*吏人さんがモブレ・肉便器ネタ
強姦・売春・嘔吐・スカとかそんなんばっか
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吏人の持って来た昼食が少ない事に佐治が気が付いたのは春も終わりかけの時期だった。
部活の時間をなるべく練習時間に割きたいという目的で昼休みに昼食兼ミーティングをやろうと言ったのは副キャプテンの佐治だ。殆ど人が来ない屋上で佐治と吏人。その二人とよく行動を共にするサッカー部員数人で春から続けていた。

「吏人。それ少な過ぎねェか?」

佐治が指差した先にある吏人の昼食は焼きそばパンと何も入っていないコッペパンが一つずつ。
サッカー部員の誰よりも動く吏人の食事量はいつも多い。最初見た時は「太るぞ」等と言っていた佐治だが、毎日持ってくる量と変わらない吏人の体型を見ている内に慣れてしまった。
だからこそ、いきなり減った吏人の昼食に佐治は違和感を感じた。

「…そッスか?」
「もう少しあるだろ。いつもは」

明らかに目を逸らして答える吏人に佐治は詰め寄る。「やっぱり少ないよ。吏人くん足りるの?」
「…実際あんま食わなくても動ける」

及川の質問に、曰く量が多くとも少なくともそれで体がなんとかしてくれるらしい。
「俺だけは絶対に倒れない」とすら銘打った吏人の事だ。そう言うならそうだろう。もしかしたらこういう事も多いのかもしれない。
しかし、

「俺が見てて気になるんだよ。―ほれ」

そう言って佐治が投げたのは自分のカレーパンだった。
昼休みの直前に体育があった為、いつも以上に空腹だった佐治は弁当の他に購買でパンを買っておいていた。
余ったら部活上がりにでも食べようと考えていたが、買っておいて正解だったようだ。

「いつもに比べると足りねェだろうが。少しはマシだろ」
「…ありがッス」
「うるせーよ。キャプテンはお前なんだから心配かけさせんなよ」

つい悪態を吐いてしまった佐治だが、それも部員達からすれば日常茶飯事なもので大して気にする者はいない。現に言われた吏人も「わかりました」と素直に頷いただけで気に病んではいなかった。



それが三日四日。ついには一週間を迎えた所で、再び佐治は吏人の昼食に眉を潜めた。

「お前…また量減ってねェか?」

種類は変わるものの二個は必ずあった吏人の昼食は、本日一個だけ吏人の腕の中にあるだけだった。
小柄な及川よりも少ない昼食に佐治以外の三年部員も驚かざるをえなかった。
対して言われた吏人は一週間前と反応は同じ。流石の佐治も苛立ちを感じざるを得なかった。

「お前なあ、本気で高円宮杯行く気あるのかよッ」
「ありますよ」
「だったらもう少し食え!節約だかダイエットだか知らねェけど、部活に悪影響な事だけはすんな!」

そう言ってメロンパンをぶつけられた吏人は「大丈夫ですよ」と眉を潜めながらも佐治の支給を受けとった。
その佐治の後ろから、倉橋が「じゃあ俺もこれやるよ」とカツサンドを渡してくる。

「お前平気かよ」
「俺吏人程動かねえもん」
「動けボケ」

コッペパンだけだった吏人の昼食はその二つで大分マシなものになり、吏人は申し訳ないような表情で「すまねッス…」と小さく呟いた。
また悪態の一つや二つ吐いてやろうかと思っていた佐治だったが、吏人の落ち込んだ様子を見て開いた口をそのまま閉じる。
部活内で誰よりもサッカーに真剣な吏人だ。よっぽどの事が無ければ減量などしないだろう。
パック牛乳を飲みながら、佐治は未だによくわからないこの後輩をただ見つめていた。よくよく考えれば、副キャプテンで何かと会話する機会も多いというのに、自分は吏人の事を何も知らない。
好きな食べ物や嫌いな物。サッカー以外の趣味や特技。休日は何をして過ごしているのかも何もかも謎のままだ。及川辺りは知っているのかもしれないが。
今日もどうせ一緒に途中まで帰るのだ。その時に色々質問責めにしてしまおうと佐治が決めた所で、吏人は佐治から貰ったメロンパンのビニールを開いた。


