自分の快楽の為だけに抜き突かれる動きは吏人に痛みしか与えず、蛙が鳴くような呻き声を吏人は上げ続ける。見開かれた瞳からはぼろぼろと涙が溢れ、プライドも何もかも吏人の中には無くなっていた。
苦しい。苦しい。
何でもいい。早くここから解放されたい。

「だの、む…止め゛、て…ッ」

振り絞って言葉を上げるが、サラリーマンは無視して更に激しく律動を続ける。
突かれる度に内臓が全てひっくり返りそうな衝撃が伝わり、先程より酷い嘔吐感が込み上げてくる。

「やめ…や、だ…!お願いします!もう止めて、下さい…ッ!」

縋る様に吏人は懇願するが、男は止めるどころかその手を吏人の引き締まった胸へ這わせ、そこにある乳首をきつく抓り上げる。
秘部の痛みとはまた違う痛みに、吏人は更に涙を流した。何で。と問う事も出来ず、痛みにただ泣き叫び声を上げる。吏人が叫ぶ度にサラリーマンは笑みを深め中で動く陰茎は更に大きさと硬さを増す。
一生終わらないのではないかと思った行為だったが、サラリーマンが小さく呻き、吏人が腹の奥に熱いものを感じると、急にその地獄は終了した。
サラリーマンの萎えた陰茎が吏人の中から出て行き、地獄から解放された吏人はガクガクと痛みに体を痙攣させる。
終わったのだと、ろくに動かない頭でほっとしていると、空中に何か銀色の光が輝いたのに気がついた。
光った小さな物は放物線を描き、そのまま吏人の額に当たると、床に落ちて渇いた音を立てる。
どこかで聞いた事のあるその音に、無理矢理首を動かし床を見ると、吏人もよく見るものがそこに転がっていた。

「…………ひゃく、えん…」

銀色の百円硬貨が、床で鈍く光る。
その内に片付けを済ませたのか、手と陰茎を拭ったトイレットペーパーと蓋を外したままのローションを床に転がし、サラリーマンは鍵を開けさっさと個室から出て行ってしまった。

つまり、これは。

吏人が一息つく暇も愕然とする間も無く、再び扉が開かれる。
吏人が床から扉へ視線を向けると、大学生らしき男達が数人吏人を見下ろして、先程のサラリーマンと同じ様な笑みを浮かべていた。

「…やだ…」

そう言う吏人の脚を掴み、大学生は引き下ろした自分の下着の中から陰茎を取り出す。先程の行為を聞いていたのか、少し硬くなっていたそれを何度か扱くと、間髪入れずに無理矢理吏人の中に挿入した。
再び来た痛みに吏人はまた叫び、個室の外からそれを眺めていた他の大学生達はにやつきながらジャンケンを始める。
血と中に出されたままの精液も加わり、先程より痛みは少なかったが嫌悪感は変わらない。律動を繰り返す大学生とは違う男が個室に入ってきて、何の為にここだけ、広く作られているのか吏人は理解した。
無理矢理口を開かされ起ちかけていた男の陰茎をくわえさせられる。気持ちの悪い味と怒りに噛み千切ってやろうかと考えたが、そんな事をして何をされるのか分かったものではない。
最初の痛みで恐怖を植え付けられた吏人は、嫌がる意思を押し殺して無抵抗にそれを受け入れる。しかし舌で舐めて奉仕するのは分からないのか、男は舌打ちすると吏人の狭い喉の奥に押し込む様に頭を押さえつける。

「ぐ…ごッ!」

体勢が悪かったのか男は便座を跨ぎ、吏人の胸に座ると再び頭を前後に揺すり始める。
脳みそも揺さぶられる様で、吏人の思考回路はまともに働かなくなってくる。
胸の圧迫による息苦しさ。更に秘部に容赦なく受け続ける性行為の衝撃。意識が飛びかけ白目を向いてしまいそうになっているが、喉の奥まで蹂躙される苦しさで意識が引き戻される。
先程のサラリーマンより酷いかも知れない地獄を味わい、本当に吏人の意識が飛びそうになった所で、腹と喉の奥に熱い物を感じた。
吐き出せないまま、苦しさから解放されたいが為にそれを飲み下す。吐きそうになりながらも無理矢理押下すると、蓋をしていた陰茎がやっと引き抜かれた。
終わった。と思い吏人がぜぇぜぇと肩で息をしていると、「次オレー」と個室の外で声が聞こえてきた。
二人と入れ代わる様に再び男達が個室に入ってくる。
吏人は目を見開き、絶望に身を沈めながら「いやだ…」と小さく呟き、

「嫌だ!嫌、いやだあああああッ!!!」

悲痛な叫び声を再び上げた。



*



時刻は深夜を回って暫くが経った頃。
開いたままの携帯画面を閉じ、ジャージ姿の男は入口近く、一見アンティーク風に建てられた公園の公衆トイレに足を踏み入れる。
普通のトイレと同じアンモニアの臭いが鼻についたが、それとはまた違った悪臭が奥から漂ってくる。
男が期待に胸を高鳴らせていると既に先客がいたらしく、一番奥の個室は鍵をかけられていた。
粘着質な水音と肉がぶつかり合う音、そして小さく聞こえる呻き声が室内に響く。
数分間待っていると音は止み、ガチャリと扉が開かれる。自分と同じようなジャージ姿の男が出てきたのには驚いたが、男はそのまま何も言わずに先客が出ていくのを待つ。
手を洗い出ていった姿を見送ると男は閉められた個室の扉を開く。
悪臭が更に鼻に付き、男の目に想像以上のものが飛び込んでくる。

中にいたのは高校生位の男子だった。体は靴下以外一糸纏っていない姿で、鍛えられた両脚をきつく縛ったロープによって、脚を拡げて男に下腹部を晒すようなポーズをしている。便座に横になるような姿は赤ん坊がオシメを替えられているそれに似ていて、しかしこちらは替えられるどころか体中に男の性を吐き出され汚されてしまっている。床にまで落ちた精液の量が、どれだけの人数がここに訪れていたのかを物語っていた。
散々凌辱された菊門はひくひくと痙攣し、時折こぷりと音を立てながら白い精液を吐き出す。体中には所々青痣が浮かんでおり、抵抗して殴られたのかと男は簡単な想像だけした。
整った顔をした少年だが、その目は度重なる凌辱によって虚ろになっており、男が中に入ってきたのに何も反応をしない。
つまらなく思いながらも男は鍵を閉め、少年―吏人の秘部を拡げる。更に精液がそこから溢れ、強姦物のAVみたいだと人知れず興奮した。



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