たまに、本当の本当にたまにだが佐治にも抑えきれないという時がある。
何が抑えきれないと言われればつまり…"そういう行為"なのだが。どうにも佐治が下だからなのか単純に恥ずかしいからなのか佐治からのお誘いというのは本当に数える位しか無い。俺が佐治程我慢がきかないのもあるのだろうが。まあ俺の事はどうでもいい。
で、その抑えきれない時と言うのが困った事に『いつなのか』『どこでなのか』が予測がつかない。佐治自身も困っているらしいが俺としては佐治が誘ってくる。と言うだけで嬉しいので「何でだろうなあ」と適当に相槌を打つだけだ。

「ん…っ」

そして今日も、耐えきれなくなった佐治が俺を手を引き連れてきたのは誰も来ない第2視聴覚準備室。最早使わない備品を放り込む物置と化しているそこの鍵が壊れている事に気が付いたのはつい最近で、人が来る可能性が高い屋上より佐治はこちらを使うことが多くなった。
入るなり佐治は俺の衿元を掴むと噛み付くようにキスをする。壁に押し付けられずるずると埃だらけの床に腰を落とすまで唇は離れず、不安定でやっと口を離した佐治の腰を優しく抱き引き寄せる。ぺたりと床に膝を付かせ再び、今度は俺から唇を重ねると誘うように佐治の口が薄く開く。後頭部を撫でながら舌を侵入させ口内を味わうと、甘い吐息を吐きながら佐治の声が漏れる。目を閉じて与えられる感覚に集中する佐治が愛しく、唇が再び離れてもまた繋がった唾液の糸に引かれる様に佐治に口付ける。
俺が離れれば佐治が、佐治が離れれば俺が。その度にくらはし、さじ、とお互いの名前を呼び沸き上がる興奮を更に助長させていく。
佐治はとにかくキスが好きで、耐えきれない時はいつも以上にキスを求めてくる。やる気がないのに妙に鋭い眼光がとろりと溶け、それしかやる事が無いと言うように唇だけを求め続ける。その間に俺は佐治のネクタイを緩め、シャツのボタンを外しベルトを外していく。
するりとシャツの中に手を入れ、筋肉が付いた胸板にある二つの胸の飾りに触れれば、佐治の体はびくりと跳ねる。それでもキスを止める事だけはしない。俺の口の端から垂れた唾液を舌先で舐め取ると、上気した顔を俺に見せまた口付けをする。その表情は完全に性に溺れたもので、俺以外の他人どころか佐治本人すら見たことがないものだ。俺しか見たことが無いその顔を見ると、下半身にどんどん熱が貯まっていくのが分かるが、唾を飲み込みしっかりしろと自分に喝を入れる。
胸に触れる度佐治の声が静かな室内に響く。普段は唇を噛んでまで声を堪えているというのに、こういう時はタガが外れてしまったかのように艶っぽい声を上げ続ける。

「くら…くら、はし」
「なーに?」
「あ、俺。最後まで、したい…」

ふるふると体を震わせ、潤んだ瞳から涙が少しだけ零れる。
いつもの佐治なら、そんなおねだりは言わない。なけなしの理性が潰されそうになるのを何とか堪えて、俺は一度胸への愛撫を止めて佐治の背中を撫でる。

「佐治、ここはどこだ?」
「…学校」
「そうだなー」
「…っ!ま、前はやったろ!」
「前はなー。でも今は無理だろ」

昔の様な練習量ならある程度体に鞭を打てばなんとかなっただろう。しかし今は違う。今のサッカー部には、あの生意気な一年生のキャプテンがいるのだ。他の奴らよりかは体力がある佐治でも、こういう事を致した後にあのキツイ練習をやるのは無理だろう。サッカーは足腰が資本だ。
佐治も何となく理解はしているみたいだが、そんな事を言っていられる状態では無いらしい。扉につっかい棒すらかけずにいきなりキスをしてきたのが証拠だ。

「抜いてやるけど。最後まではお預けな」
「やだ…」
「後が辛いの佐治だぞ?」
「いい…」

駄目だ。完全に我慢がきかなくなっている。
昔なら据え膳と喜んで食べていた俺だが、佐治の体に負担をかけてまでいただこうとは思えない。まだ理性がある俺が、佐治を止めなければ。
頭を撫でて宥めてみても、佐治は嫌がる様に頭を降って脱がしかけていた制服のボトムスを下着ごと一気にずり下げる。当然出てきた佐治の陰茎は触ってもいないのに既に起ち上がっていて、先走りがとろりと竿を伝っていく。中履きを脱ぎ、片足を順番に浮かせて足から服を抜き床に投げ捨てれば、佐治が着ている物はボタンが外されたワイシャツ、外されてぶら下がるネクタイ。それと靴下だけになってしまった。
もし誰か来てしまったら何も言い訳は出来ないだろう。慌ててつっかい棒を探し扉に鍵代わりで立てかけると、佐治がそろりと指を自分の後ろに這わせているのに気がついた。

「待った」

腕を掴んで何とか佐治の暴走を食い止める。佐治は泣きそうな表情を浮かべ「やだ」と呟くが、駄目なものは駄目だ。
辛いのだろうが、もっと辛い事になるのよりはマシだろう。

「駄目だって」

それでもごねて腕を引きはがそうとする。説得してもいいが今は昼休みで時間に余り猶予は無い。「悪い佐治」と謝ってから佐治の両腕を後ろ手に纏めると、そのまま佐治のネクタイで縛り自由を奪う。

「てめっ、倉橋!」
「佐治が暴れるからだろー」

佐治の頭を再び撫で自分の肩に押し付けると、我慢がきかない犬の様に先走りを垂らす陰茎に触れる。
いきなりの刺激にびくりと弓なりに背中が反り、荒い息遣いと共に甘い声を再び漏らす。
親指と人差し指で輪を作る様に掴み、残りの指で焦らす様に佐治の陰毛を撫でる。早く。と言う様に腰を揺らす佐治に従って、ゆっくりと上下に竿を扱き始めた。
もう片方の手は再び胸に這わされ、少し強めに抓ってやると佐治の体はびくりと跳ね、先走りを更に流す。一度手を離し優しく表面を指の腹で撫でれば今度は細かく体を震わせ更に陰茎を大きくさせる。額を俺の肩に擦り寄せ縛られた両手は真っ白になる程握りしめられている。
正直、自分の股間で大分前から主張してる息子も辛いのだが先ずは佐治からである。冷静になってくれないと、何も始まらない。


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