほいほいとやれるでしょう。
強く握ったせいで、手の中の紙がぐしゃりと歪みました。


無理です。


いや、もちろんここは出て行きたいんですけど、理性より先に本能が考えることを拒んでいました。
何より吉良さんの反応が怖いです。

部屋の広さ的に逃げられる希望は全くないので、咄嗟にしゃがみ込んで紙を胸元で握りしめます。
精一杯の、せめてもの抵抗のつもりです。
私と吉良さんの力関係は言うまでもないほど明白ですが、抗わずにいられない時もありました。
抵抗の意思を見せる私に意外そうな視線をよこしながら、吉良さんは言います。


「……フゥ。困ったな、こんな時に悪い子だね。さて、どうしたものか…」
「……」


言葉ではそういうものの、声色からさして困ってないことが見て取れます。
しゃがみこんだ私の周りを呑気にぐるぐると歩いている様子は、余裕綽々でした。
どうせ呆れているんでしょうが、ここまで軽んじられるとちょっと悔しいです。
年の差も力の差も、埋まる予定がないとしても、意識するたびヘコんでしまいます。
考えてどうにかなる問題でもないんですが、だからこそ一層、複雑でした。

吉良さんは、やがてピンときたって感じの顔をして、立ち止まりました。
…嫌な予感がする!


「ああ、そうだ。強情な子には、こうしてしまおうかな…」
「?……ッ!?な、にをっ!!やめ…っ!ひい!!」


脇腹を、首筋を、太ももを。吉良さんの指が肌の表面をくすぐり責めてきます。
触れるか触れないかの怪しい手つき。それから巧みに緩急をつけられ、休む暇もない責めでいじめられます。
私が動けないのをいいことに、ここぞとばかりの非情な攻撃です。
吉良さん、超絶楽しそう。ムカつくくらいのいい笑顔に、ふざけてるんですかと叫びたくなりました。

…私は至って真剣だというのに、あんまりではないですか。はぁはぁと喘がされながら、体の内側から沸々と怒りがこみ上げてきています。
絶対遊んでますよ、この人!!


「んっ…!!ひゃひ、やぁあッ……あっ!?」
「はい、これは借りるよ。残念だったね、なまえ。こんなに敏感な体でわたしに勝てると思ったのかい?」
「ああー!卑怯ですよこんなの!返してください!」
「だめだめだめ。一体なんだってそんな必死になっているんだい。気になってなおさら返せないじゃあないか、フフフ」


くすぐったさに緩んだ手元から、いともたやすく紙切れが奪われて行きました。
一度吉良さんの手に渡ってしまえば、私の身長では背伸びしても届きません。
吉良さんだって別段高い方ではないんですが、私はそれでも叶わないのです。

なんか、いつもこうなるんですね、私は。
自分の口からふぅぅ…と、生気の抜けた溜息がこぼれていくのを他人事のように感じました。
くたくたに力の抜けた体で何とか吉良さんの服にしがみつきながら、己の圧倒的無力さを実感させられます。切ない…。

吉良さんは紙切れを上に掲げながら、得意げに内容を読み上げていきます。実質死刑宣告みたいなものです。


「さて、これは……『以下の条件を満たした場合、元の場所へ戻ることが可能です』?誰からの命令だ?やはりこの状況は人為的なものだったか。ええと、『解放条件はーーー』」
「ーーーっ!!」
「『一方が、相手の男性器を10分間踏むこと』」
「うううっ…!!」


吉良さんは淡々と、それでいて快活に明朗に、躊躇いなく読み上げました。
そういう人だとは思ってましたが、聞いてるこっちは肝が冷えます。冷や汗が凄いし、今は目を合わせられそうにありません。
こんな命令を読まされて、吉良さんはどうも思わないんでしょうか?
あくまで平然としている吉良さんの気持ちがよく分かりません。


