GWも終わり今日からまたいつも通り仕事が始まる。
分かってはいるものの、楽しいことがあった後はなんとなく会社に来るのが嫌になるよねぇ…




     5月6日(木)




「昨日の夜はあづぐで寝付けねかった…」

「ああ、確かにすごく暑かったですもんね〜!まだ5月だって言うのに参っちゃうなぁ」

「私も実家に帰ってたんだけど暑くてたまらなかったよ〜。ギル達なんて水浴びしてびしょ濡れになってたし」

「わぁ!いいですねそれ!最近水遊びなんてしてないなぁ…」

「じゃあ次は二人も一緒においでよ。お爺ちゃんとお婆ちゃんも喜ぶよ!」

「ほんとですか!?うわぁ〜…!一度行ってみたかったんですよ、名さんのご実家!」

「…んだない…」



数日振りに会ったティノ君とスーさんといつも通り会話を楽しみながら仕事にとりかかる。
GW中に旅行に行ってた人からお土産を貰ったりで、机の上は荷物で溢れかえっていた。
あとで紙袋に入れて持って帰らなきゃだな…。



「名…」

「はーい、なんですかノルさん」

「あの新人、ここミスってんべ」

「…あー……」


ノルさんにポンと頭に乗せられた紙。
誤字に文章ミスかぁ…まぁ私もよくやることだけどちゃんと注意しないといけないよね…。
私がちゃんと教育するようにデンさんにも言われてるしね



「ごめん、ちょっといいかな?」

「は、はい。なんですか?」

「この間やってもらったこれなんだけど…こことここ、あとここも間違ってるよ」

「え…!?あ……すみません…」

「今度から何度もチェックしなおしてね。あとそれから、私以外から頼まれた仕事でも出来上がったら私に一度見せに来て?デンさんなんかはちゃんとチェックしないで通しちゃう事あるから、後になってミスが見つかって大事になる事もあるかもしれないからね」

「分かりました…申し訳ございません……」

「いいんだよ。頑張ってね?」

「……はい」


しゅんと俯く新人君に胸が痛んだ。
し、しかし叱る事も先輩としての仕事…!

そう思えば私のときなんて…デンさんにしごかれて残業させられてパシられて…。
その度にスーさんやティノ君に励ましてもらったり、手伝ってもらったり…。
入社したての頃は色々嫌な事もあったし、仕事に慣れるまで大変だったよなぁ…。






  




「アーサーは何にするー?」

「俺は紅茶だけでいい…」

「いやいや、アーサーが紅茶だけ注文して私だけがケーキ食べてるのなんか嫌じゃん。食い意地はってるみたいじゃないですか」

「実際そうなんだから仕方ないだろバーカ」

「え〜?今なんて言ったの〜?聞こえなかったからもう一回言ってみてくださいよ紳士さん」

「いだだだだ…!いてぇよ足踏むなよバカァ!」



久しぶりに帰りに甘い物でも食べないかとアーサーに誘われ、断る理由もなくアーサーと二人でよく来る店に入った。

自分から誘っておいて何も食べないとは…!
無理矢理アーサーの分も注文し、しばらくして運ばれてきた綺麗なケーキに感動しつつその味に舌鼓をうった。


「そういえばお前、昨日カリエドの知り合いに花束頼んでたよな?いったいどこの花屋だったんだ?」

「ルート君達の成人式の日に行ったお花屋さんあったでしょ?あそこのお兄さんがわざわざ届けに来てくれたんだよ!」

「そうだったのか…あいつに花屋の知り合いが居るなんてな…」

「妹さんもすっごく美人でいい人でね〜。花束もタダにしてもらっちゃって…ちゃんとお礼しに行かなきゃなぁ…ベルさんにも会いに行きたいし」

「ベル…?」

「うん、妹さんの名前がベルさんって言うの。何か心あたりでもあるの?」

「……いや、なんでもない…」


少し頭を抱えるようにして「あー…」だとか唸っているアーサー。
いったいどうしたと言うんだ…!

結局アーサーは注文したケーキに手を付けなかった為に、私が食べるはめになってしまった。
これで太ったらアーサーのせいだ!と文句を言いながらも綺麗に食べきると「そうなったら俺がお前の為にダイエット料理でも作ってやるよ…」と言われてしまったので丁重にお断りした。
まあ、確かにアーサーの料理を食べれば痩せそうだけどね。その代わりとんでもなく酷い腹痛が伴ってくるけれども。

二つもケーキを食べてしまった私は到底夕食までも食べられるはずもなく、ふわふわのオムライスを「うんめぇー!」と騒ぎながら食べているギルと締まりの無い顔で味わっているアーサーの姿を見ているだけとなってしまった。

ちくしょう、やっぱりケーキを二つも食べるんじゃなかった…!





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