パードン?と耳に手を当てて聞き返す素振りをするとバイルシュミット君はこめかみに青筋を立てた。
おいおいおいおい、こいつは今私になんと言った?
高校の入学式、新しい教室で恒例の自己紹介。
「この中で宇宙人未来人超能力者がいたら私の所に来なさい!以上」なんて爆弾発言をする美少女なんて居るはずもなく「○中出身でぇ〜好きなものは甘いものとピンクとペットのチワワのミルクちゃんですぅ〜」としなりをきかせる斜め前の女子生徒に殺意が芽生えたりしたわけなのだが。
って、違う違う。そんな入学式も終わって興奮と期待を隠し切れない生徒が集まる放課後の教室で私は会話を交わして30秒しかたたない少年に告白をされた。
ん?ってゆーか会うのも初めてだよね?


「えーっと…ごめんなさい…」

「って、断るのかよ!?」

「えぇええ!?断っちゃいけないの!?」

「俺様が告白してやってんだぜ!!光栄だと思って素直に頷けばいいんだよ!!」

「でも私貴方のこと知らないし…」

「お前が俺を知らなくても俺はお前を知ってんだよ!」


わけがわからない。今までどこかでお会いしました?残念ながら鈍い私の脳内では貴方という存在を認識した覚えがありません。ってゆーかこんな目立つ男の子一目見たら忘れないと思うんだけど。


「ニ年前、商店街で小学生ぐらいの少年を助けた事なかったか?」

「あぁー…確か部活帰りに迷子になってる子が居て助けてあげたような…」

「それ、俺の弟」

「マジですか」

「一言礼を言っておきたかったけど名前も聞いてなかったみたいだし。それから色々調べたんだ。そしたら惚れてた」

「え、なにそのとんとん拍子!!軽っ!!すんげー軽っ!!」

「とにかく俺と付き合えよ!!」

「だからお断りします!!」

「なんでだよ!?」

「なんで承諾すると思ってんの!?」

「いいから付ーきー合ーえぇえええ!!!」

「いーやーだぁああああ!!!」

「なぁお二人さん。付き合っても付き合わんでもどっちでもええんやけどな、ここ教室やで?」

「「あ…」」


辺りを見回すと教室中の視線が私達に集まっていた。廊下には隣のクラスからの見物人がぞろぞろと群れをなしている。
あ、終わった。入学一日目にして私の高校生活終わったな、これ。

この赤目の少年と共に『変な子』のレッテルを貼られた私のそれからの学園生活は、高笑いする彼に追いかけ回される日々の連続であった。








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