「なんだこれは?ますますもって無茶苦茶だな。大体、そんなことさせてどうするってんだろうな。悪趣味すぎるよ」
「そう、ですよね…。私だって信じられないです。何の意味があるのかサッパリですし」
「しかし出入り口が見当たらない以上、これぐらいしか頼るものがない…。わけの分からない奴の言いなりになるのは非常に癪だが、ここは従った方が賢明だろう。いつまでもこんな場所にいたくはないしな」
「そうなりますけど…でも、吉良さんはいいんですか?大切なところを踏むなんて言われても、私…」


チラッと伺い見たその表情は、嫌悪でも羞恥でもなく、拍子抜けするくらいに全く普通でした。
まあ、羞恥心に関しては、普段の振る舞いが大いにアレなので、吉良さんにはない気はしてましたが。

それにしても、吉良さん的に股間を踏まれるのって大丈夫なんでしょうか。プライドの高い人ですし、なんだか怖いんですが。
後で虐め返されないかな、というのが正直なところ一番の不安です。吉良さんは嫌なことをされた時、倍返し程度では到底すませない性格です。

私の視線をよそに、吉良さんはその場に腰を下ろし、脚を開いて―――と、そこでハッとしてからカチャカチャとベルトの金具を鳴らし、私服のズボンを下ろしました。
当然下着が露わになります。お馴染みの猫ドクロがあしらわれた、自己主張の激しいデザインのボクサーパンツです。


「……」
「……」


思い切りのいいことをするなあ、とついじっと見ちゃいました。
さっさとやれと言いたいのか知りませんが、いよいよもって私にも覚悟が必要なのかもしれません。
しかし吉良さんが積極的なほど、私の心は上の空になっていきます。一種の現実逃避です。


「…ホラ、万が一出してしまったら洗濯が面倒なんだ。ちなみに下着を脱がなかったのはわたしなりの優しさだよ。安心してするといい」
「ああ、なるほど…。確かに、さすがに丸出しだと抵抗がありますからね。…え、ていうかこれ、私が感謝する流れなんですか?」
「フフ。別にわたしは下着も脱いで構わないんだが?そういうことならサービスしてあげるよ。ちょっと待ってくれ」
「あっ、いや、いりませんいりません!お気遣いありがとうございます!!とっても嬉しいです!」


冗談じゃあありません。あんな生々しいモノを直に足で触るなんて、ヤバすぎてトラウマになりそうです。全力で回避したい案件です。
吉良さんは下着を脱ぎかけていた手を止めて、慌てる私に微笑みました。


「さあ、いつでもくるといい。10分間だよ。その黒くてピッタリした靴下に包まれた脚で踏むんだ。わたしのモノを。さあ」


依然として開脚で待機している間抜けな絵面の吉良さんが急かしてきます。
私はというと、なんかノリノリだな、と違和感を感じて眉をひそめます。
普段こういう…いやらしいことをする時は、吉良さんは攻めまくる方でしたし、私が苛めることなんてまずありません。
ビビりながら足を上げては引いてを繰り返します。人を踏むなんて。ましてや吉良さんを踏むなんて、荷が重すぎて逃げ出したいです。
私は人を踏んで許されるような人間ではありませんし、私が踏まれる方ならよかったのに、という変な罪悪感で頭がいっぱいで、とうとう固まりました。
すると、痺れを切らしたのか、私のことをじっと見ていた吉良さんが言います。


「ああ、そうだった。言い忘れていたがね。困ったことがあるんだった」


こんな時になんでしょう。今の状況以上に困ったことなんて存在するとは思えません。
怪訝な顔で股間から顔に視線を移すと、吉良さんが続けます。


「早くここから出ていけないと、夕飯が間に合わなくなる。今日はなまえの好きなビーフシチューだよ。いいのかい、食べられなくて」
「え…、ビーフシチューって…!」


卑怯な手じゃないでしょうか。確かにご飯は三食吉良さんが作ってくれていますが、それを逆手にとられるとは思いもしません。
まあ別に夕飯はなんでも構わないのですが(吉良さんの作る料理はどれも美味しいのです)、これ以上待たせて吉良さんの機嫌が急降下することこそが真の恐怖です。
そうなってしまえば、いよいよ目も当てられません。
この人のことだから、最後には強硬手段に出るでしょう。
冷たい床に押さえつけられ、嫌だやめてと叫んでも無視を決め込まれ、色々されるなんて考えただけでゾッとします。
足を抱え込まれて無理矢理に股間を押し付けられるくらいなら、踏んだ方がまだマシです。トラウマの度合いが段違いです。

