「はー…やっぱりこっちはアメリカと違って暖かいよな…」 「だろうねー。あっちは雪沢山降ってるって聞くし」 幸せそうな顔をして私の隣を歩くアーサー。 昨日帰ってきたばかりだと言うのに今朝も早くから仕事にでかけたらしい。 帰りはこうやって同じ時間になったと言う事は早く帰らせてもらえたんだろうけど…。 アーサーってば普段から忙しいのに自分で気づかない内に無茶してる事多いから心配だなぁ…。 ゆっくり休むように言わないと。 「アーサー、夕飯食べたらすぐに寝てゆっくり休むんだよ」 「お前は母親かぁ?俺は大丈夫だって。昨日もちゃんと休んだし…」 「だけど長旅だしさ。アーサーが倒れたら誰が看病すると思ってんの…」 「そ、それは…」 「君に看病してくれるような素敵な相手や兄弟は居たかしらー?」 にやりとからかうようにして笑うと、うっと言葉を詰まらせるアーサー。 これぐらい言ってやんないとちゃんと休まないもんね、アーサーは。 いつものように夕食を負え、少し肩の筋肉が張っていると言うアーサーの肩を揉んであげると「すっげー気持ちいー」と眉尻をハの字に下げた。 「ほんと働き者だよねぇ、アーサーは」 「だな。真面目すぎんだろ」 「それに比べてうちのギルは…」 「ケッセセセ。俺様が家に居なかったら寂しいくせによ!」 「うーわー。むかつく。昨日みたいに切ったばかりの玉ねぎ攻撃くらわせてやろうかな」 「いや、それだけはマジで勘弁!」 ソファーの端に寄ってクッションを抱えながら怯えるギルの額を叩いて「うそうそ」と笑うと上目遣いで睨まれた。 「そういえば明後日は節分かぁ…」 「あぁ、豆投げるやつか」 「豆まきね。恵方巻き作らなきゃなぁ…。買ってもいいけど、どうせならちゃんと自分で手作りしてみたい気もあるし…」 「豆はまかねーのかよ」 「まいてもいいけど…掃除が大変なんだよ、あれ」 「それぐらいいいんじゃねえ?つーかどうせまた掃除は俺にさせんだろ、お前」 「そうですねー。じゃあ豆まきもしよっか!」 「鬼は誰がやんだ?」 「そうだなぁ…。まぁ適当にアーサーか本田さんにでもやらせよう。個人的に本田さんには沢山豆を投げつけてやりたいし」 「おま、もっと年寄りを労われよ!?」 豆ぶつけたぐらいで怪我しないよ…たぶん。 今年はどの方角を向いて恵方巻き食べればいいんだっけなぁ…。 明日会社で誰かに聞いてみるとするか。 . ←|→ |