*



パンの一つや二つで何かを言われるとも思っていなかった。
失敗したな。と吏人は小さく溜め息を吐くと、そのまま公園のベンチで一人うなだれる。
時刻は深夜を過ぎる少し前。既に30分以上の遅刻になっている相手に憤慨しながらも、もう当ての無い吏人は静かにベンチで待ち続けるしか選択肢がない。
いつもであれば眠ってしまう時間に、うつらうつらと眠気を誘われてしまう。こんな所で眠ってしまう訳にはいかないと思いながらも、瞼は意思に関係なく垂れ下がっていく。
吏人の意識も限界に来た所で、漸く現れた待ち人は「リーヒトっ」と軽い口調で吏人に呼び掛けた。いきなり呼ばれた自分の名前と聞いた事のある声に、反射的に反応したが眠っていた頭は混乱したまま周囲にきょろきょろと視線を動かす。

「リヒト寝てたの?待ち合わせしておいて酷くない?」
「し、あ…お、お前が遅いからだろっ」

呆然としながらも吏人は慌てて目の前の待ち人。心亜に反論する。心亜はそんな吏人の様子を見てにやにやと笑うだけで、吏人の言葉に何かと言うそぶりもない。
そんな対応に感情の置き場所を無くした吏人は、もやもやとしたまま頭をがしがしと掻いた。

吏人が心亜と再会したのは先日行われた高校総体予選の時。強豪校である環商業に勝利した直後の時だ。
あの時は言い争い結局それだけで終わったのだが、ある日吏人の家に心亜からの連絡があった。
『何かあったら連絡してよ』と訳の分からない事だけを言って直ぐに通話は終了した。誰が連絡なんか。と思ったが頭の中で少しだけ心亜の言葉が引っ掛かり、結局親機の液晶に写る番号を控えてしまっていた。
そして案の定、その数字の羅列を押す機会がやってきてしまった。

「…本当に何とかなるんだろうな」
「酷いなァリヒト君。頼ってきておいて疑う訳?」

三歩先を歩く心亜の言葉に何も言えなくなるが、疑心が消えた訳では無い。何せ「壊しがいがある」とまで言ってきた相手だ。いつこっちが寝首をかかれるか分かったものではない。そんな、およそ助けを求めているものでは無い目で心亜を睨み続ける。
痛い位の視線を心亜も感じていたのか、やれやれと呆れた顔をすると歩みを止め振り返った。

「あのさァリヒト。俺が壊すのはあくまでサッカーでなんだからね?お前が得意にしてて生き甲斐にしている物を、実力でぶっ壊してやるのが好きなの」
「…ん」
「寧ろこれは塩を送っている様なもんDeathよ?万全の時に潰すのが、一番楽しいんだから。こんな所で自滅してもこっちは困るんDeathぅ」
「…………」

心亜の言っている事を吏人は半分も理解できなかったが、一つだけは分かった。
つまり、サッカー以外で心亜が吏人に危害を加える事は無いという事だ。
少しだけ安堵の息を吐くと心亜も満足したのか。前を再び向き歩みを再開する。
ともかく、心亜は悪意があって吏人を呼び出した訳ではないのは分かった。しかし、暗い広い公園の中をゆっくり黙って歩いていくだけで、目の前の心亜は何も教えてくれない。

「で、結局どこに行くんだよ」

たまらず吏人は心亜に尋ねた。
「もう少しー」と言いながら、心亜は肩から提げていたショルダーバッグの位置を直す。持ち上げた時に鞄の中からは何か金属が磨れる音が聞こえ、何を入れているのだろうかと首を傾げた。

「ほら、着いたよ」

心亜の言葉で辺りを見回すが、そこは公園の出入口付近で何かがあるとはとても思えない。
訳が分からず心亜を見つめると、心亜は指先を出入口の隅、小さな白い建物へ向ける。一見アンティーク風に建てられたそれは、ここに来る時吏人も別の出入口で見た、公園の公衆トイレだった。

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