改めて想像を巡らせてみると、私にはこうする以外になす術がないということがよく分かりました。
逃げるのもいい加減ここまでのようでしたので、覚悟を決めて、しかし、うつむきながら答えます。


「うう…分かりました、やります。やりますけど、嫌だったり、痛かったりしたら言ってくださいね…」


10分間。きっと意外とすぐに終わります。
なんとか持ち堪えよう!と気合を入れて向き合い、座って脚を開く吉良さんの前に立つと、自然と見下ろす形になります。
まあ、新鮮ではありました。だからといって楽しくはありませんが。
上がった足に、痛いほど視線が注がれます。緊張して、動きが変になるから見られるのは苦手です。
目を伏せ、できるだけ吉良さんの顔を気にしないようにします。

徐々に近づいて、そして―――そこに触れました。
つま先ですりすりと形をなぞり、遠慮がちに上下に這わせると、徐々に変わる感触に胸がバクバクとうるさく音を立てます。
布ごしの弾力が生々しく伝わり、ごくりと唾を飲みこむ音が自分の中で響きました。
うつむいて垂れた前髪の間から、吉良さんの股間を盗み見つつ、驚愕します。
凄く熱くなっているのです。

もしかして、そういうことなのかもしれません。先ほどからの違和感の正体が、私の中でハッキリとした答えになっていきます。
さっきからノリノリなのも、こう考えると合点がいきました。
いつもは攻め攻めな吉良さんですが、つまり、隠していただけで、本当は…!


「吉良さん…こんな趣味…えーと、マゾっ気っていうんですか?そういうのあったんですね。ちょっと意外でした…。いえ、責めてるわけじゃあないんですよ。えへへ…あの、ただ、驚いたというか…」
「いや、そんな趣味はないよ。勝手に変態にしないでくれ」
「え!?じゃあなんでなんですか!?」
「きみが嫌々わたしのモノを踏んづけさせられているところが見たかっただけさ。期待通り、ンっ…なかなか楽しいよ、なまえ。下手くそだけどね」
「な…!?ひ、ひどい!そういうこと言うんですね!こっちは精一杯なのに…!」
「なんとでも言えばいいさ。大好きなビーフシチューを人質にとられたきみは、わたしの言いなりになるほかないんだからね…」



悪役みたいなセリフでした。

吉良さんは小さくククッと笑って、面白そうに私を見上げます。
視線は熱く挑発的で、必死に吉良さんの股間を苛める私をねっとりと責めていきます。
こっちは大変な思いをしているというのに、その様子を面白がって観察されているという耐え難い事実。
…果たして本当はどっちが苛められているのか、疑問に思います。

M字に脚を開いて私に股間を差し出しているという、完全に無防備な状態でなお、吉良さんはこの状況を心底楽しんでいるようです。
主導権はあくまで自分が握っているのだ、という余裕が見て取れます。
……勃起させてるくせに!

…もういいです。途端に阿保らしくなってきました。
結局私が恥ずかしい目にあって、吉良さんの手の中で思い通りに遊ばれているだけ。こんなのいつもと何も変わらない。

二人での生活で少しづつ溜まった鬱憤が、むくむくと意地悪心に形を変えます。溜めに溜めた私の我慢の、小さな爆発でした。
この際だし、普段のお礼をまとめてお返ししても許されるばかりか、むしろお釣りがくるレベルです。たまには痛い目を見るといいんじゃないでしょうか。
…くらえ、ひどい吉良さん。


