「それじゃあギル。本田さんとサディクさんとヘラクレスさんによろしく言っておいてね」 「わーった」 「忘れないでよ?本田さんはともかくサディクさんとヘラクレスさんのお土産は食べ物なんだから」 「へいへい」 本当に分かってんのかなこいつ… トニーさんとフランシスさんには今日の夕方、エリザの店に来てもらえるように約束したしあの二人のお土産は渡せるよね。 エリザとローデリヒさんもその時に渡せるし…あとはイヴァンかぁ。ついでに来てくれると嬉しいけど急だし無理だよねー… 一応メールで聞いておこうか 「それじゃあ行ってきまーす。帰りはちょっと遅くなるかもしれないから待っててね。あとお風呂の掃除と洗濯忘れないでねー」 「人使い荒いなまったく…」 「もう一度蹴り上げてほしい…?」 「俺にお任せくださいお嬢様ぁあああ!!」 「うむ。よろしい」 青ざめて敬礼をするギルに見送ってもらい出勤する。 うん、なかなか悪くないな ――― 「名前ちゃーん!ここやで〜」 「こんばんわートニーさんにフランシスさん。忙しいのに呼び出しちゃってごめんね?」 「ええんよー名前ちゃんの為ならどこへでもかけつけるで!!」 「俺だって地の果てまで追いかけちゃうよ〜。捕まえてあんな事やこんな事…あぁごめんなさいそんな目で睨まないで!!!」 フランシスさんを汚い物を見る目で睨みをきかし、ひとまずエリザにコーヒーを注文して席に座った。 「はいこれ!京都のお土産」 「えぇー名前ちゃん京都行ってたん!?」 「あれ、言ってなかったっけ?社員旅行でねー」 「初耳やわー。あれ?ってことはギルも…」 「無理矢理家族って事にして連れて行ったよ。置いていくのは心配だったしねー」 「なんやてぇえええ!?ちゅーことは一緒に観光したり一緒にご飯食べたり一緒に風呂入ったり一緒に寝たりしてランデブーかぁあああ!?」 「うん、落ち着こうかトニーさん。別にお風呂はありえないけどその他はいつもと変わらないしね」 「そう言われてみればそうやなぁ」 「いや、お前引くの早すぎんだろ」 二人にお土産を渡すと嬉しそうに喜んでくれた。 「あら。また来てたのですかあなた達」 「こんばんわーローデリヒさん」 「ローデリヒ〜。元気してたかー?」 「相変わらずのん気な方の集まりですね…」 「うわー。こいつやぱり気に食わないなぁ。顔は好みだけど」 「好みってフランシスさん…冗談はやめてくださいよ」 「なに言ってんだい名前ちゃん。お兄さんは美しいものなら性別も種族も関係ないよ!」 「え…」 って事はアレですか、男の方も美味しくいただけるということでありまして… 「な、何素敵な話をしてるんですかぁああああ!!!!ハァハァ!!」 「エリザー!?いつの間に来てたの!?」 「ちょっと美味しい匂いを嗅ぎつけたのよ。皆で何の話をしてるの?」 「お兄さんは美しいものならなんでも美味しくいただけちゃうって話だよーエリザちゃん」 「そやさけ名前ちゃんもエリザちゃんも気をつけなあかんでー!!」 「私よかローデリヒさんの方が…」 「はい?何の話ですか?」 「あんた今の話聞いてなかったのー!?」 「バッハについて考え事をしていて聞いていませんでしたよ。どうでもいい事は耳に入ってこないものでしてね」 「なーんて都合のいい耳…!!」 「ふふふ。そこも素敵よね?」 「いや、同意を求められても…」 そうだ、エリザとローデリヒさんにもお土産渡さないとね!! 「はい二人とも!!これこの間の社員旅行のお土産です」 「あら、京都ですか?」 「はい!!エリザには手鏡だよー!!」 「素敵〜!!ちょうどこれぐらいのサイズのが欲しかったのよー!!これシンプルだけどすっごく可愛いわ!!ありがとう名前!!」 「えへへー。色はピンクと緑があってね。どっちにするか迷ったんだけどギルがエリザは緑が似合うぜーとか言ってたから」 「あら。あいつに選ばれたかと思うと腹が立つけど名前が買ってくれたものね!!本当にありがとう名前っ!!」 「ちょっ!!くるしっ!!ギブギブ!!」 歓喜余って私を抱きしめるエリザ。 だけど特盛りサイズのお胸に締め付けられて苦しいんだけどぉおお!! 「ええなーああいうの。俺も混ざりたいわー」 「今この瞬間だけ女になれたらなぁー…」 「このお馬鹿さん達が!!エリザベータ。名前が苦しがっているからおやめなさい」 「あ、ごめんなさいね名前!つい」 「う、うふふ。だ、大丈夫…」 胸って大きすぎると武器になるんだね。 初めて知ったよ。 「で、こっちがローデリヒさんのお土産なんだけど…」 「なんですかこれは」 「こ、コケシ?」 「お馬鹿」 ゴツン コケシで頭を叩かれた。 地味に痛いんですけど…!! 「何故コケシなのですか!!理由を30文字以内で応えなさい!!」 「ギルが選んだんですよしょうがないじゃないですかーもう!!!お菓子もありますから許してください!!」 「ったく貴方という人は…ペットに惑わされてどうするのです!!お馬鹿!!」 今度はコケシで頬をぐりぐりされた。 ほんと、私にこんな事できるのこの人ぐらいだよ…なーんか敵わないんだよなぁ… 「それにしてもギルベルトの奴…名前と旅行なんて許せないわね」 「ほんまなぁ。もういっぺんヤキ入れたぁなるわぁ」 「おっいいねー。またアーサー交えてやっちゃう?」 「ちょっ、やめてくださいよ!?」 「いいじゃないちょっとぐらい。じゃないと気が晴れないわ」 「そうやそうや。名前ちゃんには迷惑かけんさかい!」 「ダメです。ギルを虐めていいのは私だけですから」 「うわーでたよ名前ちゃんのドS。うーん、お兄さんゾクゾクしちゃう!」 「気持ち悪いんだよ髭」 「名前。お口が悪いですよ!!」 なんだかんだで四人にお土産が渡せてよかった。 ギルはちゃんと三人に渡してきてくれたかなー…。 家に帰り、夕食をすませてお風呂に入ろうとすると、携帯に着信が入った。 相手はイヴァンで、今まで仕事が入っていて携帯を確認できなくて返事が遅くなったとの謝罪の電話だった。さすが社長さんは急がしそうだなぁ〜。 お土産の話をすると、明日にでも家まで取りに来てくれるとの事らしい。 届けに行くよ?と言ったら、「ごめんね。ちょっと今僕の家お客さんがいっぱい来ててダメなんだ〜。昼間は暇だから僕の方から取りに行くね。ギルベルト君から受け取ればいいよね?」と優しい口調で言ってくれたのでお言葉に甘えた。 やっぱりイヴァンっていい人だよなぁ〜 「あ…」 そういえばイヴァンのお土産もコケシなんだよね どんな反応するかなぁ、イヴァン… ・ ←|→ |