*佐治さんが先天性にょたです(性別逆転)
*吏人さんが変態です
 
苦手な方はブラウザバックでお願いします
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
よくクラスの女子が言っている「勝負下着」というものが何か分からない。
下着で何を勝負するのかと思うし、着替え中に見かける派手な柄の下着を見ると、何であんなに凄いものを穿いているのかと不思議にさえ思えてくる。
そう思っていたのだが、どうやらそれは俺の方がおかしいのだと判明したのは、つい先程の、体育の前の着替えの時だった。

「佐治…何それ…」
「へ?」

クラスの女子の一人に、スカートを脱いだ臀部を指差される。
下着姿の下半身を見てみるが、別に何か変なものとかはついていない。
「なんだよ」と言おうと顔を上げると、周りの友人達も全て、俺の下着に目を向けている。訳が分からず全員の顔に疑問を向け続けていると、「あんたそれ普通なの…?」と尋ねられてしまった。

「だ、だから何が?」
「それよそれ!」
「パンツ!」
「パンツがなんだよ!」
「何でそんな柄なの!!」

訳が分からなくなり、俺は自分の下着をもう一度見る。
淡い水色と白のボーダーが全体に入ったなんの変哲もない下着。うっかり寝坊してしまいスパッツを穿くのを忘れてきてしまったが、別にここは女子しかいない更衣室なのだ、下着姿を気にする事はないだろう。他の女子も脱いでるのだし。
しかし、俺の疑問とみんなの疑問は違うものだったようだ。

「あんた18にもなって…なんでそんな地味な下着なのよ!」
「今時中学生しか穿かないわよ!」
「じ…み…?」

そう言われて、殆ど脱いだままの状態だったみんなの下着を見る。
白いレースを大量にあしらったものや、彩度が強い色だけで構成されたもの、紐で結ぶタイプのものやら地味だけどリボンが所々あしらわれて可愛いものやら、様々な下着が目に入った。確かにそれに比べると、俺の下着は月とスッポンかもしれない。

「あんた確かにTシャツスパッツだから見てなかったけど…女の子がそんな下着でいいと思ってるの!?」
「別にいいと思うけど」
「彼氏いるんでしょ!?」
「な…!なんでいきなり彼氏の話になるんだよ!」

急な話にうっかり顔が熱くなる。いるけど、いるけど何が関係あるのだというのだ。

「彼氏に見せるでしょ」
「見…せる、けど」
「彼氏に地味な下着見せて恥ずかしくないの!?」
「あーもー訳分かんねェ!」

しましまの何が悪いのか。
大体みんなが穿いている下着の方が恥ずかしくて穿けない。絶対俺の性格に合っていないし、女子以外で唯一見せているあいつだって、俺が可愛い下着を穿いていたら笑うだろう。
そう主張してみるが全員に却下を申しつけられ、あまつさえ「帰りに下着屋に寄れ」とさえ言われ始めてきた。

「やだ!絶対やだ!」
「何でよ!」
「き…今日は一緒に帰るんだよ!」

更に顔が熱くなるのを感じて、なぜこんな事を言わなきゃならないのだ畜生と頭の中で叫ぶ。
それで観念してくれるかと思ったが、どうやらまだ腹の虫が治まらないらしい。

「いいじゃん。彼氏と一緒に行けば?」
「あ?」
「下着屋」
「寧ろ彼氏に選んでもらいなよ」
「えら…!?」

「彼氏の趣味分かるじゃん」「普通普通」と追い詰められる。
何が普通なのか。いや、出来る訳ないだろう。

恥ずかしい。
無理。

「でも佐治ちゃん。下着はちゃんとしたの選ばなきゃ駄目だよ」
「はあ?ちゃんとしてるだろ」
「そうじゃなくて、サイズ計ったりとか…佐治ちゃん、そのパンツ小さいし」
「え?」