「…うりゃっ」
「くっ…!?ぁっ…あ…!」


恥じらいからくる緩慢な責めから一転、吉良さんの先っぽをなんの前触れもなく激しくこね回してやります。ぐりんぐりんと。
先ほどとは比べ物にならない刺激を受け、ビクリと肩が跳ねて、眉間に皺が刻まれた吉良さんの顔。
一見苦しそうだけど、そうじゃないことも、弱点も全部知ってます。

手でさせられた時に、口でしてくれと頼まれた時に、この人が特に感じたやり方。それらの記憶を駆使して、重点的にやり返します。


「吉良さんって、んっ、意地悪なんですよね…本当に。いつも私のこと苛めて、楽しそうな顔しちゃって…」
「あっ、ぐぅっ、うっ…。なまえ、いきなりっ…待って、くれ…」
「だめですよ、だめだめ。10分しないといけないんですからね。その間ずっと、吉良さんは我慢してなくちゃいけないんです。外に出るためだからしょうがないですよね…」
「うっ…くっ…どうしたんだい、そんなにしたら、…10分ももたないかもしれないじゃあないか…」
「そしたら、やり直しですね。私は何ともなくても、吉良さんが苦しい思いをしちゃいます。だから吉良さん、頑張ってくださいね!」


今やもうガチガチに反り立った吉良さんの大きいモノが、下着からはみ出そうになっています。
あまりに素直に感じて、こんなにさせてるものだから、クスッと笑ってしまいました。
吉良さんが私をいじめて笑っている時も、きっとこんな気持ちなのだと思うと、なるほど確かに楽しいのかもしれないなと納得しかけます。

そしてよく見ると、先っぽの方は下着が濡れて染みが出来ています。
感じている証拠を溢れさせて、ビクンビクンと私の足の下で力強く脈打ちました。
ここだけ別の生き物みたいな、不思議な感じです。
なんだかますます面白くて、少しワクワクしながら責めを続けます。
自分より弱く年下の女の子に、大切なところをこんな風にされて、反応させているという現実。
吉良さんもちょっとくらいは気まずい気持ちになるでしょう。
これに懲りて反省したら、少しは私の気持ちも分かってくれるといいんですけど。

足の裏全体で、踏みつけるように強く擦ります。
もしかしたら痛いかもしれない、それくらい思い切ったぐりぐりの責めが、吉良さんの股間を圧迫します。


「ああ、あ……なまえ、なまえ…っ」
「っ……」


これだけされても吉良さんはよがっていました。声色がとろけるように甘いです。
これじゃあもう、普段私が感じている恥ずかしさの半分も味わわせられていないのは明らかです。
それでは仕返しではなく、そういうプレイになってしまって意味がありません。
心も晴れませんし、ここまでして恥かき損では終われませんしで、さすがに困惑です。
踏むのがだめなら、他の、吉良さんが本当に苦しくなることをしないと。
もう少し、趣向を凝らす必要があります。

足での責めはそのままに、スカートのすそを少し持ち上げました。
見えるか見えないかのギリギリでスカートを揺らすと、面白いくらいに吉良さんの視線が釘付けになります。


「見たいですか?」
「は……」
「この中、吉良さんがいつもたくさん触るところ…見たいですか、って聞いたんですよ?」
「っ、ああ。それは、もちろん。見せてくれるのかい?」
「はい、そうしようと思って聞きましたからね。吉良さんはスケベですから、見せてあげないと可哀想かと思ったんです」
「そりゃ、ラッキーだな…。いつものきみなら決して、こんなことしてくれそうにないが…フフッ。どうしたのかな…」


ゆっくりゆっくり、つまんだヒラヒラした布を持ち上げていきます。
やがて私の下着が露わになって、吉良さんの目の前に晒されます。
余すところなく、細かいデザインでさえ観察できるような近さで、私は今、吉良さんに下着を見せつけていました。
下半身がひんやりして、火照った体が少し冷えるのと同時に、熱に浮かされた頭も少しだけ落ち着きます。

