「オッパイなんだぜぇえええええ!!!」

「っ!?」


某国会議場。
今日も今日とて兄さんの会議についてきた私、名。

白熱した会議も休憩の時間に差し掛かったらしく、兄さんに差し入れをするべく近くの自動販売機に飲み物を買いに来た。

小銭を入れてミネラルウォーターのボタンを押そうとした、その時だった…



「で、でかいオッパイなんだぜ!!マンセェエエエ!!」

「な、っ………!!」


胸の上にある双方の膨らみを覆うように鷲掴みにした二本の腕
もみもみと効果音をつけるかのように指先を器用に動かし、その柔らかい感触を味わっている。

一瞬何が起こっているのか理解できず、数秒間硬直した後に頭がフル回転で追いつきはじめる。
ああ、私は胸を揉まれているのか。


「やめろ韓国…!!」

「お前が怒っても怖くなんかないんだぜ!」

「い、いいからその手を離せ!」


実力行使で腕を振り払えば「アイゴォオオオ!」と奇妙な鳴き声を上げる韓国。


「酷いんだぜ!もっと揉ませろなんだぜ!」

「嫌だ…!どうしてお前はいつもいつも私の胸を揉みたがるんだ…!?」

「名のオッパイの起源は俺なんだぜ?」

「意味がわからん」

「チョリーッス。っていうかこんなとこで何してるんの的な感じなんすけど」

「香港…。か、韓国が…また私の胸…」

「はぁ?胸?お前何してるわけ?ありえねーって」

「香港は口出すんじゃないんだぜ!」


ウーロン茶が入ったペットボトルを片手にひょっこり現れた香港に助けを求めれば呆れたような視線を送られた。
私は全く悪くないんだが…。


「つーか名は俺のダチ的な感じなんすけど。勝手にそういう事されっと困るっつーか」

「ううう…生意気なんだぜお前…!兄貴に可愛がられてるからって…!」

「別に俺先生に可愛がられた覚えないし?っていうかお前さっき他の国に呼ばれてなかった的な?早く行っとかねーとやばくね?」

「そ、そういえばそうだったんだぜアイゴォオオオ!!!名!今度はちゃんとオッパイ触らせるんだぜぇえええ!」


手をぶんぶんと振りながら猛ダッシュで走って行く韓国に、まるで嵐が過ぎ去ったようだとホッとため息をついた。


「ありがとう、香港」

「べつにアンタのためじゃねーし」

「そう、なのか…?ならいったい誰の為…」

「あ、待った今の無し。自分の為にお前助けるとかどっかの変態眉毛と同じで嫌なんすけど」

「…香港は難しい事を言うな…たまに理解できなくなる」

「はぁ…アンタと関わってるとすんげぇ疲れる的な感じなんすけど…」

「ど、どうしてなんだ…?私が悪い事でもしてるのか…!?」

「べっつに」



お前の為じゃなくて、お前の為



(あ、ミネラルウォーターのボタン押すの忘れてた)
―ピッ
(…悪ぃ、手が滑って押しちゃった的な)
(香港…今のはわざとだろう……)
(ちげーし)
(ねえ香港)
(なに)
(この出てきた”おしるこ”って…何なんだろう…?)
(………はぁー……)



2010.9.25





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