『美味しいイタリア料理の店見つけたんだけど今から行かないか?もちろん今回は俺が奢ってやるよ。あ、金とか心配しなくていいからな!!爺ちゃんの遺産があるから遊んでくらせ…って、何すんだよフェリシアーノ!!!』
『ヴェ〜!!!もしもし名前?俺だよ〜フェリシアーノだよ!!今から一緒においしいジェラート食べに行こうよー!その後は公園で散歩したり昼寝したりさ!ともかく俺すっごく名前に会いたいんだ〜!!って、うわっ!!兄ちゃん押さないで!!ちょっ、うひゃぁああああ!!!』


携帯の向こうからロヴィーノ君とフェリ君が床に転んだと思われる鈍い音が響いた。
あ、相変わらずだなーこの子達…


『何をやっているんだお前ら!!』
『ヴぇ〜助けてぇええ!!』
『早くどけよフェリシアーノ!!電話が!!電話が吹っ飛んじまったじゃねーか!!』
『うヴぇええ!!』


うん、どんな状況かはだいたい予想つくよね。
どうしよう、後でかけなおした方がいいのかな…


『もしもし』

「あ。もしもし…って、あれ?」


電話に出たのはロヴィーノ君でもフェリ君でもないお腹の底に響くような低い声。
誰だろう…


『申し訳ない。今少し立て込んでいて…後でかけなおさせてもいいだろうか?』

「あ、かまいませんよ。それじゃあ頑張ってください」

『あ、あぁ…』


うーん。もしかして二人のお父さんか何かかな?しっかりしてそうだったしきっとそうだよねー


「何やってんだ?」

「んー?年下の彼から電話だよー」

「って、またあの眉毛の弟か!?それともアイスか!?」

「いや、ヘタレの方」

「ヘタレ…?」


ジャンプから顔を上げて頭の上に?マークを浮かべるギル。
ふふふと笑ってやると「なんだよ気持ち悪い…あぁ、元からか」と言われたので脳天に肘鉄をくらわせてやった。
なんだか最近こういうの板に付いてきたなぁ私…


「あいててて…。ちくしょう…暴力女」

「今晩のビール抜きね」

「そ、それだけは!!謝りますから俺の楽しみを奪わないでくれ…!!」

「ビールが楽しみって…オッサンかお前は」

「うるせー!」

「んだとコラ。そんな事を言うのはこの口か」

「いでぇええ!!ひっひゃるな!!」


うぎぎぎと鳴くギルの頬を放してソファに腰を下ろす。
うーん、なんだか暇だなぁ〜
アーサーはアルフレッド君とマシュー君の家に行ってくるって言ってたし本田さんは声優のイベントに行っちゃったし。


「珍しく暇そうだな」

「うん。ギルでも苛めて暇を潰そうかなぁ」

「ちょっ冗談だよな?冗談だよな!?」

「ガハハハお前を食ってやろうか〜」

「何キャラだよ!?髪引っ張んな!!」

「禿げろ〜禿げろ〜」

「禿げるか!!」


やっぱりギルで遊ぶのって楽しいなぁ〜
最近家でごろごろする事少なかったからこんな日もいいかもしれない。
ギルの髪を弄りながらギルの読んでいる雑誌をなんとなく読んでいると、案外面白くって笑ってしまった。


「面白いだろ!!これはこの間連載が始まった漫画で…」

「あー語られても分かんないから。てか最近ますますオタクに磨きをかけたねーギル…。また夜中にエロゲやってないだろうな」

「ししししてねーよ!!」

「まぁAV見られるよりいいか。たまに夜中隣の部屋からなにやらいかがわしい声が聞こえてくるんだよね。”ああんもっとぉ”とか”らめぇ〜”とか」

「それって隣の眉毛野郎…」

「聞こえないと思ってるみたいだけどまる聞こえなんだよね。なにが悲しくて隣人のアッチ事情を知らなきゃなんないんだろ」

「ふ、不憫だな…」

「私がだよね?」

「いや、アーサーが」


何だよちくしょう。言い返してやろうと口を開くと、私の言葉が出る前に机の上においてあった携帯のメロディーが鳴った。


「あ、ロヴィーノ君だ。もしもし?」

『俺だ。さっきは悪かったな…』

「いいよー。もう大丈夫?」

『あれは馬鹿弟のせいだぞコノヤロー!!今はムキムキ野郎と外に出たから大丈夫だ』

「そっかぁ。あんまり喧嘩しちゃダメだよ?」

『子ども扱いすんな!!それより今から一緒に食事に行かないか?どうせ暇してんだろ』


見透かされている…
うーん、暇ちゃあ暇なんだけどなぁ
視線をギルの方へ持っていくと目が合った。
慌てて読んでいる雑誌で顔を隠したギルを見て自然と笑みがこぼれる


「ごめんね、今日はやめておくよ」

『マジかよ!?用でもあんのかよチクショー…』

「うん。家の子が構ってほしそうにしてるからねー。今日は一日家に居ることにするよ」

『家の子…?まぁ仕方がねーな。でも今度絶対に一緒に行くからな!!予定空けておけよ!!』

「はいはーい。それじゃあね」

『チャオ』


ケータイを閉じて再び机の上に置く。
さっきと同じようにソファーに座ると、顔半分が雑誌に隠れたギルがチラチラとこちらを見ているのが分かった。


「ど、どこか行くのかよ」

「行かないよー。今日は一日ギルとのんびりしようかなって」

「なっ…!!ま、まぁお前が構ってほしいんならしょうがなく相手してやるけどな!!俺様スゲー優しい!!!」

「出たよ自意識過剰。やっぱ出かけようかなー」

「馬鹿!!家に居るって決めたんなら居ろよ!!あ、あれだ、一緒にゲームするか?」

「うーん…そうだね。たまにはいいかも」

「よし、準備するから待ってろよ!」


なんとも嬉しそうに笑ってゲームの準備を始めたギル。
うん、やっぱりこんな日も悪くない。

その後ゲームに没頭してしまった私とギルは時間がたつことも忘れて夢中になってしまった。
なかなかギルに勝てないのが悔しくて何度も挑戦しいれば気がつくと時刻は夜中を指している。
うわ、明日はローデリヒさんのコンサートなのに…!!ちゃんと起きられるかなぁ…
さっさとギルに勝って寝る事にしよう
それにしてもこいつ、負けん気強いなぁ…。少しは私に勝たせようという気はないのか!!



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