「名前。今度の日曜私とデートしない?」

「デートって…」

「ふふふ。お買い物よ、お買い物!久しぶりに平日以外のお休みいただけたんですもの!名前と一緒に買い物に行ったりどこかでたくさんお喋りしたいわ!」

「今日は金曜だからー…明後日だよね予定は入ってないし大丈夫!!それじゃあ日曜は二人でデートだね!!」

「やったぁあ!!名前大好きよーーー!!」

「ぐふっ!!」


エリザのビッグサイズの胸が顔面直撃…痛くないけど息ができな…!!


「何をやっているのです、おばか…」

「ぷはっ!ローデさん…?」


肩を掴まれ後ろへ引かれる。
エリザの胸から解放され、上を見上げるといつものように呆れた顔をしているローデリヒさんが私を見下ろしていた。


「ありがとうございますローデリヒさーん」

「本当にお馬鹿ですねあなた達は…。エリザもやるなら苦しまないようにして差し上げなさい」

「はい。今度は気をつけるわね、名前!」


うん、まぁエリザだからいいけど。


「ごほん。名前。手をお出しなさい」

「え?なんですか、飴でもくれるんですか?」

「あげませんよ。いいからお出しなさい!」

「はーい」


そっと手を出すと、ローデリヒさんは私の手の上に分厚く、折り目の一つもない一枚の紙を置いた。
ん…?


「これって…パンフレット?」

「えぇ。来月の5月10日にピアノのコンサートがあるのです」

「も、もしかしてローデリヒさんの!?」

「お馬鹿。私はゲスト演奏をするだけでピアニストは勿論プロの方ですよ」

「ろ、ローデリヒさんプロのコンサートのゲスト演奏するんですか!?」

「ほんとに凄いわよねぇ」


あまり詳しくないけど、プロのコンサートのゲストってすっごく有名なバイオリニストが来たり外国の有名なソリストが来たりするんだよね…?


「す、すごいローデリヒさん!!それってプロの方の目に留まったって事じゃないですか!」

「騒ぐほどの事ではないですよ。ちょうどゲストが決まっていなかったので知り合いの方が私を推薦してくださったのです」

「すごーい!絶対行きますね!!」

「えぇ。S席のチケット料金は分かっていますね?」

「それは遠まわしにS席に座れって事ですかぁあああ!!」

「当たり前です。私の勇姿を間近で見たくないのですか貴方は!!」

「私はもうS席のチケット買っちゃったの!この間フランシスさんが来てくれたからあの人にも無理矢理S席買わせたのよ。ふふふ」


ふふふって…。
それって脅しじゃないですかエリザさん…


「是非仲のいい友人も連れてきてくださいね」

「分かりました。アーサーと本田さんと…誘えば結構皆来てくれそうだなぁー」

「貴方のペットも連れてくるなら煩くしないようにきちんと躾しておくのですよ!」

「ペットって…」


ペット扱いされてんぞーギル。
不憫な…。

それにしてもコンサートなんて久しぶりだなぁ〜。随分前にアーサーが「か、会社の上司にチケット二枚貰ったから…。べ、別にお前と行きたいとかそんなんじゃないからな!!捨てるのももったいししょうがなくだからな!!」って、顔を真っ赤にして誘ってくれたんだっけ。
確かあの時は途中で寝ちゃってたんだよなー。起きたらアーサーが何故か泣きそうな顔をして落ち込んでいた。
今思えばあれってアーサーに失礼だったような…。

とにかく今回は寝るだなんて事はないようにしなきゃね!!


―――



「アーサー。来月の10日って予定入れちゃってる?」

「ん?特に来月は予定もないな」

「良かった!あのね、エリザのお店でピアノ弾いてるローデリヒさんって覚えてるよね?あの人が今度プロのコンサートにゲストとして演奏するんだって!!」

「へぇ。相当上手かったもんな、あのピアノ」

「でしょ?それでね、私もコンサートに行くから一緒に行かないかなぁ〜、なんて…」

「そ、それって…」

「うん、リベンジ!」

「ま、まぁお前がそこまで言うなら一緒に言ってやらない事もないぜ…うん」

「良かったー。あとは本田さんやアルフレッド君とマシュー君も誘ってみないとね」

「え…?」

「それじゃあチケットの事なんかはまた追って連絡するね!エリザのとこに行ってパンフレット貰ってくるよ〜!」


よし、これでアーサーはオッケー。本田さんは…締め切りが大丈夫なら来てくれるよね。ふふふ、本当に楽しみだなぁ〜。
ギルも一緒に行ってくれるよね…?
めんどくさいって言われそうだけど、なんだかんだ言って一緒に来てくれるはずだ。
トニーさんも誘わないとなぁ〜!


「ふふふー。楽しみ〜」

「何笑ってんだよ気持ち悪い」

「気持ち悪いってなんだよ。ビール抜きにするよ?」

「やれるもんならやってみろバー「じゃあ今すぐ家にあるビール流しちゃうね」あああ嘘うそぉおおお!!素敵な名前さんそれだけはやめてぇええ!!俺の生きがいを奪わないでください!!」

「ビールが生き甲斐ってあんた…」


ちょっと可愛そうに思っちゃったよ…。
仕方がないので手に持ったビールをギルに差し出してあげると、少し驚いたような顔をして受け取った。
いつも以上にビールを飲んでいるギル。まぁ悪酔いしないからいいんだけどね〜。

うーん…私ってギルに甘い所あるよなぁ…
せめて明日からビールは3本までにさせよう。ギルの健康の為にも、経済面の為にも。


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