「ねーねーギル。もうすぐ誕生日なんだってね」


いつもの夕食を終えたまったりとした時間。
ゲームに夢中になっているギルに、何気なく話しかけてみるとピタリとギルの動きが停止した。
あ。ゲームの画面に”GAME OVER”の文字…。


「なんで、知ってんだよ」

「エリザから聞いた」

「…余計な事言いやがって」

「何が余計なの。っていうか教えてくれても良かったのに」

「教えたくねーんだよ」

「は?なんで」

「べつに」

「なにそれ。年取るのが嫌なの?」

「んなんじゃねーよ。あーもう、お前が話しかけるからゲームオーバーになったじゃねーか」

「それはそれは。ごめんなさいねー」

「謝罪の気持ちが篭ってねえ!!」

「はいはい。すーみーまーせーんーでーしーたー」


ギルの手が伸びたかと思うと頬を強く抓られた。


「痛い痛い!!」

「ざまーみろバァーカ」

「生意気…ギルのくせに」

「つかお前な、人の誕生日がなんだとか言う前に自分の誕生日はどうなんだよ。そういや俺も今まで聞いたことなかったし」

「あれ。そうだっけ」

「そうだっつーの」

「んー…ギルが教えてくれなかったから私も教えない」

「んだよそれ!?」

「お相子だっつーの!!」


お返しにとギルの頬を抓って横に伸ばすと「いひゃい!」と涙目になっていた。
こうやってギルとまったりしてると本当に和むよねー…。
最近色々あったから…なんだか心が慌てていて休まる時がなかったもんな…。
明日は休みだし、一日ギルとのんびり過ごそう。


「やっぱりギルと居ると和む」

「…」


仕返しをしようと再び私に手を伸ばしたギルの手がピタリと止まり、私の頭の上にポンと乗っかった。


「なぁ」

「んー?」

「なんかお前、最近なにかあったか?」

「え…」

「いや、なんか最近変っつーか…なんとなく」


そっか…ギルには全部内緒にしてるもんね。
態度で分かっちゃったのかな…。


「うーん…ちょっとね」

「疲れてんのか?」

「んー」

「だったらちゃんと休めよ。なんなら俺様の膝貸してやろうか?寝心地抜群だぜ!」

「うわーなんか上から目線でむかつく。でも折角だし借りちゃおうかな」

「うっしゃ!来い!!」


膝をポンポンと叩くギルに「それじゃあ」と笑って膝を枕に横になる。
ギルのお腹が目の前にあって、温もりが伝わってきた。
あぁ、なんだか本当に眠くなってきたよ。


「眠い…」

「いや、寝ろよ」

「んー…もうちょっと…」

「明日休みなんだろ。いくらでも時間あんだから」

「ん。そうだね」



おやすみ、ギル。


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