先端を撫でればいつもでは考えれない程の先走りが溢れ、指に塗り付けながら蓋をするように尿道に指先を押し付ける。意地悪するようにそこばかり責めてやると佐治の声が更に上擦り、絶頂が近いのだと察する。早いな。と思いながら胸を愛撫する指を降ろし、追いうちをかける様に睾丸を揉んで刺激する。「いく」と間に呟きながら言葉にならない声を何度か上げると、包むように握り込んだ俺の手の中に精を吐き出した。
いつもより多い量に、味も濃いのではないかと変な事を考えてしまう。肩で息をする佐治が落ち着くまでにポケットティッシュを取り出し、手の平を白く汚すそれを拭い取る。
これで終わるだろうか。いつもの佐治に戻るだろうかとちらりと見ると、少し冷静の色を見せた瞳がぎろりと睨みつける。戻ったか。と思ったが、次の瞬間唇が重ねられ、佐治の舌が俺の口内を貪りだす。
自由が聞かない腕の代わりに佐治は膝で人の股間を押し潰し、乱暴にされているのにそこは待ちわびた刺激にどんどん身を硬くしていく。
まずい。

「さ…佐治っ、待て。待てって!」
「ハッ…やだ」

見下すように笑ってそう言うと、更に刺激は強くなる。やっと拭い終わった両手で佐治を掴み、ほとんど突き飛ばす様に引き剥がす。が、不自由な状態なのに器用に受け身を取り尻を床に付けると、伸ばした右足が再び俺の股間を踏み付けた。

「ひぅ!」
「ははっ…女みてーな声」
「さ、佐治が言うかよ…!」

うっかり刃向かうと「あ?」と指先がぐりと刺激を再開させる。先程と違いただ押し潰す動きだけではなく、指の間や土踏まずまで使って的確に俺の弱い所を突いてくる。完全に起ち上がってしまうと佐治は左足も伸ばし、両足で挟みこみ全体を揉む。呼吸はどんどん荒くなり、本当にまずいと佐治の足を掴み離すと、慌ててベルトを外し下着の中で爆発しそうなそれを佐治の視界に曝した。押さえ付けるものがなくなりぶるりと飛び出したそれに、佐治はごくりと喉を鳴らす。だから、煽らないで欲しい。

「な…倉橋…」
「だから…」
「それ、欲しい…」
「佐治よー…我慢しろって」

自分にも言い聞かせるように呟くと佐治に覆いかぶさり、出したばかりなのに少し硬くなってきている佐治のものを握り込む。扱き、手を触れずとも立ち上がるようになってからそこに自分の息子を当て、纏めて握り込み扱き始める。

「あっ、や、倉橋」
「…っ佐治」

ぬるぬると、どちらのだかわからない先走りを全体に塗り付けただ快感を強めていく。
自然とお互いの腰も動き始め、裏筋に擦り付ける様に動く佐治のものに背筋が痺れる位の快感を与えられる。
やばい。出そう。と唸っていると、視界に濡れた佐治の唇が見え自然とキスをする。達したばかりで体中が敏感になっているのか、佐治の瞳から涙が流れて頬を伝う。更にお互いの唇を犬の様に舐め合ったりするものだからすっかり佐治の顔はぐずぐずに汚れてしまっている。こんな顔になって、教室に戻った時森川と月村になんて言い訳をしようと頭の隅でどうでもいい事を考えた。

「さ、じ。でる」

目を閉じ、一文字一文字を繋ぎ合わせるように呟くと、俺は漸く精を吐き出す。手から零れた白濁の液体は佐治の腹や張り詰めたそれにもかかり熱さに体を震わせると、佐治も二回目の絶頂を向かえ高い声を上げた。
出し切り、熱い息を吐き出して目を開くと二人分の精が手の平と腹を汚している。これ、ティッシュ足りるのか。拭う量と残りのティッシュの枚数を倦怠感の中で考えていると、「おい倉橋」とけだるい声をかけられる。何、と佐治の顔を見ると唇を突き出され、促されるままにそこにキスをする。
本当に佐治はキスが好きだ。俺も人の事は言えないのだが。
佐治の舌が口の中を這う度に頭の奥がじんわりと痺れてくる。
「これ外せ」と言われるがままに佐治の腕を拘束しているネクタイを外せば、腕が首に回され更に深く口付けをされる。じわりじわりと、甘い毒はどんどん頭の中を侵食していく。佐治が欲しくて堪らない。
我慢しろ。と言っても、本当は俺だって佐治と繋がりたい。俺の腕の中で、快楽に溺れ乱れる姿を見たい。

「佐治、さじ…」

自分でも驚く位泣きそうな声が出る。堪え難い欲求が、俺の理性を崩壊させていく。

「いいって言ってんだろ…」

軽くリップ音を立ててそう言われれば、頭の中でぷつん。と何かが切れゆっくりと汚れた手を更に下、佐治が入れて欲しくて堪らないそこへとゆっくり伸ばしていく。焦らす様に指の腹で撫で、白濁の液体を皺の間に塗り込んでいく。
熱い息を吐いて誘われるように腰を揺らされれば、そのままキスをしながらゆっくり指を―

と思った瞬間、予鈴の鐘が校舎中に鳴り響いた。

ガツンッと床に頭を打ち付け慌てて行為を止める。いきなりの事態に驚いて俺を見ている佐治を無視して頭を上げ、ポケットティッシュで汚れを全て拭い片付けると、脱ぎ捨てた下着や制服をテキパキと佐治に着せていく。余りの変わり身に着いていけない佐治だったが、俺も自分の服を整え立ち上がって「行くぞ」と言うと不満そうに表情を一気に歪めた。

「こんな中途半端で終われるか!」
「諦めろーって!部活終わるまでもうしないからな!しないからな!」
「後半ノリノリだった癖に!このヘタレ!」
「後で辛いのは佐治だろ!早くしないと遅れるって!」

そう言うが佐治はまだ不満そうに俺を見上げてくる。いっその事サボタージュしようとでも言いかねないが三年生の大切な時期に成績は下げたくない。
佐治がこういう時期、相当辛いのは分かっている。分かっているが俺だって佐治を若くして腰痛持ちにさせたくない。
俺が引き下がらないのを分かったのか、佐治は不満な顔は変えなかったが渋々と立ち上がる。まだ治まってはいないだろうが、先程の行為で大分楽にはなっているだろう。

「部活終わったら絶対だかんな」
「はいはい」

使い終わったティッシュをごみ箱に入れると、つっかい棒を外して「急ごうぜ」と佐治の方へ振り返った。
その瞬間、再び衿元を掴まれ、唇を塞がれる。
慌てて開きかけた扉を閉めたがそれはただのフレンチキスで、佐治はからかうような笑みを浮かべると満足したように先に視聴覚室から出て行った。

ちょっとした仕返しと、部活が終わった後を楽しみにしたそれは、ただ深く合わせる口付けより余程いやらしくて。
顔が驚く位熱くなるのを感じた。

「おい、早くしねェと置いてくぞ」

悪女みたいな事しやがって。と思いつつ、こんな暴君の我が儘に付き合えるのはおそらく自分しかいないな。とため息を吐いた。


そしてそんな暴君と愛しい関係になれた事は幸せだな。と心の底から思った。



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