「冷却スプレー、湿布、包帯に筋肉テープ…」



日本エリアのドラッグストアに足運び

ポイポイッと着実にメモに書いてある品を、塑琉奈はカゴの中へと入れてゆく



「あとはー…おっ!!!
これ、今日の献立の材料だな!!」



メモを見ながら「今日の献立はナポリタンかー」と口を滑らし、
一人楽しそうに買い物をする塑琉奈



「ありがとうございましたー」



そうしてドラッグストアを出て、
直ぐ近くのスーパーに足進めようと
一歩、踏み出した瞬間だった



「ねぇ、そこのアンタ」

「んあ?」



背中越しに声掛けられ、振り向いて見れば、そこには五人ほどの女の子たちがいて

ドラッグストアの側にいたんだろうか、直ぐにその五人に塑琉奈は囲まれる



「…何か用すか」

「あんた、不動君とはどういう関係?」

「どっ、どういう?」




どうって……選手と一般人?友達?
でもそれじゃしっくり来ねぇな…
一緒に街歩いたり、一緒にお喋りしたり…

うん?

確かに俺とあきおたんって…どういう関係だ?




「あんた何歳?」



思わぬ問いに答えずにいた塑琉奈に
間髪入れず次の質問

ピリピリ、ピリピリと
女の子たちから痛みに似た視線を浴びされながら、塑琉奈は気にせずに答える



「18」

「18?年上かよ」

「18とかババァじゃん」

「ババァが色気使うなよ!!!」






これって……夢と似てるな…

嫌だな…まさかの正夢かよ





答えを聞いて直ぐに
女の子たちに見下す笑いが出て

塑琉奈の顔に徐々に
陽気な雰囲気が消えてゆく



「しかも全然女っぽくないし」

「てか不細工!!!」

「よくそんなんでイナズマジャパンの側にいれるよねー」

「あー…えーっと…」



塑琉奈はめんどくさそうに
頭を掻きながら
女の子たちの言い分と無視して
低い声で応対をする



「確かにおばさん、あき…不動とはなんも関係ないし、女の欠片もねーよ
で、君たちの言い分は不動に近寄るな、でしょ?」





めんどくせーな

とりあえず適当に繕って
早く買い物したいし




塑琉奈のまさかの淡々とした口調
そして真意を突かれて
女の子たちは一瞬、どよめいた



「じゃあ…」

「ハイハイ、これから近寄りませーん」



その言葉を塑琉奈から聞いた瞬間
女の子たちはニヤッと笑い

直ぐに塑琉奈から離れるように
街並みの中へ戻っていった





「…………」





女の子たちから解放された後

塑琉奈はポカンと
間抜けな顔をして空を見上げる





あきおたんのなんだ?っと言われても
核心となるものは全くない

お前は俺のもの、みたいな
恋人的なことなぞ言う筈がないし

むしろ、恋人な関係や思考は
あきおたんと俺の間には………






「ない……よな?」





綺麗さっぱり核心に辿り着けない
自分の曖昧な思考に

塑琉奈は自分自身に
疑問を投げ掛けるしかなかった







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