夜の宴会ではデンさんが粋のいい声で「おつかれー!!」の音頭で乾杯をし、机に並ぶ豪華な夕食に舌鼓を打った。


「んー!!刺身新鮮!!」

「ビールうまいぜー!!」

「うわぁああ!!ギルベルトさんよく飲まれますねー」

「タダ酒だしな!」

「家でも関係なく飲みあさってんだろーが」

「いいだろ今日ぐらい」

「ったく…。あ、スーさんお酒注ごうか?」

「ん。悪いなぃ」

「いえいえー」

「おい名前!!こっち来て俺の酌しやがれー!!」

「まだ食べてるんですから後にしてくださいよ!!ったくあの上司全然懲りてないな…」

「まぁまぁ。思いっきり殴らせていただいたんですから今日は多めにみましょうよ。ね?」

「うん。ティノ君のその言葉に免じて許す」

「それにしても名前さんかっこよかったですよねー!僕すっきりしましたよ!」

「ながながいい動きしでだな」

「うん。まぁ慣れてるから」

「慣れって…もう名前さん冗談はやめてくださいよー!」

「いや、冗談じゃねーぞ。こいつ家じゃ俺の事縛ってベランダからつr「ギルベルトくーん?」え、いや…何も」


向かい側の席に座っているティノ君の顔が青ざめている。


「そそそ、そういえば名前さんのおお蔭で例のサディクさんにやっていただいた家具の件、お客さん側にも出来がいいって褒められちゃいましたよ!!」

「へぇー良かったじゃん!!またお礼しに行かなきゃねぇ。でもあんなに急だったのによくそんなものが…。やっぱりすごいなぁサディクさん!!」

「ですよね!男気があると言いますか…なんだか憧れます!」

「だよねだよね!!私もサディクさんみたいな人いいなぁーと思うんだよね!今時居ないような男らしい人というか…」

「あれ、もしかして名前さんサディクさんの事好きなんですかー?」

「ちがっ!憧れてるだけ…ってスーさんんんんん!?箸!!箸折れちゃってるよぉおお!?」

「うひゃぁあああ!!どどど、どうしたんですかスーさん顔がこわっ…!!」

「………なんでもね」

「ああもう名前さんがサディクさんの事好きとか言うからスーさんがまた怒っちゃったじゃないですかー!!」

「私のせい!?ティノ君が言ったんでしょーが!!」

「なんだよ。お前も過保護か?ったく最近こんな奴ばっかだな」

「ギル、スーさん敵に回すと痛い目見るよ」

「…すまねぇ。箸とっかえてくる」


いつもより一層凄みを増した表情のスーさんはそう呟いて宴会場を後にした。
なんか前にもこんな事があったような…


「アハハー…相変わらずですよねぇ、スーさんも…」

「うん。まぁ友達思いのいい人なんだけどね」

「そうですね。僕だってこっちには友達が多く居るわけじゃないし気持ちは分かりますよ!それに毎日一緒に居る友人ですし大事にしたいって思いますものね」

「そうだね。私もそうだよ!ティノ君とスーさんは大切な友達だしね」

「はい!嬉しいなぁ〜!スーさんにも言ってあげましょうよ!きっと喜びますよ!」

「うん!そうだね!」


いいとも友達を持って私は幸せです。

その後、酔っ払ったデンさんに無理矢理酒を何杯も飲まされ頭がクラクラとした。
調子に乗ったデンさんが私に飲ませ続けるもんだから、ブチ切れたスーさんがデンさんに喧嘩を売って殴り合いのオンパレード。
ああもう、なんでうちの会社の人たちってこんなに血の気が濃いの…!!
ふらふらとする頭を必死に抑え、ティノ君と二人で喧嘩を止めようとしない二人を必死に抑えた。
このままじゃ本気で怪我をしかねない。


「う…きもちわるっ…」

「名前さん大丈夫ですかー!?」

「うん…でもちょっと飲みすぎたみたい…。デンさんの野郎〜」

「水、いっが?」

「うんー…」


そういえばギルはどうしたんだろ…
さっきから静かな気がするけど


「って、寝てるよこいつ…」


ビール瓶を抱えて幸せそうに眠っているギル。
ちくしょう、人が大変な目に合ってるって言うのに…!!


「ギルのあほー!!」

「ぐふっ!!な、なんだよいきなり!?つか上に乗るな馬鹿!!」

「ギルさん…飲みすぎて頭痛いです、はい」

「酔ってんじゃねーか…」

「デンさんしつこすぎんだよね…。あ、かえってUNOろうぜ」

「無理だろお前!さっさと部屋帰って寝ろ!!」

「やだよUNO無しの旅行なんて旅行じゃねぇ」

「帰ったらアーサーでも呼んでやってろ!!」


アーサーはやたらとカードゲームに強いからあんまりやりたくない。
またがっているギルの上から退き、ボーっとする頭を必死に抑える。
だけどだんだん瞼が重くなって、視界もぼやけてきた。

だめだめ…このあと皆でUNOするんだから…
でも頭痛いなぁー…
でも、UNOが…



「あれ、名前さん寝ちゃいました?」

「またかよ!!こいつ酔うとすぐ寝やがるぜ!!」

「そうみたいですね。部屋まで運んであげましょうか…起こすのも可哀想ですし」

「んだな」


 
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