「んー…?頭いてっ…」


ちくしょー昨日(正確には今日になるのか)飲みすぎた…!!
うえっ…気持ち悪いぜー

ん?なんか柔らかい物が…
って、なんで俺名前のベッドで寝てんだ!?
え、じゃあこの柔らかいものって…


「んー…」


ちょぉおおお!!名前!?隣で寝てるという事は一緒に寝てたって事かよ!?
え…ちょっ、えぇー?


「んっ・・・ぎ」

「ぎ…?」


寝言か?
ぎ、ギルベルト…!?
なっなんだよこいつ夢に見るまで俺の事大好きなのかよー!
素直じゃねな!!ぶはっぶははははは!!!
…。ちくしょー…照れるじゃねーか…。


「…ぎ、んさん」

「銀さん!?って銀さんって万事屋のぉお!?」


何で銀魂知ってんのお前!?俺のジャンプ勝手に読んだな!!


「・・・俺じゃねーのかよ」


なんか腹立つなぁ…
腹いせに頬を突付いてやると、思ったより弾力性があって楽しかった。
こいつの無防備な姿ってレアだよな


「んー…かっ」

「次は”か”かよ…。かーかー…母さん…?」

「かっ仮面…」

「仮面んんんんんん!?」


仮面って何!?ライダーか!?それともタキシードの方かよ!?
何わけなかんねー夢見てんだこいつ!!!


「くそっ!!起きろ!!意味わかんねー夢見てんじゃねーよ!!!」

「ん゛ー…なんだよーギル…。あと三時間寝かせて…」

「寝かせるか」

「ぢくしょー…。って、なんでギル上半身裸なの」

「え?」


そういえばさっきからやけに寒いと思ったら…
って、これ勘違いされるじゃねーか…!!
自分のベッドに裸の男が入ってたら流石のこいつも…


「バーカ。風邪引くよ」

「それだけかよ!?」

「何、わけわかんないんですけど」

「普通自分のベッドに裸の男が入ってたら怪しむだろ!?」

「あぁー…。まぁギルだし?そんな度胸ないもん、ギルには」


寝惚け眼でへらりと笑い、「おやすみー」とまた寝返りを打った。
って、このクソ女…!!完全に嘗めてやがる…!!


「おい。あんま嘗めてっと本気で襲うぞ」

「煩い。やれるもんならやってみろってんだよプー太郎」


それは同意の言葉として受け取っていいんだよな。
名前の顔の横に手の平を置いて、覆いかぶさる様にして見下ろすと、呆然と口をぽかーんと開けてマヌケ面をしていた。
そういえば前にもこんなことあったよな…。
その時はあの眼鏡野郎に邪魔されて…
って、邪魔…?

え…邪魔って、俺あの時こいつに何しようとしてたんだ…!?


「ギル…」


危うく現実から遠いところへ旅立ってしまう所だった。
違う。俺はこんな女なんとも思っちゃ居ない。そりゃあ世話も焼いてくれるし飯も食わせてくれるし…いい、奴だとは思うぞ…うん。だけどそれとこれは別じゃねーか
そもそも俺の好みの女のタイプとはかけ離れすぎている。ガサツだしペチャパイだしドSだし…
でもこいつの笑顔は悪くないよな…
って、違う違う…!!だからこれはそういうのじゃなくて、


―プルルルル


「え…お前どこに電話かけて…」

「あ、もしもしアーサー?助けて。ギルに襲われ「やめろぉおおおお!!!!」うぎゃー買ったばっかの携帯投げやがったぁあああ!!」

「テメェなに隣人呼んでんだよ!?」

「だってギルが襲い掛かってきたんじゃん!!キャー!!私犯されるー!!」

「誰が犯すかぁああ!!」


バンッ!!ドドドドド…

え…?


「死にさらせこんのプー太郎ぉおおおーー!!!」

「ぎゃぁあああー!!」

「アーサー!!早っ!!めっちゃ早っ!!電話してから30秒もたってねーよどんだけ早いんだよお前!!」

「名前!!この変態野郎に何もされてないか!?厭らしい目でみられたりどこか触れたり撫でられたり舐められたり…!!!」


物凄い勢いでドアごと俺を蹴り飛ばした眉毛野郎。ってゆーか、その手に持ってる本はなんだ…!?


「ってゆーか、何それ」

「ん。もう大丈夫だから安心しろよ、名前」

「安心って」

「ハハハ。心配すんなって!ちゃーんとこいつを地獄に送ってやるから!ったくやっぱりお前俺が居ないとダメだよな〜」

「ちょー!!アーサー何その本の文字!!見たこと無いしなんか危なげなんですけどぉおお!?それに何その無駄に爽やかな笑顔!!」

「下がってろよ。今サタン呼ぶからな。あ、サタンはサタンでもMr.サタンじゃねーぞ!」

「人ん家で変なもん召還すんなあぁあああ!!」

「べ、別にお前のためじゃないんだからな!!俺が好きで呼び出してるだけなんだからな…」

「もうお前わけわかんねーよ」



―――




「はぁ…なんとか落ち着いたみたいだね、アーサー」

「う…悪い…。すっかり自我を失っていたようだ…」

「お願いだから変なの召還しないでね。やるなら公園でやれ」

「公園ならいいのかよ!?ったくこっちはテメェの蹴りのせいで腕痛めてんだぞ!!」

「あぁそうか。それならいっそあの世へ送ってやろうか?楽になれるぜ」

「ギル。笑顔で怒ってる時のアーサーに下手なことすると本気で殺されるよ」


流石は元ヤンだな…。蹴られた腕が半端なく痛ぇー…。トニーの奴こんな野郎と喧嘩しまくってたんだよな
…なるべくこいつらを怒らせないようにしよう…


「ほらプー。腕出して。湿布貼ったげる」

「う、おぉ…」

「名前!!そいつに近づくなって言ってんだろ!!」

「だーかーらぁああ!!さっきの電話は冗談だっつってんだろ!?何回言わせリャ気がすむんだよこのクソ眉毛野郎!!!」

「…ごめんなさい」


ハハハハ。流石のこいつも名前には敵わねーよな
強すぎるぜー俺の主!


「ったくもー…こっちは二日酔いで頭痛いっつーのに」

「なんだよお前。そんなに飲んだのか?珍しいな」

「昨日ギルと飲んでてね…」

「なんだよ…。だったら俺も誘えよ」

「それは絶対嫌だ」


俺の腕に湿布を貼ってぺチンと叩いた名前はまだ眠そうな顔をしてキッチンに立った。
くそっ…さっきの痛かったけど、今のあいつ機嫌悪そうだから黙っておこう…


「アーサー、朝ごはんは?」

「朝ごはんって…もうすぐ昼だぞ、昼」

「あー…。じゃあ昼ごはん一緒に食べよう。何がいい?」

「二日酔いが辛いなら俺が作ってやろうか?べっ別にお前の為じゃないからな!今日は自分で作りたい気分なだけなんだからな!」

「あーはいはいツンデレね。私が作るからその辺で適当にデレといて」

「わけわかんねーよ!?」

「そう言う事だよ」


どうやら名前の奴は本当に気分が優れないようだ。
そっとしておく方がいいよな、これ
触らぬ神に…なんだっけ?





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