痴女にでもなった気分です。しかし、今の私は私ではなく、吉良さんを苛めることだけを考える女王様です。
女王様ならこれくらい簡単に耐えられるし、弱音をあげたりしないはずです!大丈夫!
冷静になりかけた頭を振って、スカートを握る手をさらに上へと持っていきます。
もうおへそまで見えちゃっているような位置まで上げます。
今更何が見えようが大して変わりませんし、むしろ、この私のパンツを見ろ!ってくらいの心意気で、いかないととても太刀打ち出来ません。
相手が吉良さんということは、それくらいの覚悟があって初めて、対峙できるのです。


「ほ…ほらっ…どうですか?吉良さんの大好きなものですよ。今日は、その…水色のフリルです!よく見えるでしょう?」
「ああ、とてもよく見えるよ…。きっときみもここをすっかり濡らしているんだろ?凄いことになっているんだろうね、分かるよ」


吉良さんはそう言って、荒い呼吸をもっと荒くしました。
そのまま誘われるように秘部へと手を伸ばしてきたので、半歩身を引いてかわします。
吉良さんがさも意外だという顔をしていたので、ちょっと得意な気持ちになります。
私がいつでも大人しく身を委ねると思ったら大間違いだということを、今から教えてあげないと。
切なそうな顔をする吉良さんに、今度は私が余裕そうに笑いかけます。
さっきまでのこの人のように、私にだって出来るはずでした。


「触ろうなんて…それもだめですよ!だって吉良さん、ここ触ったら絶対興奮しちゃうじゃないですか。せっかく頑張ったのに万が一出ちゃったら、もったいないと思うんですけど」
「ふむ…、わたしに意地悪してるつもりかい?酷く焦らしつつ、あくまで射精はさせないように、と?」
「ふふふ、さあ?でも、間違いはないでしょう?」
「まあ確かに…なまえのぬるぬるで柔らかくとろとろのあそこを触ったら、暴発してもおかしくはないね。そう。なまえの、…わたしのモノを踏むだけで狂ったように感じて濡らしているとてもいやらしいあそこを触ったら、ね」
「っ、別に、そこまでびしょびしょにしてません…!」
「さあどうだか?断言してもいいよ。さっきから凄くいやらしいにおいがするんだ。もしかして気づいてないのかな」
「そんな、はずは…!!」


言葉責めのつもりでしょうか、いやらしい言葉を執拗に投げかけられてカッとなってしまいました。
気を緩めると簡単に形勢逆転されそうな危機です。
ここは流石吉良さんというところでしょうか、まともに口論していては勝てる気がしません。

それに、言われて見れば確かに、下着が気持ち悪いような気がするのも確かです。一度気になるともう違和感が離れません。
スカートを一旦下ろして、吉良さんからは見えないようにガードを張ります。
半信半疑で下着を途中まで下ろし、確かめるようにスカートの下へ手を差し込みます。
確かめるようにそっと割れ目に指を這わせると、ぬるんっ、と指が滑りました。そんなまさか、という気持ちでいっぱいです。


「…!?」
「ほーら、だから言っただろ。濡れ濡れだよ。それにしたってここまでとは、わたしの想像以上だったがね?」
「あ……そんなっ……!!」
「…しかし、本当に凄いな。あそこからなまえの指まで糸を引いていたのが見えたよ。フッ、なまえのそこは敏感で実に大変そうだ…私が慰めてあげようか?」
「〜〜〜!!!」


この時のことを言えば、ムカついていたとか、ついカッとなったとか、そんな感じでした。
とんでもない愚行を犯した犯人が言い訳しそうな、とにかくあれです。
魔がさすって言いますよね、まさにそれ。正気ではなかったとしか。
主導権を再び奪われたと感じ、いよいよ追い詰められました。
言い返す言葉もなく完敗した私の、最後の凶行。やけっぱちで捨て身の思いつき。
再びスカートをまくりあげ、秘所を露わにします。
もちろんそれだけではありません。あろうことか、愛液まみれで滑った指でそのまま、自分の秘部を弄り倒して見せつけたのです。
これにはさすがの吉良さんも目を丸くしていました。
私の行動が、吉良さんの想像の上を行って圧倒した瞬間です。


