「イヴァーン!!」 「名前ー。久しぶりだね」 「久しぶりだねー!この間はせっかく来てくれたのに酔いつぶれて寝ちゃっててごめんね?」 「いいよ。僕も充分楽しませてもらったしね!」 「でもイヴァンからいきなり電話がかかってくるもんだからビックリしたよー。いつの間に私の電話番号調べたの?」 「君が寝てる間に携帯覗かせてもらっちゃった。ごめんね?」 「ううん!私もイヴァンと連絡先交換したかったし構わないよ」 「ほんと?怒ってない…?」 「ああもうその目止めて!!かわいすぎだよイヴァンンンンン!!!」 「ふふふー」 ちょうど仕事が終わった時間、知らない電話番号から電話がかかってきたので少し不審になりながらも電話に出た。 その相手というのはイヴァンで、「今から時間ある?君に会いたいな」との熱烈なお誘いの電話だった。 「ごめんね。大したこと無いんだけど、どうしてるかなーって思って」 「全然かまわないよ。どこかに入ってお喋りする?」 「うん。名前のオススメのお店がいいなぁ」 「だとしたらあそこしかないかな」 ――― 「いらっしゃいま…あら、名前じゃない!」 「こんにちはーエリザ。頑張ってるみたいだね」 「えぇ!あっちのテーブルが空いてるからどうぞ」 「うん。ありがとう」 私のオススメのお店と言えばエリザのとこかケーキ屋かしかないもんね。 イヴァンと同じ紅茶をエリザに注文すると、小さな声で「今日もまた素敵な人と一緒なのね」と耳打ちされた。 なんですか姐さん、そのにやけ顔は。 「名前っていつもこれぐらいの時間に帰ってるの?」 「そうだね。5時ぐらいに仕事が終わって買い物して帰るからいつもは6時半ぐらいかな」 「へぇ。じゃあ僕と初めてあった時も再会した時も仕事帰りだったんだね」 「そういう事。ね、イヴァンは何のお仕事してるの?フランシスさんが職業不詳ーとか言ってた気がするけど」 「僕は普通の仕事だよー。ちょっとした企業をやってるだけであとは他の人たちがやってくれてるんだ」 「ってーことは社長さん!?うわ、凄いなぁ〜」 「凄くなんかないよ。僕は何もしないしね。皆が僕の為に動いてくれるから成り立ってるんだよ」 「かっこいい〜!!」 「ふふふ。褒めるほどのものじゃないよー」 ただ者じゃないと思ってたけどイヴァンって凄い人なんだなぁ〜! 「ねぇ名前。ギルベルト君は元気?」 「え、ギルベルト?元気だよ。相変わらず毎日だらだらしてるけどね」 「彼ってさ、どこの国の出身なのかな?」 「ドイツだと思うよ。芋とかソーセージ好きだし」 「そっか。それじゃあ名前のとこに来る以前の事は?」 「それは知らないなぁ〜。言いたくないみたいだから聞かないことにしてるんだよね」 「知らないって…知らないで君は彼を自分の家に置いてるの?」 「うん。まあギルだし」 「おもしろいね、きみ」 「どういたしまして」 新しいおもちゃを見つけた子供のように笑ったイヴァンは半分になった紅茶の残りをぐいっと飲み干した。 「マンションまで送っていくよ」と言って店からでてみると、なんとも高そうな高級車が止まっていたのでびっくりした。 中性的な顔立ちの青年二人が運転席と助手席に乗っていたけど… あれ、この人たちどこかで見たような…。 辺りが暗くてわかりづらいや。 マンションまで送ってもらい、前の二人にも軽く会釈すると一人の青年はニコリと笑顔を返してくれたがもう一人の青年は顔を背けてしまった。 恥ずかしがり屋なんだろうか… 「ただいまーギル!!」 「遅かったじゃねーか」 「ごめんごめん。ちょっとイヴァンから連絡が来てエリザんとこでお喋りしてたらこんな時間になっちゃった」 「イヴァンって…前にここに来たおっかねー奴か」 「おっかないって、イヴァンはいい人じゃん。可愛いし純粋そうだし」 「そうか?俺には腹黒そうにしか見えなかったけどな」 「フランシスさんと同じような事言うなぁギルは。さぁ晩御飯作りましょーう!」 「あのフランシスが…?」 今日はイヴァンの笑顔のおかげで癒しをもらえたなぁ〜!! やっぱり私ってイヴァンの笑顔に弱いと思う。 なんかこう、どこか頼りなさそうなところが可愛いというか… またライヴィス君も呼んで一緒にご飯でも食べたいなぁ… その時はさっきの二人も来てくれると嬉しいけど。やっぱりどこかで見たことある気がするんだよなぁ、あの二人 「おい、あんまりあのイヴァンって奴に近づくな!ろくな事なさそーだぜ」 「なにそれツンデレ?お隣にツンデレキングが居るんだからもう間に合ってますよー」 「ちげーっつの!!ああもうなんでお前はそういつも鈍感なんだよ!?」 「知るか。ほら、ポテトサラダ作るからジャガイモふかしてー」 「…チッ」 「今舌打ちした…?」 「してません」 「なら、早くやれ。芋」 「へいへい」 「ったく、可愛くない返事」 . ←|→ |