ギルベルトを拾ってから数日がたった。
最初は他所他所しくしていた奴もこの生活に慣れたのか、今では随分リラックスしているようだ

腕の傷も少しずつ治っているみたいで安心した

平日は私も仕事があるので昼間は一人で過ごしているらしいが、なかなか一人も楽しいらしい。
冷蔵庫にあったビールの消費量が半端じゃないが、まぁ悪酔いはしないようなので今の所は放っておく事にしている


「ただいまー」

「おー」


夕方。仕事帰りに買い物をすませて帰ってくるとソファに寝転がってアニメを見ているギルベルトの姿があった

まるでオッサンだ。


「今日はカレーだよ」

「へぇ」

「甘口と辛口どっちがいい?」

「へー」


…こいつ私の話聞いてないな

腹が立つからコイツの分だけタバスコいっぱい入れてやろう
泣いても飲み物は与えてやらないんだからなーアッハッハ


―ピンポーン


ん?誰だろう


「はいはい今開けますよー」


駆け足で玄関へ向かう


「どなた…って」

「よ、よぉ…」

「アーサー。どうしたの」

「あ、いや…その。出張で北海道まで行ってたからお土産買ってきてやったんだよ…。べっ別にお前のためじゃないんだからな!!俺の為だぞ!」

「自分に何の為になるんだ…。ま、ありがとう。いつも悪いね〜」

「別に…。あ、あとこれ…」

「うぉあああ!それこの間できたケーキ屋の50個限定絶品モンブランンンン!!」

「たまたまケーキを買いに行ったら売ってたから…。お前が食いたいって言ってたの思い出したから買ってきてやったぞ」

「嬉しいな〜。あ、よかったら上がってく?紅茶淹れるよ」

「あぁ」


陽気な足取りでリビングへ向かう
ほんとアーサーは気が利く奴だな〜!!


「まぁその辺でごゆっくりしてて」

「あぁ…。なぁ名前」

「何かなアーサー君」


ものすごい剣幕でアーサーが私を睨んだ
そしてソファに寝転がっている奴を指をさして、


「誰だ、コイツは」


と低く呟く


「あぁ。拾った」

「拾ったってお前…!!お前はまたそうやってなんでもホイホイ拾ってきやがって!!しかもこれ人間じゃねーか!!」

「ですよねー。ウサギっぽいけど」

「どこがだよ!?おまっ、いつからコイツ家に入れてんだ!?」

「五日ぐらい前」


やかんを火にかけながらそう言えばアーサーの顔から血の毛が引くように青くなっていった


「お前…!!この男と…」

「何騒いでんだよ…」

「ギルベルト。この人がお隣さんのアーサー・カークランド君だよ」

「お前がお隣さん…」

「アーサー。これが私が拾った奴。名前はギルベルト」

「勝手に紹介すんな!!お前、何平然と男を家にあげてんだよ!!しかも何だよ拾ったって!!どこの誰だとかちゃんと知ってんのかお前…!!」

「なーにムキになってんのアーサー。あれだよ、ギルベルトはギルベルトでそれ以上でも以下でもない」

「阿呆か!!!」


私の頭を叩いたアーサーはギロリとギルベルトを睨んだ。
何を思ったのかギルベルトまでアーサーを睨み返す

何君たち、不良ですか?


「お前どこのどいつだよ…。勝手に名前の家にあがりやがって」

「はぁ?こいつがここに居ろつったから居てやってるだけだぜ」

「いや、だって行く場所がないとか言われちゃうと…」

「…」


アーサーは私とギルベルトを交互に見て、大きくため息をついた


「お前…こいつに変な事されないだろうな?」

「誰がするかよこんなペチャパイ女」

「うわ。腹立つ。別に何もされてないよ。こいつにはソファーで寝てもらってるし」

「そうか…」


また大きくため息をついたアーサー。


「名前。今すぐこいつを追い出せ」

「「はぁ?」」

「普通に考えておかしいだろ!?まったく知らない奴を一緒に住まわせるだなんて!!」

「そりゃそうだけど…」

「何かあってからじゃ遅いって分からないわけじゃないだろ」

「何かあれば大声出すし。そしたらアーサーが来てくれるっしょ」

「人をあてにすんな馬鹿」

「それにギルベルトはそんな事しないって。ねーギルベルト」

「俺は貧乳には全く興味ないぜ」

「だとよ。ほら、アレだよ。ドラえもんとのびたも同じ部屋で暮らしてるじゃん?あんな感じだよ」

「コイツはネコ型ロボットでも無いしましてや異性だろうが!!」

「ドラミちゃんとセワシ君だって同居してるじゃん!!」

「そういう問題じゃねぇ話がややこしくなるから止めろ!!!」

「ともかく、心配してくれるのは嬉しいけど大丈夫だから。気にかけなくてもいいから」

「気にするなって言ったて無理に決まってんだろ…」


ぎゅっと拳を握って俯いたかと思うと、悲しそうな顔で私を見た

なんだこれ、胸が苦しい感じ


「ごめん…。ギルベルトを追い出すなんてできないよ」

「名前…」

「でもそこまで私の事気にかけてくれるならたまには晩御飯でも一緒に食べようよ。もちろん私が用意するから」

「…分かった」

「よし、それじゃあこれで話は終わり!今日食べて帰るよね?カレーだけど大丈夫?」

「あぁ」

「そんじゃあできるまで待っててねー」


うん、一件落着!
でもまさかアーサーがここまで気にかけてくれるなんて思わなかったな〜
いい友達をもって私は幸せ者だよ



「おい、お前…」

「なんだよ」

「名前に何かしたら本気で殺すからな。よく肝に銘じておけ」

「心配しなくても誰があんな奴…」


「アーサー。カレー甘口がいい?それとも辛口?」

「辛口だな」

「俺は甘口」

「ギルベルトのは特別仕様だからもう決まってるよ」

「え…?」

「もう直ぐできるから楽しみにしてて〜」



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