「あ、ずるいぞギルベルト!!カミナリ使うなんて卑怯じゃないか!」

「マリオカートに卑怯なんてねーんだよ!ケッセセセ!これで俺様が一位だぜ!」

「よく長時間ゲームしてても疲れないね…」

「んー、まぁ現代っ子なら普通じゃないのかな?」

「私はさすがに歳ですので休憩を挟まないと続けられませんね…。夜中のエロゲ時間は別ですが」

「夜中にエロゲしてるんですか本田さん」

「ゲフンゲフン。今日はいいお天気ですね〜」


わざとらしく咳払いをする本田さんの湯飲みに新しいお茶を注ぎながら冷たい視線を送った。
休日だっていうのにアルフレッド君も本田さんも私の家に遊びに来るって事はどこも行く場所ないのかな…。
来るなりずっとゲームしてるし。


「やはりマリオカートは元祖64に限りますね。イヤッフゥー!」

「私ゲームとか分かりませんから」

「コントローラー4つあんだからお前も入れよ!」

「ピーチの席が空いてるぞ!俺のヒロインである名前がピーチなら俺はマリオだな!」

「いいんですかアルフレッドさん。マリオは身長155センチのイタリア系のオッサンですよ」

「いい年して結婚もしねーで弟と一緒に暮らしてる大工のおっさんだぜ」

「NOOOO!!そんな事言わないでくれよぉおおお!」


仲いいなぁこの三人は…。
ゲームの画面を眺めながらお茶をすすっていると、キッチンのカウンターの上に置いてあった私の携帯が鳴りはじめた。


「もしもし?」

『もしもし?俺だ』

「俺だ、じゃなくて名前言えって言ってるでしょーが…。どうしたのアーサー?」

『いや、明日帰国できる事になったから一応連絡しておこうと思ってな』

「そっか。お疲れ様」

『そっちの時間で言うと…明日の昼頃に帰ると思う』

「うん、分かった」


なんだかアーサーに会うの久しぶりな気がするなぁ。


「なんだ、アーサー帰ってくるのかい!?」

「アルフレッドてめぇ!負ける前に逃げんじゃねーぞコラァ!」

「HAHAHA!ヒーローに負けるなんて言葉は無いのさ!名前、ちょっと電話代わってくれよ!」

「あ、ちょっと…!」


後から私の顔を覗きこみ携帯を取り上げたアルフレッド君。


「あ、もしもしアーサーかい?」

『なっ、なんでお前がそこに居るんだよ!?』

「野暮な事聞かないでくれよ〜。今俺と名前はラブラブデート中さ!」

『んだとコラァ!!名前を出せ!どーせお前の嘘だろ!!』

「嘘じゃないよ」


声がここまで聞こえてきてるよアーサー…。
大きな体で私の背中を包み込むようにしてアルフレッド君の顎が私の肩に乗る。
…重い。


「暇だし明日空港まで迎えに行ってあげるよ。会社に戻らなくても大丈夫なんだろう?」

『まぁな…でもお前の運転する車に乗るのは嫌「ノープログレム!!それじゃあ明日名前とホテルの帰りに空港に寄るよ!それじゃあグッバーイ!!」ちょっと待てアルフレッドォオオオオ!!』


大嘘ほざいて一方的に電話きっちゃったよこの子…!!
嬉しそうに「明日迎えに行かなきゃなんないし、今日ここに泊まってもいいだろう?」と笑うアルフレッド君。
もう好きにして…。

数秒後に再びアーサーからかかってきた電話に出ると、受話器越しにギャーギャーと喚く声が煩かったので「うるせーんだよ眉毛」と低く呟くと静かになった。
アルフレッド君の嘘を訂正して、何時に到着の便で帰ってくるのか詳細を聞いて電話を切った。
まったくもう…。


「だけど車って…アルフレッド君車持ってるの?」

「あぁ。ダディーのを一つ借りるよ!」

「高級車なんでしょうねぇ…。私もご一緒させていただきたいのですが生憎明日は用があるので…」

「っていうかお前ちゃんと運転できんのかよ?」


あ…そういえばアルフレッド君の運転って…。


「大丈夫さ!免許を取ってからまだ5回しか事故した事ないんだぞっ☆」

「君免許とってからまだ一年しかたってないでしょうがぁああああ!!」

「大丈夫さ!事故したのは全部俺ん家の敷地内だから怪我人は全くいないんだぞ!」

「そういう問題じゃねーよ!!お前の運転する車にはぜったい乗らねーかんな!!」

「でも他に運転できる人なんて…誰かに頼めないかなぁ…」

「フランシスに頼むか」

「あぁ。フランシスさんなら女の子口説く道具としてよく運転してるだろうしね。ナイスギル!」


フランシスさんに電話をするギルの横で聞き耳を立てながら不服そうなアルフレッド君の頭をポンポンと撫でる。


「あぁ、俺だ。お前明日暇だろ?はぁ…デートだと…!?んなもんどーでもいいからお前明日一日俺様の運転手やれよ!可愛い子の運転手にならなるってお前ぇええ!友達が頼んでんのにダメだっつーのかよ!?…え………べ、べつに泣いてねーし…グズッ…」

「あーもう泣くな!!私に代わって!!」


フランシスさんに何か言われたらしく涙目になるギルから受話器を奪う。


「もしもしフランシスさん?」

『おぉ!ボンソワール名前ちゃん』

「はいボンソワール。っていうかうちのギル苛めるのやめてくれません?」

『だってあいつからかうの楽しいんだもーん』

「はぁ…。それで、もし明日暇だったら運転手やってくれませんか?」

『生憎お兄さん可愛い女の子とデートの約束が入ってるんだよねぇ…名前ちゃんには悪いけど俺はパス』

「……フランシスさん…」

『なんだい子猫ちゃん』

「私…フランシスさんが居てくれないと…寂しいですよぉー…」

『はううぅっ…!!!』

「フランシスさんが運転してる姿ってかっこいいんだろうなぁ…見たいなぁ、私。すっごく見たいなぁ〜」

『ぐはっ…!!ちょっ、名前ちゃん…?』

「ね、お願い!フランシスさんだからお願いできるんですよ!でないと私…」

『分かった、分かったから!!そこまで言うならしょうがないなぁ…ふふふ、可愛いんだから名前ちゃんは…。やっぱり名前ちゃんも俺のフェロモンにやられて「それじゃあ明日の朝私の家来てくださいね。アデュー」


ぶちん。
一方的に電話を終了させ、受話器を置いて小さく息を吐く。


「……何その目は…」

「いや、なていうか…」

「名前さん…いつそんな技を身につけられたのですか…」

「伊達に曲者ばかり集まったメンバーの中に居ませんからね。それに私もアルフレッド君んの運転で事故して死にたくないですし」

「名前さん…」

「なんですか」

「さっきフランシスさんに言った言葉、今度私にも言っていただけませんか」

「もう二度とやりませんから安心してください」


これで明日はアーサーを迎えに行く事ができるね…。
フランシスさんちゃんと来てくれるかなぁ…。
アーサーに会うの久しぶりだし会えるのが楽しみだよね。



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