確かに高校入ってから急にきつくはなってきたと思っていたが。ブラの大きさばかり見ていてそっちには気を回していなかった。

「そうそう、ちゃんと選ばないと胸とかお尻の形悪くなるよ」
「ただでさえ佐治お尻大きいんだし」
「それは言うな!」

気にしている事を指摘され、つい吠えてしまう。
しかし、形が悪くなるのは流石に俺だって嫌だ。下着屋に行く事は考えた方がいいかもしれない。

「それにサイズピッタリだと、胸も大きくなりやすいらしいよ」
「佐治あんた今すぐ必要じゃない。それ」

胸から浮いているブラを指差され、びきり。と眉間にあおすじが浮かんだ。





そして今、俺の前には背中を向けた吏人がいる。
向けている。と言うよりか集中していて俺が後ろにいるのに気が付いていないのが正解か。

部活が終わり、部室の鍵を職員室に返した後吏人と一緒に帰ったのだが、気が迷って下着屋に寄ろうと言ったのがいけなかった。
下着のサイズを計ってもらい、それに合わせた下着は何個か選んでみたのだが、会計に行く直前で入口で待っていた筈の吏人が中にいることに気が付いた。様子を見ていると、一つブラショーツセットを手に取り、そこから10分程全く動かなくなった。俺が背後にきても気が付いてない。

「…………」

吏人が手に持っているのは、白地に白フリルと、黄色のリボンをあしらったもの。薄い黄色の糸で何か模様も刺繍されているみたいだが、ここからではよく見えない。

まさか、穿きたいとか言い出すんじゃないだろうな。

鳥肌が立つような想像をしてしまい慌てて否定する。そんな変態極まりない行為はこの後輩はしないであろう。寧ろそんな世界すら知らないのではないだろうか。
そう考えているとやっと商品を棚に戻し、吏人はこちらを振り向いた。真剣に悩むような表情で小さく息を吐くが、目の前に俺がいる事にやっと気が付きガタンッとぶつかった商品棚を大きく揺らした。

「さ…じさん?」
「…吏人、お前」
「違います」

こちらが何かを言う前に吏人は否定の言葉をあげる。
まさかの不安が的中したかと血の気が引いたが、そんな筈はないだろうと慌てて否定をする。話せばすぐに誤解と分かるだろうと思い尋ねてみるが、吏人は「違います」の一点張りで全然話が進まない。
不安感と苛立ちが募り、声を荒げながら「だから何が違うんだよ」と問いただしてみても、吏人は唇を噛んで答えようとしない。
もう吏人の意図が分からず、半ば自棄で吏人が見ていた商品を掴む。一番前にかけられた商品が自分のサイズぴったりだったのに更に苛立ちが沸き上がったが、気にせず手に持っていた他の商品の中に加えた。

「あ」
「何だよ」
「いや…それ着て、くれるんですか」
「あ?お前が着るんじゃねえの?」

俺の言葉を聞いた吏人は顔を真っ青にすると、慌てて「何でそうなるんスか!」と声を荒げる。

「俺は佐治さんに…あ」
「俺?」
「…………」

恥ずかしそうに顔を逸らしてごにょごにょと吏人は何かを呟く。頬を赤くして「佐治さんに…」と吃るその姿にやっと吏人の言いたい事が分かり、一気に顔が熱くなった。

「…………」
「えっ、と…佐治さ」
「今日、予定あんのか」
「え」

言うかどうか迷ったが、先程まで下着を見続けていた吏人の事を想像すると、まあたまにはいいかと言う気分になる。
「お前ん家、泊まるから」と言えば、ぽかんとした吏人は一気に嬉しさに満ち溢れ、「今日親いないッスから!」と俺の両手を掴んだ。
顔が更に熱くなるが、いや気を遣わなくていいと言う事だと必死にごまかす。何度もそんな経験をしている為、どうも吏人の家に行くと考えるだけで変な想像をしてしまう。
実は自分は変態なのではないかと考えながら、「会計行ってくる!」と吏人の手を引きはがす。会計の列に並んで吏人が持っていた商品を見る。近くで見ると刺繍の柄は黄色の花模様だったらしくとても可愛らしい。
あいつもこういう可愛らしい方が好きなのだろうか、と更衣室での会話を思い出しながら俺は少し不満げに眉を寄せた。下着なんて、何でもいい気がするのだが。





「何でもよくねェッス」

どうしてこうなった。
ベッドに押し倒し上に覆いかぶさってきた吏人を見上げながら俺はそう思った。
吏人の家に着き、軽く食事を済ませ風呂に入り、来週の練習内容を決めた所まではよかった。問題は、その後だ。

