俺の彼女はめっちゃ男前な女の子です。

俺が「好きや!!」と言えば「私は…愛してるよ、アントーニョ」と頬を撫でてくるし、酒で酔わせて可愛い姿を拝んでやろうと思っても全然酔わへんかったし。
寧ろ俺が酔われされて家まで送り届けられてもてん。
(思わず「抱いて!」と言いそうになった)

彼氏としてこのまっまじゃあかんなー、何とかせなあかんなーと思って今日は親分特製愛情たっぷりパエリヤを作って食べさせる事にしたんや。
フランシスの持ってた雑誌に「女の子は男のエプロン姿に弱い!」って書いてあったしな!
俺のエプロン姿に流石の名もメロメロのはずや!



「名〜、もうちょっとでできるさかい待っててや?」

「うん、ありがとアントーニョ」


普段はつけていない眼鏡をかけて新聞を読んでいる名がニッコリ笑って思わず胸がキュンと鳴った。
あかんあかん!今日は俺が男前なとこ見せて名をキュンとさせるんや!


「あとはしばらく火にかけて……っあつ!!」



指先で熱くなった鍋に触ってもた。
酷い火傷やないやろうけど…ひりひりするなぁ。


「どうしたのアントーニョ!?」

「名……!え、いや、なんでもあらへんよ…!」



俺の声を聞きつけて来たんか、慌てた様子の名がキッチンに入ってくる。
折角男前な姿見せようとしとったのに火傷したなんてかっこ悪いこと言えへん…!


「でもさっき声上げてたでしょ…?」

「大丈夫やって〜!もうすぐできるさかい名は座っててや」

「……」



疑いの眼差しで俺を睨む名。
そんな目で見られると辛いわぁ…



「どっち?」

「へ……?」

「どっちの手、火傷したの?」



少し怒ったような言い方で俺の両腕を優しく掴む名。


「な、なんで…」

「”あつっ”って声聞こえた。火傷したんでしょう?」

「………」

「正直に答えなさい」

「……火傷しました…」


観念しましたと言わんばかりに両手を上げる。

火傷した方の手を掴んだ名にぐいっと腕を引かれ緩く蛇口がひねられた水道水に指先をつけられた。



「……」

「……」



無言で手首を掴んだままの名。



「なあ名…怒ってる…?」

「怒ってないよ」

「俺…名に男らしいとこ見せたくて頑張ったつもりやったんやけど…やっぱりあかんなぁ。いっつも名の方がしっかりしてて俺頼りないやろうし…。彼氏失格やと思「アントーニョ」



俺の言葉を遮るように名前を呼んだ。


手を持ち上げ、少し赤くなった指先に優しくキスを落とした名がやんわりと笑う。




「私はどんな貴方でも、世界で一番愛してるよ」




ああ、













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かっこいい親分も好きだけど、たまにはヘタレな親分も大好きです。


2010.5.18





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