「皆豆持ちましたかー?」

「用意OKなんだぞ!」

「っていうかなんでアルフレッドがここに居るんだよ!?」

「やだなぁ。それはこっちの台詞さ。なんでここに眉毛が居るんだい?」

「俺がここにいるのはオプションみたいなもんだろーが!お前が居る方が可笑しいんだよ!」

「はいはい兄弟喧嘩しないの」


本田さんと作り上げた恵方巻きを部屋の隅にの安全な場所へと移し、それぞれ豆の入った木箱を手に持つ。


「それじゃあ本田さん、出てきてください」

「待ってください!どうして私が鬼なのですか!?」

「いいじゃないですか。ほら、早くお面被ってくださいよ」

「目が血走ってますよ名前さん」

「そんな事ないっすよ〜」

「うっ…せめてお面は鬼は鬼でもうる●やつらのラムちゃんにさせていただきますよ!!」

「卑怯だぞ菊!ラムちゃんに豆を投げられるわけがないじゃないかー!!」

「落ち着け。相手はラムちゃんの仮面を被った男だぜ…?」


どこかで見たようなシーンを繰り広げている三人を無視して手元にある豆の山を見つめる。


「ピィ」

「あっ、こらピヨちゃん!まだ撒いてないのに豆食べちゃダメでしょ!?」

「さっさとやっちまおうぜ…」


呆れたような顔をしたアーサーに「それでは」と本田さんが頭につけていたラムちゃんのお面を被る。


「それじゃあ行くよー!」

「よーし!」

「はーははは!!悪い子はいねがぁあ!」

「ノリノリだな菊!でもそれなんか違ってるんだぞ!」

「鬼はー、外ォオオオオオオオオオ!!!!」

「ギャァアアアア!!」

「本田ぁああああ!!」


手の平に豆を握り絞めて思いっきり力を込めて本田さんに投げつける。
ピンポイントにお面の目に空いている穴に豆が入ったらしく、顔を抑ええて床を転げまわる本田さん。


「目が、目かぁあああ!!」

「菊!!だ、大丈夫か!?」

「名前さん…私に何か恨みでも…!?」

「エリザから聞きましたよ。私の写真を勝手に合成して遊んでるみたいですねぇ、本田さん…」

「うっ…そ、それは…」

「いい歳して何してんだ爺ぃいいいいい!!」

「ぎゃぁああ!豆を、豆を投げつけないでください!!痛っ、痛い!」

「おおお、落ち着け名前!!」

「どいてアーサー!!この爺には少しぐらい痛い目にあわせてこらしめてやったほうがいいの!!」


床に膝をついて頭を抱える本田さんに豆をぶつけて「鬼は外!!鬼は外!!」と叫ぶと「鬼はお前だろ」とギルが小さく呟いた。



「さぁー、豆拾ってー。自分の歳の数だけ食べるんだよ」

「えー!19個しか食べられないじゃないか!もっとたべたいんだぞ!」

「我が侭言わないの」

「名前はいいよな…沢山食べられて…」

「それって遠まわしに歳とってるって言ってるよねアルフレッド君」

「そうかい?分からないんだぞ☆」

「アルフレッド君の分の恵方巻き、無しね」

「うああああああ!!ごめん!!ごめん謝るからぁあああ!名前はまだ若くてピチピチさ!肌だってこんなに綺麗だし顔も童顔だから俺より年下に…」

「童顔は褒め言葉じゃないからね」

「いえ、最上級の褒め言葉ですよ名前さん!!」

「黙れロリコン」


豆を全て拾い終え、避けておいた恵方巻きをそれぞれ一本ずつ手にとり西南西へと体を向けた。
恵方巻きを食べている間は喋ってはいけないなんて決まりがあるわけで、皆無言でもぐもぐと食べている所本田さんだけが恵方巻きを口に咥えている私の写真を鼻息荒く写真におさめていた。
いや、なんで恵方巻きで興奮すんの?
その様子を見たギルとアーサーが目を見開いた後に言葉に出さずに身振り手振りで何かをしていたけど、気にしない事にする。

アルフレッド君が「もう限界だ!!それよりこれもっと食べたいぞ!!」と二本目に手を出すまで数分もかからなかったと思う。
脅威の胃袋だよ、アルフレッド君。


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