「なんでギルベルトも一緒なんだい…俺は名前と二人っきりが良かったんだぞ!」

「ケッセセセ!ガキが生意気言ってんじゃねーよ!ギルベルト様がお前の保護者として見守っててやるぜ!」

「えー!精神年齢が中二の君が保護者なんてやだよ!」

「んだとコラァアア!!」

「HAHAHAHA!」


私からしてみれば子供の喧嘩だよ、二人とも…。
今日は日曜でお休み!という事でアルフレッド君に誘われて映画を見に行く事になった。
最近見に言ってなかったからなぁ…。
今どんなのが上映されてるんだろう。


「アルフレッド君は見たい映画とか決まってるの?」

「それがすっごく迷ってるんだよ〜。ハリウッドのリメイクのやつも見たいしー、CMでやってたラブコメディー映画も見たいし!」

「どっちも面白そうだなー…。あ、ギルは何がいい?」

「本田がすっげえ面白いって言ってたアニメの劇場版とか見てみたいぜ!」

「またアニメかよ…」

「あー!それ俺もすごっく見たかったんだぞ!!ロボットのやつだな!よーし、それじゃあその映画にしよう!!」

「えー!?私普通の映画が見たいのに!」

「じゃあお前一人で見ろよ」

「俺達はアニメ見てくるからさっ!」


……なんですかそれ、一緒に見に来た意味なくないですか…?
まぁいいや。ゆっくり見られるしね。

二人と別れ、面白そうな恋愛映画のチケットを買い適当な席に座る。


「…あれ、ロヴィーノ君!」

「名前!?」

「偶然だねー。ロヴィーノ君も映画見に来たの?」

「まぁな。お前は一人か?だったらこの後俺と一緒にどこかで甘いものでも食べに行こうぜ」


たまたま座った席の隣に居たロヴィーノ君。
相変わらずのナンパっぷりで私の手を取り顔を近づける。
どこからか「ゴホン」と咳払いをする声が聞こえたかと思うと、ロヴィーノ君の体がピクリと震えた。


「ロヴィーノ君…彼女と一緒なのに私にこんな事しっちゃダメでしょうが…」

「あぁ…べつに彼女じゃないし…同じクラスってだけだから気にするなよ」

「ロヴィーノ君…」


この子ってば…。女の子と一緒に来てたのか…。
私なんかを相手にしてると相手の女の子怒っちゃうんじゃないのか…。


「あー、私あっちに座ってくるよ」

「行くなよちくしょー!お前が行くなら俺もそっち行く!」

「バカぁあああ!!気遣ってんの分かってよ!?」


私の腕を掴むロヴィーノ君の隣に座っていた女の子が勢いよく立ち上がったかと思うと、鋭い目つきで私を睨んでからその場を立ち去った。


「え…私が悪いの…?」

「いいんだよ。暇だったから声かけた相手だし。それよりもう映画始まるから座れよちくしょー」

「ロヴィーノ君…」


可愛い女の子を捨ててまで私と映画を見るなんて…いや、懐かれてるとは思ってたけどそんなに私が好きなのか、ロヴィーノ君。

帰ってしまった女の子を追うわけにもいかず、彼の指示通り大人しく席に座る。
映画が始まりしばらくがたち、外国を背景にしっとりとした雰囲気のストーリーが展開されていく。
監督も有名な人だし、今回もすごくいい雰囲気の映画だなぁ…。

映画のいいシーンさしかかると、さりげなく肩に手を回すロヴィーノ君。
この子はまったくもう…。
それを気にする事なく最後まで見終わった映画はとても素晴らしかった。
やっぱりこの映画にして正解だったなぁ。

同じく映画を見終えたギルとアルフレッド君と合流し、四人で映画の話に花を咲かせながら食事をした。

映画、楽しかったなぁ。
一緒には見られなかったけど、連れ出してくれたアルフレッド君に感謝しなきゃね。







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