「今日の夕御飯はナポリタンですよー!!!」

「「「いやっほーい!!!!!」」」





マネージャー達の声と共に
夕御飯の時間がきた

練習後の楽しみであるこの時間で
選手たちは笑顔溢しながら
各々夕御飯を受け取る



「………?」



普段ならその中に大きな声で
雄叫びを上げる塑琉奈がいるはずが

今日は…何故かいない




「おい」

「んっ…、おー、あきおたん!!」

「丁度よかった!!一緒に食べよーよ!!」

「なっ…お前ら…!!!」



それに違和感を感じて
いつも塑琉奈と一緒にバカ騒ぎしている
漣と文月に話し掛けるが

それよりも先に
二人挟まれて、一緒に飯を食う羽目になっちまった



「ちっ…
で、あいつはどうした?」

「ああ、塑琉奈のこと?」

「なんかねー、お菓子あるからご飯いらないって」

「は?」



仕方なくフォークをくるくる回し
ナポリタンを絡めながら聞けば

あまりの変な理由に
思わず間抜けな声を出してしまう俺



「…っ、あいつは…」

「まあ、塑琉奈ならやるよね」

「…でもさおかしくない?
お使いに行ったの塑琉奈だよ?」


不動が呆れてため息をつくと
なにか腑に落ちない顔で
来夢はフォークを宙に話続ける



「献立がわかって、お菓子買うとか変だよ
あの食いしん坊の塑琉奈が!!!」

「…………」

「あー、確かに」



来夢の意見を耳に入れ、考え込むように
不動はくるくる、くるくると
フォークを回し続ける





この女の言う通りだな

献立知ってて尚、お菓子を買うてのは

献立が嫌だったか…
いや超ド級の食いしん坊のあいつが
今までの献立食べなかったことはない


じゃあなんだ……?





「あきおたん、あきおたん」

「っ、あ?」

「巻けてないよ」



椎に声掛けられ
苛つきながら椎の指差された先を見やれば
全くナポリタンが巻けてない俺のフォークが



「なになにー?あきおたんもしかして、塑琉奈のこと心配してんのー?」

「ばっ…バカが
誰があんなクソ女心配するか」

「でもさっきから巻けてなかったよ?」

「っ…うるせぇ!」









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