「今日も雨降たねー…。洗濯物乾かないから嫌だなぁ」

「天気予報では明日は晴れるって言ってたぜ」

「良かった。アメリカは今雨が雪が降ってるってアーサーが言ってたよ。寒そうだなぁ」

「あいついつ帰ってくんだよ」

「さぁ?帰ってきたら親父に会わせたい、だとか言ってたけど…」


今日の夕飯であるカレーを食べながら窓の外を見ると、朝からやむ気配の無い雨がザーザーと降っている。
なんとなく暗い気分になるなぁ、なんて少し甘くしすぎたカレーを口含んだ所で目の前から注がれる視線に気がついた。


「な、なんですか…」

「親父に会わせたいって…」

「あ…」


あれ、なんか余計なこと喋っちゃった感じですか…?


「おま、それおかしいだろ!?あいつの親父に会う理由なんてねーし!!」

「知らないよ私だって!!だけど普段からお世話になってるアーサーやアルフレッド君のお父さんだし…。会ってみたいなぁ、なんて…」

「会えば結婚の話でももちかけられるんじゃねーか?」

「…まっさかー…ない、よね…?」

「お前…」


呆れたような顔で溜息をつくギル。



「お前…アーサーの事が好き…なのか?」

「え…」

「なんか最近のお前ら見てると…そんな感じがして」


何を言い出すんだこの子は…。
好き。それがいまいち自分でもわからないから困ってるんだよ。

アーサーの事は好き、だと思う。
だけど何か…



「ギルはさ、もし私とアーサーが付き合ったらどうする…?」


恐る恐るギルの顔を下から覗くようにすると、驚いた顔をしたギルが「俺は…」と小さく呟いた。



「べつに…どうでもいいし」


どうでもいい、ですか…。

あれ、なんだ、痛い。
胸が張り裂けそうに、痛い。



「なっ、何泣きそうな顔してんだよ!?」

「泣いてない」

「泣いてなくても今にも泣きそうな顔してんじゃねーか」



どうでもいいって言われただけでこんなに苦しいなんて…どうしてだろう。

あぁ…ギルに、言われたからか。

アーサーやトニーさんへの思いを考えれば考えるほど、ギルの顔が頭に浮かんでくる。

それは私にとってギルの存在が無くてはならない存在だから。



「私はどれだけギルの事好きなんだろ…」

「へ…?」

「なんでもない。カレー冷めると美味しくないから食べちゃわないと…」


自分の気持ちに気づく事ができれば、答えが出るのかもしれない。

だけど今はまだ何かがストップをかけている。


「自分の本当の気持ちを理解するのって難しいね」

「俺様はいつも自分のしたいようにしてるけどな。……一部を除いて」

「幸せなやつだなー…頭が」

「頭が幸せってどういう意味だよ!?」

「そういう意味だよ」



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