「んっ、ひあぁ…!!あっ、やぁ…はずかしい…っ!!」
「ッ、なまえ…!!なるほど、そう来たか…!」
「ふ、うぅ…!どうですかっ、きらさ…んっ…!!これでもまだ、我慢できるんですかっ…?ぁ、はぅぅ…!」


これ以上ないってレベルの痴態を見せつけて、私は吉良さんを煽りました。
もう正直自分でも何をしたかよく分かりません。
声をあげて、音を立てて、激しくこすって、とにかく吉良さんがたまらなく挿れたくなるように、それだけを考えて痴態を見せつけます。
さらなる追い討ちをかけるのは足での責めです。
視覚と感覚、頭と体で最大限に興奮させることが狙いです。


「ねぇっ、我慢、できませんよねっ。んっ、ああっ…!だって吉良さんは、いつも私の中に問答無用でぶち込んで、めちゃめちゃに抜き差ししてきます、もんねっ…今もそうしたくて仕方ないんでしょう?お見通しなんですよ、そんなのは!でも今はできないですよ!残念ですねっ!!…はぁっ、ぁぁっ、やっぱり恥ずかしいよぉお…!!」
「ぐ…!?なまえっ…そ、れはっ…くっ、おお、っ!」
「今すっごく挿入したいんでしょうけど、今日は一回も挿れないままイってもらいますから…!!それが私からのいじめです!…ねぇ、いつもこんなに勃起させてっ、見せつけて、恥ずかしくないんですか、えっちな大人なんですね!スケベ!変態!」
「くぅっ…今のなまえの方が、よほど恥ずかしくてエッチな変態だがね…!?自分の姿を鏡で見てみるといい……うッ、ぐっ!!」
「もう黙ってください!!えいっ、えいっ、吉良さんのばかぁっ…!嫌い嫌い嫌いです!!はぁ、ぁっ、や、だめ、いく、いっ―――…!!」
「ぁッ、うぐぅッ…、で、出る…、〜〜〜ッ!!!」


体をビクビクとしならせた私は、うっかり力んでしまったようで、最後に吉良さんのモノを目一杯踏みつけ…全身の弛緩とともに前方へと倒れこみました。
吉良さんに体ごと突っ込む感じです。

気づくと、律儀にもしっかりと抱きとめられた状態で、肩で息をしながらお互い体を震わせていました。
ふたつぶんの荒い呼吸音の中、徐々に頭が冴えてくると同時に、ピンポーン、とクイズ番組で正解を答えた時のような間抜けな音が鳴り渡ります。
一瞬は?と呆気にとられましたが、そういえばそうだったのです。
10分―――経ったのでしょうか。途中からすっかり忘れていたし、考える余裕などなかったです。
というか当初の目的は本来こっちですが、完全に二の次になってました。


「ぁ…そ、そうだ…私…」


いてもたってもいられなくて、私の下敷きになり未だ呆然とする吉良さんの下着をずり下げました。
普段なら死んでもこんなことはしませんが、大胆な行為の後だからか悩むことなく実行してしまいます。
下着の中はぐっちょりとしていて、精液特有の青臭い匂いが充満していました。
少し萎えた吉良さんのモノには、精液がベットリと付着していました。
散々挿れたくて挿れたくて苦しい思いをさせたのち、結局私には指一本触れさせずに足で射精。
男性としてこれ以上に惨めなこともないと思われる仕打ち。
なんとか目的を達成することができたようでした。

目の前がパッと明るくなり、心はさっきまでの疲労感を忘れて軽やかになります。


「あぁ…!や、やったぁ!!勝ったっ!私っ、吉良さんに勝ちました!!ね、これで懲りましたよね?私はいつも吉良さんに苛められて同じような思いをさせられているんですよ!」
「……うぅ……はぁ、…はぁ」
「ふふふ、これからはもっと私に優しくしてくださいね!」
「……。…なまえ」
「なんですか?……んっ」


