「遊びに来たで〜名前ちゃん!」

「お兄さんも来たよー。ボンジュー名前ちゃん」

「いらっしゃーい二人とも。今ちょうどアーサーが紅茶淹れてくれてた所なんだよ」

「なんや、あいつもおるんかいな…」

「ついでに言うとアルフレッド君も遊びに来てますが」

「あらあら…お菓子持って来たんだけど数足りるかなぁ…」

「わー!ありがとうございます!」


フランシスさんからケーキ屋さんの箱を受け取る。
気が利くなぁフランシスさんは!


「今日は俺からもプレゼントがあんねんでー」

「え。なんですか?」

「じゃーん!めっちゃ綺麗にやろ〜!?知り合いの花屋さんに置いてあったからもらってきてん!」

「可愛いー女の子の居るお花屋さんね」

「ん…?それってもしかしてブルームってお花屋さん?」

「え、なんで知ってるん名前ちゃん!?あそこ兄妹高校時代からの仲やねん」

「そうだったんだー…ベルさんすっごく綺麗な人だよね」

「ちょっとお転婆が過ぎるとこあるけどなぁ」


二人を中に招き入れ、トニーさんから貰ったお花を今まで閉まってあった花瓶に刺してリビングに飾った。
うんうん、お花があると明るいなぁ。


「んだよ、来なくていいんだよお前らは」

「おーこわ。元ヤン紳士は怖いねー」

「あぁん?髭毟りとって地面に埋めるぞオッサン」

「もー騒がないでくれよ。ただでさえ男だらけでむさ苦しいって言うのにさぁ」

「つーかお前らこの家に集まってくんのやめろ!!日曜だってのにゆっくり休めねーぜ…」

「プー太郎が何言うてんねん。毎日休日みたいなくせしてからになぁ」


そうだそうだと皆でギルを攻めるもんだから、涙目になって「べつに悔しくないぜー!」と笑ってから部屋の隅っこで膝を抱えたギル。
そんなあからさまに落ち込まなくても…。


「フランシスさんにいただいたケーキだよー」

「おお!!って、小さい!!すっごく小さいんだぞこのケーキ!」

「お前らが来てるって知らなかったから小さいホールケーキしか買ってこなかったんだよ。我慢しろな?」

「こんなんじゃお腹いっぱいになれないじゃないか…!」

「しょうがないなぁ。私の分もあげるよ」

「あ、甘い物好きのお前が…!」

「なにアーサー、その驚いた顔は」

「いや…だってお前もケーキ好きだろ…。だから譲るなんて珍しいなって…」

「私も好物を譲れないほど子供じゃないよ…。はいどうぞ、アルフレッド君」

「わぁ!サンキュー名前!!愛してるぞ!!」


私のケーキを受けとったアルフレッド君は美味しそうにケーキを頬張った。
うんうん、嬉しそうで良かった。


「俺の分やるよ」

「え、アーサー食べないの?」

「あぁ。いいからお前食べろよ」


ケーキの載ったお皿を私の前に差し出したアーサー。
「ありがとう」と伝えると少し視線を外して「あぁ」と答えた。


「そうだ。明日ギルの誕生日だから自分でケーキ焼いてみようと思うんだー。どんなケーキがいいだろう…」

「あれ、明日誕生日なのかいギルベルト!」

「まーな」

「ギルちゃんもこれで一つ大人になるんやなぁ…。あんなに小さかったギルベルトが…」

「だよなぁ…お兄さん達に噛み付いてきてたギルが…」

「なんの話だよ!?ったく変な事思い出すんじゃねーよ!!」

「25歳になるんやっけ?」

「25歳でプー太郎ってお前…」

「ああああもう黙れ!!つかさっさと帰れお前らぁああ!!」

「名前ー、晩ご飯はハンバーガーがいいんだぞ!」

「そんなもの晩ご飯じゃないでしょうが…今日はエビフライだよー」

「食ってく気かよ!?」

「名前ちゃんの晩ご飯楽しみやわー」

「お兄さんも手伝っちゃおうかなぁ」

「じゃ、じゃあ俺も…」

「アーサーは絶対にキッチンに入ってこないで!!」

「な、なんでだよバカァ!!」

「そろそろ自分に料理のセンス皆無だって事気づこうよ」

「うっ…」


それから皆でのんびりとアルフレッド君の持ってきてくれた映画のDVDを見たりとのんびり過ごした。
途中で眠くなってしまい隣に居たギルの肩を借りようとしたら、これまた反対側の隣に座っていたアーサーに無理矢理引っ張られて、アーサーの肩に頭を預けることになってしまった。
うーん…別にいいけど…ギルに比べてアーサーってゴツゴツしてないからなんとなく置き心地悪いよね…。
薄っすら目を明けてアーサーの顔を覗いたらほんのり頬赤くして、あからさまに視線をこちらに向けまいとテレビを凝視してたし。
こっちまで照れくさい…。

夕方になってフランシスさんと一緒にキッチンに立ち、夕食の準備を始めた。
リビングではギルとアルフレッド君がゲームに夢中になっていて、トニーさんとアーサーは真っ黒い笑みを浮かべながら昔話をしているようだった。
本当に仲悪いな、あの二人…。

フランシスさんが手伝ってくれたおかげで晩ご飯がいつもより綺麗に仕上げられる事ができた。
やっぱり違うなぁ、フランシスさんは…。
浮気さえしなければ立派な主夫になれると思うよ。
もちろん味もすっごく美味しかったしね。

皆が帰った後、後片付けを済ましていつものようにギルの隣へ腰掛ける。
今日も一日が終わったなぁ…。


「なぁ」

「んー?なにギル」

「明日…」

「ふぁ…ねむ…。明日、何ー?」

「やっぱりなんでもねー。寝るならさっさとベッド行けよ」

「はいはい。それじゃあおやすみなさーい」

「おー。おやすみ」



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