05

「え、じゃあみんな委員会入ったんだ。」

「そうみたいだね〜。」

数馬、孫兵、作、左門、三之助と、仲良しメンツで久しぶりに集まっていた。
聞けばみんな委員会に所属していて、しかも見事にバラバラの委員会だった。

「じゃあ会わないはずだね〜」
「こんだけいれば一人くらい被っててもいいのにな。」
「藤内風紀なんだ?」
「うん。そうだよ」
「すごいな。うちのクラスはみんないやがってとうとう委員が選出されなかったのに。」
「しかも立候補なんだよ?」
「はー見上げたもんだな、藤内」
「ち、ちょっと!何、風紀ってそんなにやばいの?俺知らずにはいったんだけど…」

みんながみんな風紀委員会を恐れるので、思い切って聞いてみた。

「どうなんだろうな?俺もあんまよく知らないんだけど…。」
「でも女子からは人気らしいぞ」
「女子からはって…関係ないじゃん。うち男子校だし。」
「隣の女子校から」
「ああ。よかったじゃない藤内!」
「はぁ…。俺あんま嬉しくないかも。」
「そういえば三之助と左門は…?」

孫兵のその言葉ではじめてきづく。
迷子二人が今日も懲りずに迷子になりに行ったようだ。

「あー!!くそっどこいきやがった!?」

二人の名前を叫びながら作は捜索に出かけていった。

「なんであの二人ってすぐ迷子になるのに携帯持ってないんだろ?」
「でももってても携帯も迷子になるんじゃないか?」
「言えてる」

ひとしきり笑い終わったとき、作から発見メールがきた。
そのまま帰るそうだ。
じゃあ俺らもお開きにしよう、ということになった。

帰り道、数馬と二人で歩くのも久しぶりな気がした。
ここの所、数馬が部活で遅くなるので俺一人で帰っていた。

「なんか、久しぶりだね、こういうの。」
「そうだね。僕が部活だからね。一緒に帰れなくて…。藤内部活結局入ったの?」
「うん…一応。でも活動が週一だからさ。」
「そっかあ…。」
「うん」

久しぶりなので、たくさん話したいことはあるのだが、いざとなるとなかなか話題がなくなってしまう。

「い、委員会の先輩って、やっぱ怖いの?」
「ううん、そんなことないよ。優しいよ。変だけど。」
「変なの!?」
「変なの。」

噂をすればなんとやら、というのはずいぶんあたるらしく、そのときばったりと偶然にも綾部先輩に会ってしまった。

「あ、綾部先輩」

そういえば家近所なんだっけ。

「綾部先輩って…風紀委員会の?」
「うん。こんにちは」

挨拶で僕らに気がついたらしく、道の向こう側から手を振ってくれた。
そして、横にいた人に話しかけた。

あ、笑った。

あの人にはあんな笑顔を見せるんだ。

「藤内…?藤内?」
「えっあっ…何?」
「青だよ?渡ろう」
「うん…」

綾部先輩に会釈をして、足早に信号を渡った。

なんだろう。

なんだろう。

もやもやする。

それからしばらく、数馬との会話は上の空だった。
何を話したのかは覚えていない。
ただ、二言三言くらいしか会話が続かなかったような気がする。

「じゃあまた明日ね」

数馬と別れて家を目指す。
そんなに遠くない。
すぐに着いた、靴を脱ぎ捨て自室へ直行し、ベッドへ倒れ込んだ。

なんだろう。

まだもやもやは晴れない。
あの話しかけられてた人。
綺麗な人だった。
綾部先輩と同じか、それ以上。

なんだろう……。

もやもやはその日晴れることはなかった。




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