不意打ちでグイっと頭を引き寄せられて、深く唇を交わらせられます。
また乱暴にされるのかと思いきや、ぴちゃぴちゃと穏やかに口内を舐めまわされただけで、逆に面食らいます。私の気持ちが伝わったのでしょうか。


「んぁ…はっ…吉良さん…」
「んはっ…。……フーッ、けっこう体力を消耗したな…なかなか激しかった…」


熱いキスから解放されて目を開くと、見慣れた畳の床が目につきます。
どうやらこの一瞬で吉良邸に戻ってこれたようです。指令はクリアだったんですね、ようやくホッとしました。
吉良さんも優しくなったし、今なら意外と悪くないハプニングだったかもとすら思えます。
努力は無駄にはならなかったようです。本当に良かった…。

安心して再び吉良さんにくったりと体を預けていると、ポンポンと肩を叩かれました。

どうしたんだろうと吉良さんの指差す方を見て、愕然とします。
半端に脱がせっぱなしだった下着から、先ほどとは一転、吉良さんのモノが元気一杯の状態でのぞいていました。
一度出した後だというのに、気のせいかいつもよりも猛っているように見えるのは間違いではありません。
どういうつもりで私にそれを見せたのか分からず、吉良さんの顔をおずおずと伺うように見ると、吉良さんは平然と言い放ちました。


「よく見えるだろう?さっきなまえが脱がしてくれたからね…。見ての通りあんなになってしまって、とても苦しいんだ…優しいなまえはもちろんしばらく付き合ってくれるね?」
「え…きっ、吉良さんはもう私に酷いことしちゃいけないんですよ。だからダメです。それにそもそも今日はあれでおしまいのつもりだったんですから…。ひっ…ま、まさかまた無理やりするつもりですか…!?散々やだって言ったのにっ…!?」
「ああ、誤解だよ。そんなに怯えないでくれ。わたしはきみに酷いことをするつもりは毛頭ないよ。思えばたくさん辛い思いをさせてしまった。本当に申し訳なく思っている。すまなかったね、なまえ」


慈しむように頭を撫でられます。怖さも荒々さもない手つきに、確かにこれから酷いことをしようとは思っていないようだと感じさせられました。
そうですよね、吉良さんは優しくなったんですから、大丈夫…ですよね。
いくら吉良さんといっても、やはり鬼ではないのです。


「だから趣向を変えようと思うんだ。今までは、嫌々言うきみを組み伏せて半ば強引に繋がるのが習慣になっていたが、これからは逆だね。そうーーーきみが自ら『どうか挿れてほしい』とねだるまで焦らして焦らしまくればいいんだ。これなら完全に合意だし、きみも喜ぶ。これはいい!うん、そうしよう」
「……は?」
「きみは被虐趣味があるからね、手荒くされて興奮しているものと思ったが、優しくするっていうのも新鮮でいいなぁ。さて、そうと決まれば早速愛を確かめ合おうじゃあないか。ここに戻ってこられたお祝いも兼ねて」
「そんな無茶苦茶な理論が通ると思ってるんですか…!?やっぱりおかしい!吉良さんはおかしいです!もう無理助けて誰か!話が通じてない…!」
「大丈夫、最終的にはきみの方から求めるようになるんだからね…さあ、力を抜いて、わたしに委ねてごらん」
「い、いやぁぁぁああ……!!」


自分勝手の方向性が変わっただけじゃないですかと言ってもまるで聞く耳持たず、私は吉良さんに抱き上げられて寝室に連行されていきました。






********






さっき意地悪をして苦しめたぶんの仕返しのつもりか、たっぷりねっとりともどかしい刺激で気が狂うほどに高め続けられた挙句、まんまと吉良さんの言った通りにされて何度も気を失う羽目になるとは、誰が想像できたでしょう。

そうして日が落ちるまで夢中で交じり合っていた私たちの夕飯は、もちろんビーフシチューではありません。
お互い死ぬほど疲れ果てて体力がゼロの私たちは、この日初めてコンビニのお惣菜で夕飯をすませることになったのでした。






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