「名、そんな場所で寝ていたら風邪をひくぞ」
「大丈夫…そんなにやわじゃないし…」
ソファーの上に横になって目を閉じる我が妹は今にも眠りに落ちてしまいそうなか細い声を出した。 まったく、世話のやける妹だ。
「兄さん、悪いが毛布をもってきてくれないか?」
「はぁ?なんでだよ」
「名がこっちで寝てしまいそうなんだ」
「お前名に甘すぎなんだよ。無理矢理叩き起こしてベッド連れて行け。…ったくしょうがねぇな」
俺の兄であるギルベルトは口先では厳しい事を言いながらも素早く自室から毛布を運び名の体の上に掛けた。 なんだかんだ言って兄貴も名には甘いと思うんだが…
俺の足元に纏わりつくアスターとブラッキーとベルリッツが今度は名の眠っているソファーへと近づいた。 名の顔を舐めたり鼻で突付いたりしている姿はなんとも微笑ましいが当の本人は寝苦しそうに顔をしかめている。
「ベルリッツ、名が風邪をひかないように温めてやってくれ」
名の上に掛かっている毛布を持ち上げて尻尾を振っているベルリッツに顎で指示をすると、言葉が通じたかのように眠っている名の脇に潜り込んで丸くなった。
「あー。微笑ましすぎるぜー…」
「頬が緩みきっているぞ兄さん」
「お前もな」
自分が妹に甘い事ぐらいよく分かっている。
たった一人の妹なんだ。少しぐらい過保護になっても罰はあたらないだろう。
芋弟の至福
(さて、名が起きるまでにクーヘンでも作っておくか)
2009.9.8
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