にたもんどうし【鉢屋と綾部】

「せぇーんぱいっ」

ひょっこりと障子の間から顔を出したのは綾部喜八郎。
死んだ魚のような目をこちらに向ける。
抑揚の無い声でぶつぶつと何かいってこっちへ汚いなりで入ってきた。

「何しに来た」

そう問うてみる。
答えはいつも同じ。

「なんとなくです。」

はっ。
暇なやろうだ。

「お前本当は死んでんじゃないのか?」
「はぁ?」
「思っただけだ。」
「意味わかんない。それなら先輩も死んでますよ」

そうかもしれない。
後ろを振り向くと目線が合った。
二人して気持ち悪くにやりと笑った。




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