「ギルさぁ…いくら卵焼きが作れるようになったのが嬉しいからって毎日作るのはどうかと思うよ…。もう少し他の料理も覚えてほしいんだけど」


六つに切り分けられた卵焼きの最後の一つを口に入れた名前は口をもごもごさせながらポツリと呟いた。


「別にいいじゃねーか。卵焼き最高!」

「いや、最高なのは分かるけどね?できればオムレツとかオムライスとかスクランブルエッグとか、卵料理は何も卵焼きだけじゃないんだからさ」

「ワンパターンすぎて飽きるんだよ、これ」

「うるせぇ味オンチのお前にだけは言われたくねーよ!!」

「んだと!!知ってたか〜ワンパターンな男は嫌われるんだぜ!!これだから分かってない奴は嫌なんだよ!」

「喧嘩すんな。二人とも追い出すよ」


何故だ。出て行くのはこの部外者だけだろーが!!
ってゆーか俺そんなにワンパターンか…?
た、確かに料理は簡単なのしか作れねーけど!!
こ、この眉毛よりはまし…だよな?


「ふぅーお腹いっぱい。私明日早いからもうお風呂入ってきちゃうねー。後片付けよろしく」

「あぁ」

「また喧嘩しないでよ?喧嘩したら今度お前らの靴の中に納豆敷き詰めてやっからな」

「質悪いんだよ!」

「それじゃあアーサーの部屋にシュールストレンミングを放り投げようか?スーさんの実家からよく送られてくるみたいだから分けてもらうよ」

「ごめんなさい納豆でお願いします」


背を90度にまげて頭を下げたアーサーを鼻で笑う。ざまーみやがれバーカバーカ!!
しかし喧嘩してちゃ俺まで靴の中に納豆敷き詰められるよな…仕方ないから大人しくゲームでもしておくぜ


「おい、後片付け手伝えよ!」

「お前がやれ。俺様の玉子焼き食っただろーが」

「あぁん?テメェ調子に乗ってるとマジでフルボッコにすんぞ」

「やれるもんならやってみろよ!!このギルベルト様に敵うはずもないけどな!!」

「よーし覚悟しろ。苦しまないようにあっちの世界へ送り込んでやるぜ!!!」

「望むところだ…って、あ…納豆…」


喧嘩してる事あバレたら靴に納豆が…!!
奴もそれを思い出したのか、小さく唸って大人しく食器の片づけを始めた。


「そういえばお前って名前の居ない間家事とかやってるんだよな?」

「やってんぜー掃除とか洗濯とか強制的に」

「せっ、洗濯ってお前まさか…!!あ、あいつの下着やらなんやらも一緒に洗ってんのかよ!?」

「目血走らせんなよ!!今まで見た事ねーし自分でやってんじゃねぇ?そもそもあいつの下着なんて誰が…」


いや、あってもいいんだけどな!!
まままま、まぁどうせあいつの下着なんて色気のねーやつに決まって…


「そ、そうか…。べ、別に俺はあいつの下着がどんなのだとか聞きたいわけじゃないんだからな!勘違いするなよ!」

「そうだったらお前相当の変態だろ」

「ば、ばかぁ!」


まぁいちいち言わなくたってこいつが変態な事なんて随分前から知ってんだけどな。
ケーブルをテレビに繋げてスイッチを入れると何度見ても関心してしまうよなオープニングに見入る。
やっぱりスゲェ…


「お前って家に居る間ずっとゲームしてんのか?」

「漫画読んだりDVD見たりしてるぜ」

「完璧に引きこもりじゃねーかよ…。ちっとは外に出たほうがいいんじゃないのか?」

「外ってどこにだよ」

「友達の家とか…」

「友達…」

「ぶふっまさかお前友達いねーのか?寂しい奴だな」

「そういうお前はどうなんだよ!!」

「お、俺は…だな。うん、俺は名前が居ればそれでいいと思うぞ…うん」


コイツも友達いねーのか…
ま、まぁ俺は本田やフランシスも居るし!?
それに一人楽しすぎるから友達なんて居なくてもかまわないぜー!!あははは…ハハ…


「お風呂上がったよー。って、何沈んでんの二人とも」

「「いや、何も…」」


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