「デンさん、先日はご迷惑をお掛けしてすみませんでした」

「んー?あぁ、ノルがいねがったらそのまま俺ん家連れ込んでたんだけどなぁ〜」

「(ノルさん、心の底からありがとう!!)」


私を守ってくれたであろうもう一人の上司に心からお礼を継げる。
後でちゃんとお礼を言っておかないとなぁ…


「そういやおめぇ、あの弟と同居してんだっぺ?」


あ、そういやデンさん達には弟って事にしてたのか。
まぁ一応弟って事にしておいた方がいいよね…


「してますよー。働かないプー太郎ですけど」

「ほーん」


興味があるのか無いのかよくわからない返事をしたデンさんに「それじゃあ失礼します」と頭を下げて自分の席へと戻る。


「名前さん、今日のお昼どうします?たまには外に食べに行くのもいいと思いませんか〜?」

「いいねぇ。ティノ君どこかいいお店知ってるの?」

「はい!とっても美味しい中華料理のお店見つけたんです!エビチリも良かったしチャーハンも!…あ、それからビーフンも美味しかったんですよ〜」

「うわー!行こう行こう!なんだかティノ君の話聞いたら中華な気分になってきた!」

「はい!スーさんも大丈夫ですか?」

「ん。問題ね」

「良かった〜!それじゃあお昼は中華で決まりですね!」

「うん!」


中華か〜。最近食べてなかったからなぁ
つい食べ過ぎちゃうんだよねー中華って。
ふふふ、楽しみだなぁ


―――



「このお店です!」

「わぁー、本格的!」

「美味しいのにお手頃な値段ですっごく良いお店なんですよ!さぁ、入りましょう」


なんだかティノ君嬉しそうだなぁ
お店の中に入ると多くのサラリーマンやOLの姿が見られた。
大繁盛だなぁ…


「お待たせしました、なんだぜ!」

「あ、3名でお願いします!」

「かりこまりました!あっちの席に座ってくださいなんだぜ!」


ななな、なんだろうこの店員さん…
見た感じまだ高校生ぐらいのような…
ちらりと見てみると、バッチリ目が合ってしまった。
なんだか気まずくて、ヘラリと笑うと満面の笑みを返される。


「こちらがランチのメニューになります」

「えーっと、私から揚げとチャーハンのセットで」

「じゃあ僕はエビチリセットお願いします。スーさんはどうします?」

「ティノと同じでえぇ」

「あ、じゃあエビチリセット二つで」

「畏まりました」


可愛らしいウエイトレスの女の子と目が合い、にっこり微笑まれる。
なんだかここの人たちとよく目が合うなぁ…


「湾ー!!エビチリあがったアルよー!」

「はいはい今行きますー!」

「兄貴兄貴!!聞いて欲しいんだぜ!今入ってきたお客が、」

「喋ってる暇あったらこっち手伝えある!ただでさえ人手が足りないの分かれあるよ!」


わぁ、急がしそうだなぁ…。
調理場にいる人もそうだけど、なんとなく皆日本人じゃなさそうだよね…?
中華料理屋だし中国の人たちなのかなー


「お待たせしました。エビチリセットとから揚げとチャーハンセットになりまーす。熱いのでお気をつけてお召し上がりくださいね」

「わー、美味しそう!」

「ですね!じゃあさっそくいただきまーす!」

「んー!!美味しい!!」


このチャーハンの米の一粒一粒がパラパラしてて…!!美味しい〜!!
家でやるとこんな風にならないんだよねー。
から揚げもジューシーでカラッと揚がっていてすっごく美味しい!!


「あ、スーさんエビチリ一個ちょうだーい!」

「ん。何個でも食え」

「わーい!じゃあ私のチャーハンと交換ね!」

「あ、僕も名前さんのチャーハン食べたいです!」

「いいよー」


うん、やっぱりこうやって外で食べるのもいいよね〜!
いいお店紹介してもらったし、今度ギルと一緒に晩御飯でも食べに来ようかなー!



―――



「てなわけでね、すっごく美味しい中華料理のお店に出会えちゃったってわけなのよ」

「自分だけリッチに中華かよ!!俺なんて昨日の残り物だったのに…」

「まぁまぁ。また今度連れてってあげるからさ!調理してる人なんか本場の中国人だよ!!」

「なんで中国人って分かったんだよ」

「だって語尾に”アル”ってついてたし」

「そいつ本当に中国人か!?アニメ以外でアルつける中国人見たことねーぜ!!エセだエセ!!」

「そうかなぁ。まぁ料理が美味しけりゃなんでもいいじゃん」


食後のデザート用に買っておいたプリンを冷蔵庫から取り出し、食べ歩きながらギルの隣へ座る。


「お前だけずりーぞ!」

「これは自分へのご褒美です。ギルには昨日本沢山買ってあげたんだからいいでしょー」

「それとこれとは別だ。俺にもよこせよプリン」

「しょうがないな…。はい、あーんして」

「う…」

「何、いらないの?」

「い、いるに決まってんだろ!」


ほんのり頬をピンクにしたギル。
差し出したスプーンをパクリと咥え、「まぁまぁの味だぜー!」と喜んでいた。
その後も「あ」と口を開けて何度か催促をしてきたので、食べさせてやるとやけに上機嫌になっていた。
私はヒナに餌やるお母さんみたいな気分なんだけどなー

まぁ、可愛いからいいか。


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