「2月よねえ…」

「2月だねー」

「2月と言えば」

「2月と言えば…?」

「もー。鈍いんだから、名前は。2月と言えばバレンタインじゃない」


乙女モード前回のエリザがポンと掌を合わせる。
あぁ、バレンタイン!
ははは、節分で頭が一杯だったよ。女としてこれってどうなのかな…


「日本では女性から男性にプレゼントを渡すものなんでしょう?」

「まぁそうだね。最近は男女構わずってのも多いみたいだけど。あと友チョコとか」

「あら、素敵ね。じゃあ私から名前にチョコレート渡しても大丈夫かしら?」

「ほんと?嬉しいなぁ〜!私もエリザに用意しなくっちゃ!」

「うふふ。でも名前は大変よねー…」

「何が」


飲みかけのエスプレッソをソーサーに置きエリザの顔を眺めると、からかうようにして「うふふ」と笑った。


「名前は誰にチョコレートをあげるのかしらね」

「誰って…ギル…?」

「本命のチョコレートよ」

「あー…本命…」


そうか、本命か…。今までバレンタインに本命チョコレートなんて渡した事なかったからバレンタイン本来の目的を忘れていたよ。


「渡したい相手、いないの?」


エリザの言葉に、一瞬誰かの顔が浮かびそうになるのを頭を左右に振って誤魔化した。
いやいや、無いって。


「いつもお世話になってる皆にあげようかな。ギルやアーサーや本田さんやトニーさんとか…あとは会社の皆とかね」

「もう。それじゃあ義理と同じじゃない。せっかくのバレンタインなのに」


2月14日…バレンタイン、ねえ…。
その日はそれより大切なことがあるんだけどなぁ。


「名前は明日豆まきするんだっけ?」

「うん。本田さんも来て恵方巻き作るの手伝ってくれるって言うし…。思う存分豆ぶつけてやらないとなぁ…」

「ちょっと!菊さんになんて事するの!あの人は神様なのよ!?そりゃ変態でちょっと幼女好きで名前の写真をつかって色んな制服を合成で着せてみせたりして楽しんでる人だけど…とっても素敵な人なんだからね!!」

「おいおいおいおい、聞き捨てならない事が沢山あったんだけどね。もうツッコミ所多くて困ってるんだけどね。まず言おう。その本田さんのどこに素敵な要素がありましたか?」

「あら。素敵じゃない」

「エリザの素敵の基準が分からないよ…」


本田さん…そんな事してるんですか…。
豆まき、どうなるか楽しみだなぁ…。
明日は帰りにスーパーに寄って恵方巻きの材料買わなきゃ!
スーさんが「今年の方角は西南西だべ」って教えてくれたし、これでちゃんとした節分ができるよね。

それにしても…バレンタインかぁ…。
エリザはもちろんローデリヒさんにあげるんだろうけど…。
私はできるだけ多くの人にあげたいし…また手作りで頑張るとするか。


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