「明けましておめでとうございます。本年度も何かとご迷惑をおかけするかとは思いますがご指導よろしくお願いします」

「なんだっぺー。んな難い事言ってねーでもっと簡単に挨拶できねーのけ?」

「明けましておめでとうございます今年は迷惑かけないでくださいねデンさん」


色んな意味を込めて息継ぎなしに淡々と新年の挨拶を述べたにも関わらずいつもの空気を読まないテンションで「おう!!今年もよろしぐしてやっぺ!」と豪快に笑うデンさんに今年最初に殺意が芽生えたのは言うまでもない。

今日は仕事初めという事で、午前中に各部署で新年会のようなものが開かれる。
とは言っても、上司の新年の挨拶を聞いたりジュースを片手に職場で談笑をする程度なんだけど…。
他の部署ではこういった事を軽くすませてさっさと仕事にとりかかるところが多いらしいけど、この部署にそんな真面目な人間はいなかった。
私も含めて。


「ティノ君スーさん、お正月はどうだった?」

「楽しかったですよ!のんびりできましたしね。スーさんと花たまごと一緒に初詣にも行ったんですよ!」

「いいなぁー。私も実家の方では行ってきたんだけどね。着物着てたから大変だったよ…」

「着物ですかー。いいですね!僕も名前さんの着物姿見たかったなぁ…」

「今度着て見せてけろ」

「着る機会なんてそうないよスーさん…」

「そうですよねー。お正月とか友達の結婚式とか…あとお見合いぐらいしかそう機会なんて…」

「見合い…」

「お、おひゃぁああああ!!すすす、スーさっ、怖い顔しないでくださいよぉおおおお!!!」

「見合い…見合いなんてしだら名前が嫁さいっちまうべ…?んな事許せね…」

「スーさん…」

「何感動してるんですか名前さん!スーさん怖いですから顔に影つけるのやめてくださいよぅ!」

「……すまね」

「何してんだっぺ、おめぇら」

「ノルさん。ノルさんはお正月どうしてたんですか?」

「もっぱらアイスん家世話んなってた」

「入り浸ってますねノルさんも…」

「ノルの母ちゃんも俺の姉ちゃんみたいなもんだっぺ。アイスもあんこより俺の方が好ぎだし」

「その自信どこから湧いてくるんですか…」

「あんこより多くお年玉やったら”ノルの方が好き”って言ってたべ」

「金で釣っちゃったよこの人!!」


今年も相変わらずだなぁノルさんは…。
マイペースというかなんというか…。

この日は久しぶりの仕事という事もあってか、感覚を取り戻すのに精一杯でちゃんとした仕事にならなかった。
正月休みボケとでもいいますか…。
明日からちゃんとしないとなぁ。

帰りの駅で一緒になったアーサーもなんだか疲れきった顔をしていた。
色々期待されてる立場だからアーサーも大変だよねぇ…。
飲みに行きたいとごねるアーサーの腕を引っ張り連れて帰るのにも一苦労だった。
今日みたいな仕事初めの日に酔っ払ったアーサーの相手なんて…私の体がもたないよ…。


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