「ん!美味いなこれ!」 「ふっふーん。でしょでしょ。でもやっぱりフランシスさんと一緒に作った時の方が美味しかったなー…」 「お、俺にとってはあんな髭野郎と一緒に作ったのより…お前が俺の為に作ってくれたやつの方が何百倍も美味い、ぞ…」 「あ、アーサー…」 「名……」 「…ほっぺにカラメルつけて言ってもかっこよくないよ…」 「へ!?あ…ほ、ほんとだ……ついてた…」 5月1日(土) ゴールデンウィーク真っ盛り! ギルは今朝早くから「本田と声優のイベントに行ってくる!!」だとかで出かけていった。 最近ますますオタクに磨きがかかってきてるなー… そろそろ本田さんにギルたぶらかすのやめてもらわないとそのうち「コミケに行ってくるぜ!」とか言いそうで本当に恐い。 そんなこんなで今日はアーサーと二人っきり。 お天気はいいし窓から入ってくる風は心地良いし… なんだかのどかだなぁ… 「お腹も膨れたしなんだか眠いねー」 「だな。明日はお前の実家に行くんだしゆっくり休んでおいた方がいいぞ?しかしあんな大勢で行っても本当に大丈夫なのかよ…」 「お婆ちゃんが大丈夫って言ったからいいんじゃない?それなりに家も広いし。いざとなったらアルフレッド君とギルは爺ちゃん婆ちゃんと一緒に寝かせる」 「あいつらはそっちの方が喜びそうだけどな…」 「アルフレッド君なんか本当の孫みたいだもんね。お婆ちゃんもアルちゃんの好きなお饅頭買っておくよ〜とか言ってたよ」 うんうん。お爺ちゃんもお婆ちゃんも賑やかなの好きだからなー。 二人でソファーの背もたれにうな垂れながらぼんやりテレビを眺める。 ふとアーサーの方に視線を向けると、アーサーもこちらを見ていたのか視線が重なった。 慌てた様子で目線を明後日の方向に向けるアーサーが面白くて「可愛いなー」と笑うと「可愛いとか嬉しくねーよ馬鹿!」と人差し指で頭をぶすぶすと小突かれた。 「そういえばアーサー髪伸びてきたね。ボサボサ」 「そ、そういえば最近切りに行ってきてなかったな…」 「っていうかアーサーっていつも髪伸びるの早いよねー…あぁ、エロいから…」 「え、ろくない…とは言い切れない、けど…。ふ、普通だよ普通!!」 「でもベッドの下にいい趣味してるAぶ「やめろぉおおお!」 真っ赤な顔をしてあわてふためいているアーサー。 恥ずかしいならもっと分かりにくい場所に隠せばいいと思うけどなぁ… 「なんだったら髪切ってあげようか?」 「ふえ…?」 「ほら、わたしいつもギルの髪切ってあげてるし。少し着るぐらいなら大丈夫だと思うけど…。嫌?」 「い、やじゃないけど…いや、むしろそうしてもらえると嬉しい…」 「よーし!それあこの椅子座ってー?」 もじもじと遠慮がちに椅子に座るアーサー。 いつもギルの髪を切ってあげる時と同じ要領で、だけどほんの少し丁寧にアーサーの髪をカットしていく。 「アーサーも小さい頃はお母さんに髪切ってもらったりしてたの?」 「そういや一度もないな…」 「じゃあ小さいころから美容院とか行ってたんだー。私は近所のお姉さんがいつも切っててくれてさぁ。今はお嫁に行っちゃってもう居ないんだけどね」 「お、俺はその……フランシスに…」 「フランシスさん?」 「あ、あいつ昔から手先が器用だったんだよ…それであいつに切ってもらったりしてた」 「ええー!そうなんだ!フランシスさんってほんとなんでもできるんだなぁ…一度私も切ってもらおうかな」 「や、やめろよばか!あんな変態に切らせたらどうなるか…!」 「いや、変態は関係ないと思うけど…。それにしてもいつも髪切ってる相手がギルだからなんとなくやりにくいなぁ…。ほら、あの子髪サラッサラだらか」 「失敗するなよな!」 「はいはーい」 無事切り終え、アーサーに鏡を渡すと「まぁ悪くないな…」とによによと笑っていた。 それからもなんだかウキウキと喜んでいる様子で機嫌良く鼻歌を歌っていた。 夕方にテンション高く「声優のイベント最高だったぜええええええ!!」と帰って来たギルが私にベタベタと纏わりついてイベントでの様子を事細かに語った。 いつもならここでアーサーが「うるせーよ!」とでも言いそうな所なんだけど… 自分の髪を人差し指と親指で摘み、嬉しそうに微笑んでいるアーサ−はなんとも情けない表情だった。 そんなに嬉しかったのか。可愛いなぁ。 さてと…!明日は実家に帰るんだから今日は早く寝ないとね…! 帰省メンバーは私とギルとアーサーとアルフレッド君とトニーさんとルート君…それから今回はフェリシアーノ君とロヴィーノ君も一緒なんだよね〜! あの二人は私の実家に行くの初めてだけど色々と大丈夫かなぁ… 特にロヴィーノ君は都会の子ってイメージがあるから、何もない田舎ってつまらないんじゃないだろうか… まぁ本人が絶対一緒に行くって言ったから良いかな… ふふふ。明日が楽しみだなぁ…! . |