「結局どれなんスか」

寝巻き代わりに借りた吏人のシャツをゆっくり捲り上げられる。慌てて裾を掴み引き下ろすと、むっと不満そうに吏人は眉を寄せた。

「見せてくださいよ」
「や、やだ」
「何で」
「何でもだ!」

構わず捲ろうとする腕の力に全力で抵抗する。と言っても、年下とはいえ向こうは男だ。持久戦に持ち込まれれば体力も腕力も下回る自分の方が不利だろう。その前にこのムードも何もかも無いスケベ野郎を沈静しなくてはならない。
だが向こうも長期に持ち込む気は無かったらしく、油断していた顔へぐいと近付き抵抗する暇も与えず、俺の唇に食いついてきた。文句を言おうと開いた口の隙間から、吏人の舌がぬるりと侵入する。
何度やっても慣れない感触にびくりと目をつむる。他人の一部が中に入り込む事に体がぞわりと鳥肌を立てるが、勢いは最初だけで優しく口づける行為に少しずつ緊張がほぐれていった。
うっすらと瞼を上げれば、目を開けたままの吏人と視線が合う。恥ずかしくなり目を逸らすと、「可愛いッス」と吐息と一緒に甘い言葉を吐いてきた。
どうも吏人はそういう行為の時、「可愛い」やら「好き」やら甘い言葉を吐く事が多い。正直聞いているこっちは恥ずかしいが、切なげな声で必死に吐き出される言葉は俺の緊張感とか不安感を癒してくれるので止めてほしいとは思っていない。

「ふぁ…あ…っあ、やだ!」

キスで力が抜けた隙に、吏人の両手は俺のシャツを一気に捲り上げる。日焼けをしていない部分が吏人の目の前に曝され、首元まで上げられたものだから当然隠していた下着まで吏人の眼前に曝される。
恥ずかしくなり顔を逸らすと「おお…」と感嘆するかの様な声が上がった。何だそれは。

「俺の…選んだ奴ですよね」
「…そうだよ」

白地に白フリル。黄色のリボンに花柄の刺繍。それは先程店で吏人が凝視していた下着だ。
三つ買って、今日風呂後に早速これを穿いた理由は『吏人が選んでくれたから』というなんともよこしまな理由からだったが、『吏人が見るかも』という事態は全然予測していなかった。いや、していたが余り考えないようにしていたと言うか。
固まったままの吏人を見て、浮かれているんじゃないかと思われているかもと思い、羞恥に目をつむる。ばくばくと鼓動する自分の心臓の音だけ聞いていると、いきなり胸の辺りに暖かい感触が当たった。

「ふぇ…お、前何してんだよっ」
「だって可愛いんスもん」

見てみれば吏人は顔を思いっきり胸に埋め、両手で下着に隠された乳房を優しく揉む。周りの肉を寄せながら手の平全体で触り、出来てもいない谷間にすりすりと顔を押し付ける。
「佐治さんの匂いがする」と言われ思わず顔が熱くなる。吏人は揉みながらも下着の上から刺激で反応してきた乳首を人差し指でぐりぐりと押し潰し、じわりと下腹部が反応するような愛撫を続ける。
こうなったらもう吏人は止まらないし、俺も止めたいと思う気が薄れていってしまう。
シーツを掴んで堪えていた手を吏人の頭に回し、まだ乾ききっていなかった髪に縋るように触れた。「は…ぁ…っ」

吏人の指先はいつもより強く触れてくるが、下着越しのせいかその刺激はどこか焦れったく感じる。
谷間が全く出来ていない胸の間に吏人は舌を這わせて、そのまま鎖骨・首筋・顎と舌先をつーっと移動させる。熱くなった息を吐き出す俺にキスをして、舌を絡ませながら胸にも触れてくる。
最初は微かにしか感じなかった下腹部の熱さもどんどん膨らんでいき、吏人の頭を寄せるようにしながら自分からも口付ける。飲み込みきれなかった唾液が頬を伝って、それでもキスが余りに気持ちよくて頭の中に靄がかかる位に続ける。

「さ…じさん…激し…」
「だって…気持ち、いいし…」

苦しげにそう言う吏人に拗ねるように答えると、「そっスか」と悪い笑顔を浮かべる。そのまま吏人は右手を腹に這わせながら下のハーフパンツに手をかける。俺が抵抗する間もなくハーフパンツは脱がされそのままベッドの下に落とされた。


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