「どうしても、伝えたい事があるんです」
港は多くの人だかりができており、別れを悲しむ家族や恋人達の姿が目立っております。 着物の裾をぎゅう、と握り締めてアーサーさんの顔を見ました。いけません、とても目が合わせられそうにないのです。 でも、お伝えしなくては。お伝えしなくては。
「アーサーさん、名はずっと…貴方様の事をお慕いしておりました」
捻りだすように喉から出た言葉は彼に届いたのでしょうか
ただ、過ぎ去ってゆくイギリスの景色の中でアーサー様の声が風に乗って聞こえたよう、な気がするのです
「絶対に、絶対に迎えに行くからな!!」
嗚呼、なんて貴方は憎いお人なのでしょうか。
最後の言葉
(いっそのこと、忘れてしまいたかった)
2009.4.13
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