時刻は夜中の3時を過ぎた頃。
煩く鳴り響いている、何かを叩きつける音に眼が覚めた。


「ったく、こんな時間に来客かいな」



悪態をつきながらも恐る恐る玄関の扉を開く



「ボンソワール、名ちゃん」

「うげ…フランシス」

「うげって何だよ傷つくなー。はいこれ、お土産」

「うお!?」


ずしり

いきなり放り投げられたそれによって体がよろめいたが、倒れないように必死に堪えた。


「はぁー…ったく」

「ギルと三人で飲んでてたらこいついきなり泣き出してさ。名が最近口きいてくれへーんとか名が俺を汚いものを見るような目で見るんやー!!って泣き叫んでたぞ」

「ふーん…」

「相当寄酔ってるから、これ」


ふにゃ〜とだらしの無い声で鳴いているトニーは意識があるのか無いのか、体をすり合わせてくる。


「たまには兄ちゃんの事も構ってやれよー?」

「こんな馬鹿兄貴相手する暇なんてないんですー私には」

「それにその喋り方。なんでお前スペイン語で話さないんだ?」

「女の子にはそういうお年頃があるの。フランスもセーシェルの面倒みてたなら分かるんじゃない?」

「あー…あいつは特別アレだったからなー」


どこか嬉しそうに眉を寄せたフランシスは私の頭をポンポンと撫でて「じゃあお休み可愛いベーベちゃん」と、頬にキスをして帰って行った。

ちくしょう、かっこいいな。


「名〜」


それに比べてこの馬鹿兄貴は。

ほんと、世話がやける奴だ



「あんま世話やかせんなや、馬鹿兄貴」



よだれを垂らしているアホ面に、そっとキスを落とした。

こんなのでも私の実のお兄ちゃん。
貧乏でもトマト馬鹿でも、大事なお兄ちゃんなんだ。



「次からは…ちょっとは優しくなれるとええなぁ」


そう呟いてもう一度キスを落とすと、締りの無い顔で笑っていた。



「お休み、お兄ちゃん」



El mayor hermano



(ん〜…なんや頭痛いわぁ…)
(昨日あんだけ飲んで帰って来れば当たり前や。さっさとシャワー浴びてアルコール抜いてき〜)
(うひょおお!!名、今スペイン語で…!!!)
(うっさいわアホ兄貴!!)









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気がつけばスペイン妹設定が多いような気がしてきました(^p^)


2009.5.13





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