学級ヤンデレ。





委員会というものはひとつの檻のようなものだと、トモミは思った。

尊敬こそすれ、好きにはなれない上級生。
身近な存在だからこそ、扱いに困る下級生。

くのたまと、忍たま。
相容れない存在。

溝は確かにあるがそこはお互い出さないというのが暗黙の了解だ。

一見和やかに委員会は進む。

だがトモミは早くくのたま長屋へと帰りたいと切に思っていた。叶うなら今すぐ飛び出してしまいたいほどに。元々、くのたまは忍たまに関与しないのだからそうしても別に構わないだろうか。後で体調が悪くなったとでも謝れば良い。ただただトモミはこの状況から逃げたかった。

細く息を吐いて立ち上がろうと足に力をいれる。

「トモミちゃん、疲れちゃった?」

「お菓子、あるぞ。食べるか?」


途端に声をかけられた。


甘やかすように、そこには純粋な思いしかないように紡がれ、ひたすらかけられる言葉。その裏には、逃げるなと含ませながら。

―――……逃げたらどうなるかわかるな?


背筋をねっとりしたものが這い、トモミは掌を握った。

「いえ……大丈夫です」


そう返すのが精一杯だった。

ここは、おかしい。
この先輩たちは、おかしい。

依存という檻が出来上がってきているのを、トモミは確かに感じ取った。

密閉された学園だからか。それとも元から"そういう"人だったのか。

下級生たちは気づかない。またやっていると、呆れたように視線を投げるだけだ。

どうして、気づかない。

目の前でゆったりと微笑む尾浜と鉢屋に微笑みを返しながら恐怖する。

隙間を縫って、彼らは染み込んでくる。

トモミが落ちるのが先か、耐えきれずに逃げ出すのが先か。

それを知るのはトモミの目の前で瞳に鈍い光を携えた尾浜と鉢屋のみだ。






***

囲う気満々な鉢屋と尾浜。
上級生ともなれば誰にも気づかれずに囲うくらいできそうですね。

なんかこう…穏やか?なヤンデレが読みたいです。







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